コロナ日記112:明日の演奏ライブ配信と複雑な独立記念日

  • 7月3日(金)の新感染者、木曜日について5万人を超す
    • Covid-19感染者の数に対して犠牲者の数は少ない:4月~5月は一日の犠牲者が3千人台=今は600人ほど
      • 4月~5月は感染者の7~8%が死去していたのに対し、今は5%弱(ニューヨークタイムズ)
        • 理由①:検査数が多い=初期患者への治療が可能
        • 理由②:治療法が確立してきている。
  • 明日の独立記念日に関して
    • 毎年独立記念日恒例の花火やパレードはほとんどの都市でキャンセル
      • 副大統領ペンスも次期大統領候補バイデンも独立記念日の祝祭イベント不参加
      • トランプはマウントラッシュモアの花火に参加。
        • 2009年から山火事と汚染の危険から花火をしていなかった場所での花火大会に住民から抗議
    • BLMプロテストが独立記念日にDCを中心に各地で催される。

明日は土曜日。朝練のライブ配信の代わりに30分の演奏配信を夕方(アメリカ時間)にやる日です。(日本では翌朝、日曜日の9時からです。)下をクリックしていただくと、ご覧いただけます。

明日はアメリカ独立記念日です。

私は13歳からアメリカ在住の割にはどうもアメリカの祝日にはあまり思い入れが無いのです。それはホームステー先のアメリカのお父さんとお母さんに対する十代の反抗期も在ったかも知れません。復活祭にチョコレートのウサギちゃんがや色とりどりの卵が入ったまるで小学生の女の子にあげるようなバスケットをプレゼントされると「私はクリスチャンでは無いので」と断ったり、独立記念日に街のパレードや花火を見学に行こうと誘われると「練習があるので」と行くことを拒否したり…本当に可愛くなかった!

でも、自己弁護をさせてもらえれば、私は私のアメリカ人のお父さんやお母さんや、彼らの友達みんなに「アメリカはみんなが憧れる偉大な国」「ヨーロッパ人以外はみんなアメリカ人になりたいはず」「アメリカが一番素晴らしい国」と言うおごりに、絶対死守しなければいけない何かを感じていたのです。私の実の家族が日本に帰国した後、何度も聞かれた「Are your parents still in Japan?(あなたのご両親はいまだに日本にいるのですか?)」と言う質問。(みんなアメリカに移住したいはず)という上から目線に苛立ち、この質問を受ける度に「私の両親は日本が大好きで、日本でとても幸せに暮らしています」「アメリカに移住する事はないでしょう」とわざと自慢げに言ったりしました。(実際には父はアメリカのゴルフ場が、母はアメリカの生活様式が大好きで、私をいつも羨ましがっていました。)

あの時は反発するしかなかった。まだ十代で、英語もつたなく、そして自分の感じることを自分でもきちんと理解できていなかった。でも今は違います。

アメリカ独立宣言を書いたトーマス・ジェファーソンは「すべて の人間は生まれながらにして平等であり、その創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不 可侵の権利を与えられている」と唱えながら、同時期に130人の黒人奴隷を所有していました。

アメリカ合衆国は民主主義の理想の基に作られた国ですが、原住民の虐殺を経て、ヨーロッパ移民の国となった歴史を背負っています。ヨーロッパの移民が来る前から1900年までの間に、アメリカ原住民の人口は80%~98%減ったという風に言われています。更にアメリカは1619年に最初にヴァージニア州に連れて来られた20数名のアフリカからの奴隷と、それに続く何百万人と言う奴隷の無料労働によって経済成長を遂げた国です。

日本人を含む東洋人が受けてきた人種差別というのもかなりの物です。肉体労働者として酷使されたり、移民法での差別や、そして第二次世界大戦中の日系人の収容など。その歴史を考察すれば、ここまでずいぶんポジティブな進化を遂げてきたことも認めなければいけません。でも同時にそういう歴史的背景の残証があってしかるべきなのはご想像頂けるのではないかと思います。なぜ10代の私が必死に反発をしなければいけなかったのか。

今、こういう本を読んでいます。

小説「シンパサイザー」を読む。 : 竜暗雑記帳

ダブルスパイとしてベトナム戦争で活躍した男性が、独房で告白を書き綴る、という形の小説です。歴史小説・スパイ物・ミステリーでありながら、痛烈にアメリカを批判する風刺本と言う風にも取れます。2016年のピュリツァー賞を撮っています

この本の中で、こんな文章に出会い、息を呑みました。

“…Why else do they shoot first and ask questions later? Because to them all yellow people are guilty until proven innocent. Americans are a confused people because they can’t admit this contradiction. They believe in a universe of divine justice where the human race is guilty of sin, but they also believe in a secular justice where human beings are presumed innocent. You can’t have both. You know how Americans deal with it? They pretend they are eternally innocent no matter how many times they lose their innocence. The problem is that those who insist on their innocence believe anything they do is just.”

「…どうして彼らは撃ってからしか我々の話しを聞かないか知ってるか?黄色人種は無罪と宣告されるまでは有罪と推定するからだ。アメリカ人ってのは自分たちの矛盾を認められない、混乱した人種なんだ。彼らは最後の審判と原罪を信じる癖に、法的には有罪宣告までは無罪推定とする。両方成立は不可能なんだ。アメリカ人がどうやってこの矛盾を解消してると思う?どんな罪を何度犯しても永久永劫無邪気なフリをするんだ。問題は自分の無邪気さを信じ込む人種というのは、自分が取る全ての行動が正義と信じてしまうってことだ。」

『シンパサイザー』ヴィエト・タン・ウェン【著】

今まで自分が言葉にできなかったもやもやを一気に言葉にしてくれた感動がありました。そして今注目を浴びているの黒人差別の問題が歴史的な東洋人差別と重なって、色々な事に一挙に開眼したような感が在ったのです。

今年の独立記念日は花火も上がらないし、パレードもキャンセルです。その代わりにブラック・ライブズ・マターのデモ行進が多く企画されているようです。成長痛はありますが、でも世界は正しい方向に向かっています。私はそんな日を、ロシア系ユダヤ人移民の子供としてアメリカで生まれたジョージ・ガーシュウィンの曲と、ドビュッシーの「花火」で、祝おうと思います。ピアノからどんどん音の花火を上げますよ!みんなで一緒に叫びましょう!「た~まや~」

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