毎年、プログラムを決めるのは楽しみです。
メニューを決めるコックさんもこんな気持ちなのではないか、と思います。 バラエティーも勿論大事ですが、一貫したテーマ、と言うのも欲しい。 また曲どおしがお互いを活かしたり、殺したりすることもあると思うので、そこも大いに考慮しているつもりです。 今年はベートーヴェンの大曲、ハンマークラヴィア・ソナタを後半に据え、前半はソナタの誕生から発展を追って、ソナタの形式と歴史を提示するプログラムにしてみました。 曲目は以下の様になります。
ドメニコ・スカルラッティ:ソナタ 二短調、K.5(1738)…… 4’00”
(1685~1757) -Allegro non troppo (アレグロ、でも速すぎず)
ソナタ ニ長調、K. 119(1749)
-Allegro (アレグロ)…… 5’00”
W.A .モーツァルト:ソナタ2番、ヘ長調、KV280(1775)
(1756-1791) 1楽章、Allegro assai (充分アレグロで)…… 4’45”
2楽章、Adagio(アダージオ)…… 6’33”
3楽章、Presto(プレスト)…… 3’12”
ジョセフ・ハイドン:ソナタ59番、変ホ長調、Hob.XVI/49 (1790)
(1732-1809) 1楽章、Allegro (アレグロ)…… 7’26”
2楽章、Adagio e cantabile (アダージオで歌って)…… 8’14”
3楽章、FINALE-Tempo di Minuet
(フィナーレ、メニュエットのテンポで)…… 3’56”
(休憩)
ベートーヴェン:ソナタ29番、変イ長調、作品106
(1770-1827) 「ハンマークラヴィア」(1818-1819)
1楽章、Allegro(アレグロ)…… 11’00”
2楽章、SCHERZO―Assai vivace
(スケルツォ―充分と生き生きと)…… 2’38”
3楽章、Adagio sostenuto
(歩くテンポをやや引っ張って)…… 19’23”
4楽章、Largo:Allegro risoluto
(ラルゴ:決然とアレグロで)…… 12’16”
それぞれのソナタが書かれた年をご覧頂くとお分かりになりますが、スカルラッティの1738年を頭にハンマークラヴィアの1819年まで、ほぼ等間隔で5つのソナタを聴いていただけるプログラムになっています。 また、モーツァルトとハイドンはお互いへの深い尊敬を持って影響しあった古典の巨匠ですし、その二人より若いベートーヴェンはハイドンの弟子でした。
このプログラムの中では一番知名度の低い、ドメニコ・スカルラッティはイタリア人で、スペインの皇女のお抱え作曲家となってから実に600の鍵盤楽器のためのソナタを書いた人物です。手をすばやく交差させたり、連打を続出させたり、当時にしたら驚きの業をたくさん取り入れたソナタ達は鍵盤楽器の可能性広げ、初期ソナタの位置確固たるものにするために多いに貢献しました。
ホロヴィッツが好んで弾いた作曲家です。
お楽しみに!