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「この演奏会に集中しているから、苦しくなるんじゃない?次の演奏会の事を考えながら、この演奏会に向かえば?」 サンフランシスコでピアノ仲間に言われた。 自分でも同じような事をブログにも書いたはずなのに、友人に親身に言ってもらうと全く違った重みをもつ。そしてありがたい事に、今夜の本番を経た明日、私はハワイに飛び、土曜日にはマウイ島で演奏会があるのである。そして演奏は、私にとっては目的ではなく、自分の人類主義を全うするための一つの表現法と手段なのである。ただ、演奏を目的とする音楽学校でこの姿勢は珍しいのを承知で、少し混乱してしまっただけだ。 そう言えば昨日初公開になった生徒ちゃんと連弾の収録の時は、しっかりリードする事に集中して自分の事は全く考えていなかった。今日はお孫さんの気持ち、そして聴衆に何を伝えたいのかに集中しよう。 6時:今朝の目覚めは快眠の後の平常心。寝床でいつものストレッチをした後、身支度、レモン汁を絞ったお水。家庭菜園に水やり。急ぎのメールを片付け。プログラムのデザインが昨夜私の就寝後飛び交っている。急いで返信。でも皆、超夜型ー起床は何時なんだろう。 7時:3.5マイル位、登ってくる朝日に向かって東の方向にぐんぐん散歩。出発時は肌寒くって3枚着こんだけれど、帰りは日差しが背中に暑い。朝の木漏れ日が美しい。「幸せの象徴」と言われるハミングバードが散歩中何度も、手をのばせば届く距離で飛び回っている。筋肉痛は昨日頑張ったヨーガのせいか、それともヒールで足を踏ん張って演奏をしたからか。 8時:帰宅。11月から欠かさず飲んでいるマッシュルームコーヒー(MCTオイル入り)をゆっくり飲みながら今日の流れを頭の中で追う。ちょこちょこメール。 8時半:ヨーガ、逆立ち(3分ー今日は一度も倒れなかった!)、マインドフルネス瞑想(20分)。野の君とヴィデオ電話。野の君の顔を見るといつもすごく嬉しい。 9時半:カカオ92%のダークチョコレート。全然甘くないけれど、日課にして食べている私には美味しい。いつもは2,3かけ食べるけれど、今日は一個半で我慢。その後演奏会場にもっていくCD、ドレス、化粧道具、などなどをまとめながら朝食準備。昨日のスープに卵落として全粒粉のトーストと一緒に頂く。美味しい。今日は人類みな平等の理想について喋るので、1919年のパリ講和会議(Paris Peace Conference)で協議されたヴェルサイユ条約(Treaty of Versailles)の時に日本が提案した『人種的差別撤廃提案(Racial Equality Proposal)』を復習。私はすぐに固有名詞を忘れたり言い間違えたりしてしまうので、カンニングシートも印刷しておく。多数決では17票中11票獲得したのにも関わらず、議長を務めたウッドロー・ウィルソン米大統領が「こんなに大事な事は全員一致で無ければ可決できない」として、一任で否決にした。この背景があって、日本は第二次世界大戦中、ドイツとの同盟にも関わらずユダヤ人移民を引き受け、庇護し、その多くが音楽家で演奏や教授活動をしたため、戦後の日本のクラシックが世界的に認められた(小沢征爾、内田光子など)。私の先生の先生の先生もユダヤ人だった。そして、今の私の米国での活動は、戦時中の祖父母には想像もつかなかった訳で、そういう意味では人類は進歩しているともいえる。 10時半:練習しながらメール返信したり、思いつくまま演奏会用の荷物に必要になるかも知れない物を足したり...こういう日に限って『テンポ:音楽で促す環境運動」関係の即急メールが舞い込んだりするが、沈着実行。落ち着いて、落ち着いて。 11時半:シャワー、身支度。 12時半:出発 13時:会場でピアノの音確認と、照明・音響さんとの打ち合わせ。お孫さんとの進行確認など。
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土・日・月と、コルバーン音楽学校時代のピアノ同窓生のお宅に小旅行して来ました。木曜日にあるコルバーン主催の演奏会の演目を到着直後、日曜日の午後、そして月曜日の朝、通し稽古を聴いてもらい、そしてコルバーン時代の事、世界観・音楽観、これからこの培ってきた音楽性をどう生かして人生を歩んでいくのか、などなど学生時代に戻ったように夜をふかして語り合いました。 短期間でも、旅行は気持ちを一新し、頭を切り替える効用がありますね。 一時間程まえに帰宅し、今夜は通し稽古で学んだことをいくつか復習した後、早寝します。取り急ぎ、中間報告のみ。無事帰ってきました。
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ルーティンとか固定観念には、日常生活や思考回路をスムーズに効率化するという大切な役割がある。でもそこに変化球が投げ込まれた時ぶれる危険性もはらんでいる。安定性と柔軟性を備えることーこれは、演奏でも人生でも鍵なのではないか。 飛行場で書きながら、自分の感受性が活性化しているのを感じる。全てが目新しく、自分がワクワクしている。これから会う友人との思い出やコルバーン時代の事が沢山思い出され、再会したら話したいトピックが今から頭の中を渦巻く。 野の君を早朝空港に送り届けた後、私は自分の荷造りや二泊三日の不在に備えて食材の冷蔵・冷凍処理やごみ処理など思いつくままに色々やりながら、合間合間に練習していた。今夜、友達に聴いてもらう。それが楽しみで練習も目標がはっきりとした活気のあるものになった。多分この小旅行が無かったら、私は野の君を送り届けた後、兎に角自分のルーティンを守り、刺激物を避け、保守的に保守的に恐る恐る一時間・一時間を過ごしていたと思う。 思い切って変化を付けてみて、良かった。 そして今、真夜中過ぎ。空港まで迎えに来てくれた友人と道中話しが止まらない。そのまま練習場に直行。お茶を一杯飲んだ後、通して聴いてもらう。緊張する。数々の賞を取った彼女の前で演奏するのは、彼女が卒業して行った2009年以来。彼女にどう思われるか邪心が入りそうになる度に(無心、無心。明鏡止水。)と呪文のように唱える。演奏直後は散々だと思ったが、彼女は手放しで褒めてくれ、そして録画を後から見たら悪くはない。でも、彼女のコメントが振るっていた。 「本当に素晴らしいのだけれど、欲を言えば、無心で弾きすぎている。無心で弾いて良いのはブラームスとかバッハとか本当に偉大な作曲家だけ。トッホの曲は私は凄く気に入ったけれど、耳馴染の無い曲だし、もっともっと奏者のキャラを足さないと曲が浮かび上がってこない。もっとマキコの創意工夫を大げさに前面に出した方が良いのじゃないかしら。」 ...バランスというのは本当に難しい... その後、お寿司をおごってもらってしまった!そして気が付いたら深夜。ちゃんと寝なきゃ!本番まで後5日。


