プログラム、「初心にかえる、古典にもどる」のこころ

ピアノは比較的新しい楽器です。もともと在ったのは管楽器のように空圧を利用するオルガン、ハープのように弦をはじくハープシコードなどもっと歴史の深い鍵盤楽器。これに続いて、叩いて弦を響かせるピアノの原型が普及し始めたのはハイドン(晩年)やベートーヴェン、シューベルトの時代です。
ですからピアニストがピアノのレパートリーを理解する上で基本にするべきなのが、この古典派の曲たち…ということで今回はベートーヴェンとシューベルトの代表的な名曲をそろえてみました。 (チラシにあるモーツァルトのソナタKV322は時間の都合上やむを得ず今回は割愛することになりました、ご了承ください。)
さらにピアノ奏法に大きな発展を見せたロマン派、印象派のリストとドビュッシー。その中でも特にピアノ技巧、並びにピアノのための作曲技法の限界に挑戦している練習曲集を取り上げて、もう一度自分の中のピアノと音楽というものを再認識、再定義してみようというのが今回のリサイタルのプログラムの趣旨です。
バロックから20世紀までの作曲家がそれぞれの時代の鍵盤楽器のための練習曲という媒体を通して何をどう表現するかという興味から造った「Etude, Seriously」も同じ趣旨で2006年末から録音を始め、この5月に仕上がりました。
今まで固定観念にとらわれることを嫌って、歴史や一般的な連想の多い有名な曲を避けてきた私ですが、修士を2001年に卒業してから6年ぶりに学校にもどり、もう一度系統だった勉強を再開しました。
今回のプログラムと新発売のCDはそんな私の「祝・初心、探究心、チャレンジ精神」宣言だと思ってくださると嬉しいです。

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