読書

読書の日曜

昨日はアイス・スケートもしたし、その後お友達と美味しい中華を食べにかなり遠くまで出かけたりととても活動的な一日でしたが、今日は朝練習、昼ちょっと日常品の買い物に出かけた以外は、ひたすらジョージ・オーウェルの小説、「1984」を読みふける一日でした。そう言えば先週の日曜日は村上春樹の「1Q84」の上巻を読んで一日過ごしたなあ、と思い出します。まだロスに戻って来て一週間しか経っていないなあ。その割には色々やったし、色々在ったなあ。 「1Q84」の上巻は一人で読んでいて段々悲しく成って来てしまう小説でした。ジョージ・オーウェルも始めはそういう感じで、実はちょっと恐る恐る読み進めていたのですが、途中から一気に希望的観測が出て来て、今ちょっと中断してブログを書くのももったいない感じ!今日は読み終えるまで眠れないと思うので、ブログはここで終えます。 ジュリア、と言うキャラクターが素晴らしい!

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これからの読書

私はこれから沢山の読書をすることに決めました。 ロスの私が居る所は、ダウンタウンのど真ん中です。ロサンジェルスの中央図書館が歩いて5分の所に在ります。中央図書館は地上4階、地下4階の巨大な建物で、楽譜も、音楽のCDも、映画のDVDも、そして色々な言葉の本も揃えて在ります。日本語の本も大きな本棚二つにわたって在り、コルバーンにオーディションしに初めてロスを訪れた時、私はこの日本語の本の山に狂喜しました。 この中央図書館の他にも、リトル・東京と言う、戦前からの日本からの移民が長年かかって築きあげてきたロサンジェルスの日本人コミュニティーの中心地に、リトル・東京・ライブラリーと言うロサンジェルス公共図書館の支店が在って、ここにはさらに大きな日本語の本のコレクションが在ります。ここは、本だけでなく、日本語のマンガや雑誌や映画も沢山あるのです! でも、これから私が読もうと思っているのは英語の本です。私は在米20年の割には、日本語保持に努力してきたつもりですし、時々変な日本語を喋りますが、まあ普通に喋り、読み書きできると自負しています。特に読むのは凄く好きで、単行本なら(内容にもよりますが)数時間で読みあげられます。 それに比べて、英語は、日常会話は不自由しないし、普通に読み書きできますが、スピードがずっと遅いのです。これは実際の私の英語の能力の反映と云うよりも、13に渡米した時から引きずっているコンプレックスが原因ではないか、と思うのです。読んだり、書いたりしながら、常に自意識過剰に、自分が本当に理解しているか、本当に正しい語彙、文法、スペルで書いているか、疑いながら読み書きしているので、何度も読み返して、確認し続けて、遅くなるのだと思います。これを克服するためには、面白くて次に進まずにはいられないような英語の小説を一杯一杯読もう! 今日はナボコフの短編集と、オーウェルの1984を借りてきました。

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1Q84上巻

昨日の夜は演奏会の打ち上げで、就寝は1時を過ぎてしまった。東海岸と西海岸の時差は3時間、東海岸の方が早い。つまり、私は一昨日だったら朝の4時に就寝したことになる。とても楽しかったけど、朝9時に起きた時はちょっと疲れた感じで、練習をしようかなあ、とちょっと思ったがすぐあきらめ、午後半ばまでかかって1Q84上巻を読破した。(途中何回か昼寝をちょっとずつした)。 村上春樹はアメリカでも凄い話題の作家だ。1Q84の英訳はまだ出ていないらしく、まだこちらの友達とこの小説の話しが出来ないのが残念だ。私は6年前、「ねじまき鳥クロニクル」を全3巻を2日で読破してからしばらくの間村上春樹フィーバーに陥り、村上春樹の作品はほとんど全て読んだ。しかし、食傷気味になる位一人の作家、特に個性の強い彼の様な作家を読み続けると色々なパターンが見えてくる。そして私は「村上春樹は偉大な作家では無い」と言う結論をその段階で出した。これは遠藤周作の「偉大な作家と云うものは優れた異性のキャラクターを描ける人だ」と云った、その基準によるものだ。これまでの村上春樹の作品では女性のキャラクターがいつも似ていた。ミステリアスで、何らかの不思議な超自然的な力を持ち、そして主人公が近付きたいと強く願ってもなぜか近づけない。もう一つの村上春樹の女性キャラクターの特徴は、彼女らの視点と云うものが欠如していることだ。ドラえもんのしずかちゃんもその例の一つだが、例えばしずかちゃんの視点からドラえもんの話を語ることは不可能なのだ。何だかとても僭越な書き方をしてしまったが、村上春樹はある意味、在るグループの人々にとっては日本の象徴だ。ジュリアードの作曲科の学生(勿論アメリカ人)の一人はねじまき鳥クロニクルに感動のあまり、「ねじまき鳥クロニクル」と言う三部作から成るピアノ曲を書いてしまったくらいだ。私は村上春樹を始めとする日本を肩に背負うような日本人には本当に頑張ってもらいたいし、もっともっと凄くなってもらいたい。だから厳しく批判的にもなってしまったりするのだと思う。(ちなみにドラえもんもアメリカで凄い売れている。日本語の教材に使われたり、英訳のドラえもんも沢山出ている) しかし、今度の1Q84では、女性が主人公で、そして色々な女性キャラクターがふんだんに出てくる。そして皆、凄くはっきりとした人格、視点、そして物語を持ち、男性はそれに比べてこの作品では少し影が薄い。図書館の手違いで、下巻がまだ届かず、上巻だけではまだ何とも言えないが、私は本当に今日はとても触発された。村上春樹はこんなに有名になって、こんなにもてはやされて、それでもまだまだ作家として成長、自己開拓をしている。 すごいなあ、と思う。 夜はチャンと練習しました。

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まきちゃ、武士道を行く。

先週、夜中に目が覚めてそのままずっと寝付けない日が続いた。 眠れない時悩み始めるのは、最近読んだ本の内容についてだ。 "Mozart in the Jungle – Sex, Drugs, and Classical Music" と言う本で 作者はBlair Tindallと言う女流オーボエ奏者、NYのフリーランサーを何十年もやっている。 私も2006年にロスに来るまではNYでずっとフリーランスをしていたし、 「知り合いが沢山出てくるよ。皆、怒っている」と昔のフリーランスの仲間から教えられ、 暴露本を読むような、軽い気持ちで読み始めた。 しかし、そこに詳しく引き出される統計が、私にはショックだったのだ。 例えば、音楽大学の年間学費(マンハッタン・スクールは2004年は$24,500、約240万円)は アイヴィ―リーグの年間学費(ハーバードは同年$27,448、約270万円)とほぼ変わらないが、 音楽大学では音楽以外の一般教養の授業はほとんど全く行わられず、 したがって音楽大学を卒業しても、音楽以外の職に就くことは難しい。 なのに毎年アメリカでは約5千6百人の音楽学生(修士・博士を含む)が演奏課程を卒業し、職を求める。 けれども定収入を得られる数少ない選択肢の一つである、オーケストラの募集は毎年約250。 そのオケだって、多くは負債をため込み、倒産寸前のところが多い。 教職はこの本には統計が出ていなかったが、大学生レヴェルを教えようと思ったら、 一人の募集に何百人もの応募者が集まる、と言う話はよく聞く。 そしてこういう定職の多くは年間収入が$3万ドル(約300万円)か、それ以下。 フリーランスで食べて行くことを余議なくされる音楽家はたくさんいるので、競争率が激しい。 そして、その需要もバブル崩壊後、経済の影響と、音楽におけるテクノロジーの進出、 さらにより安価でほぼ同じレヴェルの録音を提供する東欧オケの進出で、縮小。 しかもアメリカで定職が無い、と言うことは、健康保険が無い、と言うことである。 一回の病気、一回の事故で、人生は風前の灯になってしまうのだ。 このような統計を今まで全く知らなかった訳では、勿論無い。 身近に実際ホームレスになってしまった先輩もいる。 しかしコルバーン在籍中の今まで4年間、 生活費から学費まで全部支給される温室的な環境でぬくぬくしてきた私には全くの 「寝耳に冷や水」だったわけだ。 そして、コルバーンは今年で卒業。 これから、私はどうなるんだろう。。。 ここで私が思い出すのは、剣が実際に戦闘に使われなくなってから書かれた、「兵法家伝書」。 それまでにも、剣を使う者はいただろうが、「剣の為の剣の修行」と言うのは、戦国時代半ばに始まり、 さらに1543年、火縄銃が日本に入り、戦闘に使われるようになると 武士より歩兵の方が重視されるようになった。 その時、自己存在の意義を精神面に求めるため、 武士道のもととなった兵法家伝書や五輪書が戦国時代後に書かれ、普及したようだ。 その心はまさに現代世の中におけるピアニストの私にまっすぐ通じる。 録音された音楽が蔓延し、シンセサイザーたった一台がオーケストラに取って代わる世の中で、 職を失って路頭に迷い、あるいは果てしない旅に出る、何万人の音楽家たちは、 まさしく現代世の中における浪人! でも浪人ひとりひとりの人生は時に物悲しく、時に惨めだったとしても その集大成は日本人の精神力の元となり、さらに現在では世界中の憧れである。 剣道、武士道、茶道、華道、全ては悟りへの「道」である。 と、すればピアノだって「道」でいいのだ。

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病気の時に読む本

もう一日、病欠してしまった。 体温計を所有していないので、はっきりと自分に熱があるかどうかが分からないのだが、 とりあえず昨日よりは気力もあり、体の節々の痛みもほとんどひいた。 それでも、免許証の更新の為の手続きをオンラインでやる、などと言う簡単な雑用をしただけで 10分くらいうとうと寝たくなってしまう。 この病欠中、本は沢山読み漁った。 今回改めて感動したのは、幸田文の「台所の音」と言う短編集。 彼女の描写能力はすごい! 静かに、情景が情緒を伴ってありありと思い浮かんでくる。 本当に別世界に連れて行かれる。 それから村上春樹の「神の子供たちは皆踊る」と言う短編集。 この人も独自の文体と世界を持っているが、幸田文の様に洗練はされていない気がする。 勿論、そういう世界を目指してもいないと思うし、世代も違うのだけれど。 もう少しショック・ヴァリューが大きくて、一瞬息を呑むが、残るものがもう少し浅い。 でも、短編集の村上春樹の女性のキャラクターは、長編ものより面白い。 長編物の村上春樹の女性キャラクターはなんだかパターン化している気がする。 新しく出た「1Q89」はどうなんだろう。 病気の時は本当に日本語の本しか読みたくない。 どうしてだろう。 でも今日はずいぶん回復してきていて、その証拠に今英語の本を読んでいる。 "Mozart in the Jungle~Sex, Drugs, and Classical Music" by Blair Tindallと言う本で、 音楽関係の本を読む気になっているのも、自分の回復状況を反映していると思う。 これはニューヨークを拠点にフリーランスで活躍した女流オーボエ奏者のいわば暴露本で、 私の知り合いも出てくる、と前から噂には聞いていた本だった。 まだ5分の1位の読みかけだが、噂よりも随分きちんとリサーチしてまじめに書いてある本で、 政府の文化補助金に関してなど、ずいぶん私の知らないことが多く書かれているし、 確かに私の知っている人も結構出てくるので、楽しんで読んでいる。 明日は、韓国に公開レッスンと演奏の為に旅立ったペリー先生の代りに 学部生のレッスンを少しすることになっている。 明日は元気に頑張りたいと思う。

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