睡眠中は日中の学習の記憶を整理する大事な時間で、従って猛勉強中はできるだけ沢山の睡眠時間を取った方が効率が良い、と言う説を本でも読んだし、色々な人に聞いていて、努めて少なくとも7時間は毎日眠るようにしていた。ところが私は心配になるほど、安眠・熟睡なのである。そして予想に反して、日中の勉強に関係のある夢なんて、これっぽっちも見ない。大丈夫なんだろうか…
そしたら、快挙!今、見たのです!(寝起きです)
昨日はルネッサンスが一段落して、お祝いと中休みで友達と夕飯と映画鑑賞で夜を丸々休んだのです。とても楽しいひと時だったのですが、そしたら真夜中の3時ごろに目が覚めてしまって(自分に課した模擬試験で落とした質問があったにも関わらず遊びに行った!起きてミスした問題の復習を今するべし!)と言う居てもたっても居られない気分で、ごそごそ起き上がり、復習して、寝なおしたのが朝5時半。そして見た夢が…
私はパーティーに呼ばれていて、大きな食卓でご飯を食べています。そしたら真向かいの人が、「1500年生まれの芸術家は盲目が多い」と言う話をしています。私は思わず「エ!?1500年生まれの作曲家にも盲目が多いんですよ!」とさえぎります。向こうは尋常ならぬ興味を持って「例えばどんな作曲家ですか?」と聞いてくれる。私は一生懸命「クレメンス・ノン・パパ(1515-55)とか、ニコラス・ゴンベルト(1495-60とか、クローディン・セルミシー(1490-1562)とか…」と時間をかけて考えながら答えます。
(長い脚注:ただし、これ等の作曲家が盲目であったと言うのは夢の中の作り話です。中世とルネッサンスの作曲家で盲目だったのは二人。ダンテのDivine Comedy(1307)がきっかけでイタリア語だって素敵な芸術が出来る(それまでのイタリア世俗音楽は主にフランス語!)と言うことになり、イタリア世俗曲(中世マドリガル、カッチア、そしてバラッタ)が流行した、『トレチェント』と言う時代があります。その代表の作曲家、フランチェスコ・ランディー二は絵描きの息子として生まれましたが、幼少の水疱瘡がきっかけで盲目となり、音楽家になりました。それから、スペインのオルガニスト・作曲家のアントニオ・デ・キャべゾン(1510-66)。彼は聖ローマ帝国の皇帝でも在ったチャールズ5世の妻のお抱えオルガニストとして生涯をすごしたので、当時はやりの出版で稼ぐと言うことをする必要は無かったのですが、死後息子が出版した作品集によってその作品が明らかに。ジョスカン・デ・プレズのモテットを鍵盤楽器用に編曲した「モテット」が彼特有なジャンルである他、当時流通し始めていたクラヴィサンや、ハープシコードのための『ティエントス(楽器演奏のための複声部の曲)』、変奏曲などがあります。更に、彼は歴史上初めて鍵盤楽器の演奏に親指を用いたことでも重要な人物です。―歴史上、盲目の作曲家が二人とも鍵盤楽器奏者なのは興味深い事実です。さらに、思い返してみれば、このキャべゾンは『1500年生まれの盲目の芸術家』に当てはまるでは在りませんか!? 恐るべし、潜在意識)
「え、その中の誰も知らない―どういう作曲家たちなんですか?」とのお尋ねに、「これ等の作曲家はルネッサンスの始まりから音楽界を牛耳った、Burgundy出身の作曲家で、5世代に分けられるんですが、有名どころではジョスカン・デ・プレズ(第3世代1450-1521)とか、デュファイ(第1世代1400-74)とか、オルランド・ディ・ラッソス(第5世代1532-94)位で…」と私が考え、考え答えると「え、そのBurgundy と言うのは一体どこですか?」「エエえっと…フランスの北からずっと北の方のホーランドとか、…スイス?」
(長い脚注:スイスは夢の中で苦し紛れに言ってしまいましたが、うそです!Burgundyと言うのは今ではフランス中心部のディジョンとか、ブルゴーニュのあたりになるようですが、戦争とか色々な複雑な歴史のために、1400年代ではフランス北部、オランダ、ベルギーなどでした。Burgundy出身の作曲家と言うと、1532年生まれのラッソスまで含みますが、実は「Burgundy」と言う地域は1477年になくなっていて、それ以降の作曲家は正式にはFranco-Flemishなのです)
起きて、色々事実確認をしながら、このブログを書き、やっと少し安心しました。今からBurgundian の作曲家5世代の復習をして、さらにモテットと言うジャンルの復習など、ルネッサンスの総まとめをして、お昼ごろから17世紀、いよいよバロック初期に突入です。
このブログ、いつも楽しみに読んでいます。
私は大学時代にプレバッハ時代のポリフォニー合唱をしていたのですが、今回懐かしい名前が続々と出てきました。 例えば、クレメンス、ジョスカン・デプレ、デユファイなど。 これからバッハの時代に入ったら、増々馴染み深い名前が出てくるでしょうね。
勉強頑張ってください。
>自称ファン第一号さん
読んでくださってありがとうございます。とても励みになります。
英語で勉強したことを、日本語で書き直すと、また脳みその別の部分を使うようでとても良い復習になります。
実はこのルネッサンスの時代の作曲家と言うのは私も、高校時代に属していたジュリアードプレカレッジのコーラスで随分歌ったんです。時間枠外のリハーサルやコンサートに沢山送り迎えをしてもらわなくちゃいけなかったり、周りの人にも大変なご協力を乞うコーラスでしたが、今耳馴染みのある曲に出くわして、その度に結構感動しています。あの頃は英語もままならず、兎に角コーラスは楽譜さえ読めれば良かったので、つかの間の息抜きで何も考えずにただ楽しく歌っていましたが。。。