ご自分も何十人ものピアノの生徒を抱えているのですが、
この頃縁あってご自身の演奏の助言をさせて頂いている、大変聡明で行動力のあるYさん。
時々、お勧めの日本語の本をお貸ししてくださるのです。
日本語に飢えている私にとってはたまらない楽しみです。
その彼女のお勧めで読んだ、長澤信子著「台所から北京が見える」。
36歳になってから著者が「ライフウォーク」として始めた中国語。
1969年のこと。まだ中国と日本の国交は断絶状態の時代である。
それに全力投球して、しかも勉強の経費を賄うため、途中で看護婦の資格まで取って働きながら、
家事、子育て、看護婦としての仕事、そして中国語の勉強をこなし、大学にまで行って、
1978年に日中平和友好条約が結ばれてからは、公の場や、旅行会社の依頼で
中国と日本を行き来するキャリアウーマンとなった女性の手記である。
彼女の勉強の仕方が凄い。
1.リスニング
台所と(流しの水を流す時は必ず同時にスイッチ・オン)、脱衣室(洗濯中と入浴中用)、そして居間と寝室にテープレコーダーを置いて、中国語の漫才や朗読を繰り返し聴く。
辞書も台所、洗面所、枕元、食堂、あたりを見回せば必ず辞書が目に入るようにして、まめに辞書を引く。
2.朗読
百本のマッチを空箱に入れて、教科書の朗読5分間位分を、家事の合間などに2、3回ずつ朗読して、マッチ箱が全部ふたの方に移動するまで、繰り返す。
3.カードに考えをまとめる(梅棹忠夫著『知的生産の技術』にヒントを得て)
京大型カードを一万枚注文して(カードに新しい知識を書き留める注文をつけるため、1万枚を机に積み上げた)新しい単語や、中国文化に関する豆知識を片方に中国語、もう片方に日本語で短文にまとめる。
梅棹忠夫氏によると『ノートに書かれた知識は、しばしば死蔵の状態に陥りやすい。カードの操作の中で一番重要なことは、組み換え作業である。知識と知識とを色々に組み替えてみる。そうすると一見なんの関係も無いように見えるカードとカードの間に思いもかけない関連が存在することに気がつく。その時、すぐにその発見をまたカード化する。』
凄い!
これから受験勉強を始める私にとっては襟元を正すような気持ちにさせられる。