大変ご無沙汰してしまいました。皆さん、お変わりありませんか?
NYも大分暖かくなってまいりました。この頃よく雨が降りますが、去年の4月1日に雪が降ったのを思い出せば、今年のやわらかい雨(寒い時の雨は痛い)は、大歓迎です。
先週の土曜日、4月2日はジュリアードでチェロと室内楽の教授をしているチェリスト、アンドレ・エメリアノフとリサイタルをしました。シューマンのFantasystucke, ブラームスの歌の編曲と、ブラームスのチェロソナタ、一番を弾きました。16才で初めて室内楽を教わった時は、こんな日が来るとは思わなかった。ここ4年、彼の生徒達のレッスンを伴奏しているし、向こうも私の事をよく分かってくれているので、本当に楽しく弾けました。(こう来るかな)と思うとちゃんと来るし、(ついておいで)とこちらが揺らせば、本当についてきてくれるし、夢の様だった。今月半ばは、ドビュッシーのチェロソナタ、フランクのソナタ、そして小品の数々で又、リサイタルをします。本当に楽しみです。
私は今まで本当に暗中模索の無我夢中の我武者羅で、ただただ量を練習してきたけれど、この頃は一寸息を抜いて、距離を置いて、コンサートや美術館にたくさん行って、練習も鍵盤に向かって実際指を動かす練習を最低限に、楽譜や文献を読む時間を増やすようにしています。又、音楽が楽しくなってきました。
さて、締め切りを押してしまいましたが、今年の夏のプログラムです。「音楽に組み込まれた暗号」と言う題(そういう意味の題、もっと語呂が良いのがあったら、教えてください)。
このプログラムの中心は、シューマンの幻想曲になります。この曲はロバート(作曲家)とクララ(リストと並ぶ当時最高のピアニスト)が結婚する前、クララの父親の反対によって引き離されていた二人が曲に暗号を組み入れる事によってその愛を確かめ合っていた時期の究極的なロマン派の曲です。色々組み込まれているのですが、それをお客様に聞き分けていただく為には、まず、前半に簡単なモチーフを見つけていただく事だと思いました。ベートーベンは、私が弾きたいので弾きますが、ベートーベン以降、前半の全ての曲はソ#からド#への下降(舟歌だけは、ド#からソ#への上昇)を発展する事で成り立っています。これは、誰でも簡単に聞き分けられると思います。
それから、今年は前半はトーク無しでやってみようかとも思案中です。このモチーフは本当に簡単に見つけられると思うし、曲と曲の間に、私がピアノで「ポーン、ポーン」と弾けば、さらに間違いなく聞こえてくると思う。そうしておいて、後半の始まりで、モチーフの概念の簡単な紹介(前半の曲を引き合いに出して、説明する)、とそれがシューマンの幻想曲でどのように使われているかを説明する。「愛のテーマ」、「クララのテーマ」、「夜のテーマ」、「伝説のテーマ」など、こちらがてれてしまうくらい一杯あって、しかもその全てを手紙の引用などで立証できるのです。 あんまり一杯あるので、もしかして人手とスライドかプラカードがあれば、誰かに「クララのテーマ」、「愛のテーマ」などと、表示してもらうというのも、考えたのですが、これはどうかな。
リハーサルが必要になるし、それにお客さんの気が散っちゃうかもしれない。 ジョークになっても困るし(こっちは大真面目なので。 これを弾く事で、自分にも良縁が回ってくればいいと密かに思っている。)…それに、二つ以上のテーマが同時に出てくる時は、どうすればいいか、と言う問題もある。
前置きが非常に、非常に長くなりました。プログラムです。
ベートーベン ソナタ(作品54、ヘ長調-11;56か
作品27-2嬰ハ短調「月光」-12;33
又は作品57へ単調「熱情」-23;59)
バッハ 前奏曲とフーガ4番、嬰ハ短調、BWV849(10分くらい)
ラフマニノフ 前奏曲作品3-2 (3分くらい)
ショパン 幻想即興曲、作品66 (4;55)
ショパン 舟歌、作品60 (8;27)
――――-――――休憩――――――――――――――――
シューマン 幻想曲、ハ長調、作品17 (32;49)
どうでしょうか。
ご感想、お聞かせいただければ、幸いです。ぁ、それから、CD夏に間に合う様に創ってしまおうと思っていますが、ショパンのソナタとハイドンのソナタに、何を加えたらいいでしょう。案があれば、なるたけ早くお聞かせください。