ニューヨークのクリスマス
年末年始のニューヨークは絢爛豪華だ。木や茂みには色とりどりの豆電球が点り、満艦飾のツリーが立ち、街角でサンタがベルを鳴らし、いつもどこかでキャロルが鳴っている。飢えや環境破壊が蝕む世界で富を誇示するかのようなニューヨークのクリスマスは傲慢かもしれない。装飾の動機を消費活性対策と見れば浅はかにも見える。しかし北海道と同じ緯度に位置するニューヨークの長くて暗い冬がそれで救われるのも事実だ。鼻息も白くなる寒さの中で夢の様にきれいな豆電球は北風でにじむ涙の中で本当に暖かく見える。 一年前、世界貿易センター崩壊直後、それでも例年どおり灯りは点った。被害者追悼の花束、ろうそくは街中で見られ、追悼の集会も数多く続いたが、同時に普通の生活を取り戻す努力に全力を尽くすことによって、生存者の平常心とニューヨークの健在のイメージを保とうとしていた。自粛で悲劇への共感を示そうとする日本に対し、この国はとても行動的だ。貿易センターの跡地は週7日、1日24時間の作業の結果、1年で片付けられた。周囲のオフィスビルでは仕事が再開され、新ビルの再建計画が進む。そして又1年、灯りが点る。同時に受けた傷を癒す努力も続けられる。クリスマスのチャリティーイベントがいたる所で開かれる。12月17日には私も友達と連れ立ってチャリティーコンサートを開く。収益は全て被害者の子供達の為の夏のキャンプに寄付される。最後にはサンタも出てくる予定だ。