霊長類学者の山極寿一教授によると、体重に対する脳の比重は、自分に直接関係ある社会の人数によって増えていくそうで、人間の場合その計算で行くと250人くらいなのだそうです。私は1000人以上の演奏会場になると、スポットライトが眼に入って客席が完全に見えなくなり、ブラックホールに向かって弾いてるような感じになります。興行として成り立たせるのは難しいのですが、理想的には聴衆の方々一人一人と目を合わせられる大きさの会場で演奏したい。これがぎりぎり250人じゃないか…という気がしています。
回復気分が私たちの周りに蔓延している。外を歩いていても、人の表情が明るい。家族連れが沢山ハイキングしていて、確かに80パーセントの人がマスクはしているけれど、でもみんな大きな声で会話を楽しんでいる。一時期は口を開けることさえはばかられる感じだったのに。そしてアメリカは今週末はメモリアルウィークエンド。夏の始まりを意味する、アメリカ人にとっては季節感のある3連休。
信仰深い友達に「祈ってね」と言われる。病気の診断を受けた友達。Covid-19の最中に出産予定日を迎える友達。親しい人を最近亡くした友達。「祈ってね」と言われて、でも私は宗教を持たない人間なので、「祈ります」というのが何だか後ろめたい。皆の平安と幸せを願っているし、出来ることは何でもしたいと思うのだけれど...だから「アヴェ・マリア」を弾こうと思った。そして弾きながら、ああ、ピアノを弾くことが私の祈りなのかな~、と思った。一生懸命「祈り」ました。
音楽の治癒効果にはマインドフルネスとマインドワンダリングの両方があるのではないか、と思っています。音楽の聴覚体験を時間をかけて追うことによって、その言葉を超えた時空の実感を愛でるというマインドフルネスの側面。そしてもう一方で集中する対象を抽象的な音楽にする事によって、マインドワンダリングの漠然とした世界に意識を放り込む。