演奏道中記4.30:パターン vs. 表現

12日後に大きな本番があります。それに向けて気持ちを引き締め、コンディションを整えていきます。

最近、朝飯前の練習で一日を始めています。起床後、身支度を整え、レモン水を飲んだらまず、練習をするのです。一日の練習の方向性や課題が見定まり、その後ずっと脳の中で朝の気付きからの発展があります。

このブログでは今朝の朝飯前の気付きを、ここに忘備録として書き留めます。

音楽でも言語でも、コミュニケーションではまず合意できるパターンをまず設立しなければいけません。これが瞬時、かつスムーズに済めば済むほど、その後のやり取りがノッた状態で行えます。第一音をどう発音するかで、その曲の雰囲気をまずはっきりと提示する。テンポ感を数秒で確立する。この為には、弾き始める前の姿勢と呼吸から曲に入り込んでいる事が必須です。

拍子・旋律・和声のパターンが設立できたら、しばらくは自然のノリで良いのです。体の力を抜いて、身を委ねる感じで行ければ最高です。(力むと瞬時瞬時を追う結果となり、パターンが把握しにくくなります。)でも程度は曲によるのですが、パターンを忠実に再現するだけでは単調になります。そこで大事になるのが、フレージングをはっきりさせる句読点と、意表を突くということです。

フレージングをはっきりさせる句読点は、色々な表現法があります。強弱・歌いまわしの方向性(前向きvs.後ろ向き)・間…最後の『間』は特に重要です。残響の多いホールでは『間』の感覚が普段の練習とはだいぶん変わりますが、聴き手にとってはそんなの知ったこっちゃありません。そして空白が無いと絵が際立たないように、静寂が無い音楽はノイズになりがちです。

意表を突くというのは、これは作曲家が意図した楽譜に書き込まれているものも多くあります。ただそういうことを、奏者がきちんと認識して弾くのと、そうでないのでは、大きな違いがでます。更に、楽譜を忠実に再現しながら、聴衆の意表を突くという創造の余地が、奏者には多いに残されています。それが奏者の解釈であり、音楽性です。

一番大事な事は、パターンと、単調さを回避するための創意工夫のバランスです。後者が勝ちすぎるとパターンが分からなくなり、奏者と聴衆の間に溝が生れます。が、単調さだけだと退屈さが奏者と聴衆の意思疎通を不可能にします。

...と、自戒の覚書をしたところで、もう少し練習します。

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