コロナ日記99:Juneteenth(ジューンティーンス)と人種差別

  • WHOの発表:「新しい危険な局面:81の国々で感染者増加。世界的な増加はスピードアップ。」
    • 南米北米、南アジア、そして中近東が新感染者数の半数以上
    • カリフォルニア州新記録:新感染者数4.317人(6月19日金)
    • ブラジルはアメリカに次いで100万人の感染者を超える。
  • アメリカ政府:WHOから撤退に向けての調整

今日は6月19日:Juneteenth(June nineteenthの略)という黒人奴隷解放の歴史を祝う祝日です。別名Freedom Day(自由の日) , Jubilee Day(歓喜の日), Cel-Liberation Day (Celebration=「祝い」とLiberation「自由化」を足して二で割った造語)or the Black Fourth of July(黒人の7月4日(=独立記念日))などとも呼ばれているようです。

この祝日の歴史的発祥は1865年にさかのぼります。

1865年6月19日、北軍の将軍、ゴードン・グレンジャーがテキサス州のガルベストンで奴隷解放の公布を行った日です。リンカーンが奴隷解放宣言を発令したのは1863年の1月1日でしたが、テキサス州には北軍の存在感が薄く、距離もあったために、奴隷の無料労働を少しでも長く活用するためにわざわざテキサスに移住をする奴隷所有者も多かったということです。1865年の時点ででテキサス州には25万人近くの奴隷が住んでいたとされています。

この日は象徴的な祝日になりました。現在では沢山の州で公共の祝日となっており、合衆国全土での祝日とするべきとの声も多いです。が、実際には奴隷制を違法とするアメリカ合衆国憲法修正第13条の執行はこの年の12月から、そしてテキサス州で奴隷とされていた人たちがテキサス州最高裁で合法的に自由民となるための手続きは1868年から1874年までかかりました。

アメリカ生活31年目にして、私はJuneteenthと言う祝日について今年まで知りませんでした。今年Juneteenthについて調べて書こうと決めるに至ったのにはいくつかの要素が在ると思います。

  • 世界的に続くBLMプロテストの影響で人種差別問題に関するニュースが多い。
  • 私がSNSやニュースを普段よりもずっと多く読んでいる。
  • 私にもっと世界の事を学ぼうという姿勢が在る。
  • 私の黒人の友達が教えてくれようとしている。

ゴードン・グレンジャーが奴隷も含めてガルベストンの多くの人たちに奴隷解放を発表した時、行くあても無いのにすぐさま歩き始めた奴隷が多くいた、という逸話を読みました。他の州の農場に売られてしまった家族と一刻も早い再会を望んだ人も、兎に角現状から抜け出したかった人も、その苦渋が想像される逸話です。

これを読んで思い出したのが、マーガレット・ガーナ―(愛称「ペギー」)という19世紀に実在した女性の話しです。奴隷の彼女は同じ農場の黒人奴隷のロバートと結婚していたのですが、3人いた彼女の子供はみんな農場地主にそっくりで、地主と奥さんの子供よりもそれぞれ3か月から6か月若かったそうです。この家族は農場を脱走するのですが、失敗します。捕獲される前にマーガレットは、奴隷として生きるよりはと長女を殺します。他の2人も殺して自分も死のうとするのですが失敗し、裁判にかけられます。この裁判は色々な意味で複雑化したのですが、論点の一つが彼女の罪状を殺人とするか、自分に所有権の無い物の破損とするか(奴隷は所有物だったので)と言うことだったそうです。この裁判が1856年です。

奴隷解放後、黒人男性が暴行を受けたりリンチで殺されるときによくつけられた言いがかりが、「白人女性に色目を使った」「白人女性に声をかけた」というものだったようです。でも実際には白人男性は何世代にもわたって黒人女性をレイプしていたのです。むしろその後ろめたさがあるから、そういう被害妄想に陥るのではないか?人間というのはそういうものでは?と思います。人を傷めつけると自分も周りに傷めつけられるかもしれないと疑心暗鬼になる。だから「自分がされて嬉しいことを周りにしましょう。」なのでは?利他主義が最も理に叶った利己主義なのでは?

マーガレット・ガーナ―の裁判から約100年経った1955年、エメット・ティルという黒人の14歳の男の子が惨殺されます。彼はシカゴ出身だったのですが、黒人差別の激しい南部に親戚を訪ねて休暇に行った際、現地の男の子にそそのかされて白人女性に声をかけ、リンチにかけられます。彼の遺体は破損が著しく本人かどうかの確認は付けていた指輪でしか行えなかったそうです。どれくらい酷いリンチだったかと言うと、例えば片方の眼球が無くなっていたそうです。

エメット・ティルの悲惨な死は市民権運動の一つのきっかけになりました。

ライブ配信を行います!

アメリカの6月20日(土)西海岸5PM ~5時半、東海岸8PM~8時半/日本6月21日(日)朝9時~9時半。これから毎週末にライブ配信を行うことを検討しています。その第一弾です。よろしければこちらのリンクからご参加ください。

1 thought on “コロナ日記99:Juneteenth(ジューンティーンス)と人種差別”

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