玉ねぎの涙 vs。 感動の涙
今日はこの学年度初めてのライス大学オーケストラの演奏会が在りました。 私は約3週間にわたるリハーサルを出来る限り聴講し、それぞれの曲の成長を見守って来た気持ちだったので、特に感動、興奮しました。ほぼ満員の会場が最後は総立ちになる、素晴らしい演奏会でした。 リハーサル中、私は何度か涙しました。でもこれは感動した、と言うよりは共鳴した、と言う感じ。例えば完璧に皆の調律がぴったりと合って、まるで宇宙に共鳴したようなハモリ方をした時、別に感情は込め無いのだけれど、何だか水洟が出てくるのと同じ感覚で自分の気持ちと関係なく、涙が出てくるのです。これは本当に、玉ねぎを切っている時に出てくる涙と感覚的には全く一致しています。 しかし、今日の涙は感動の涙でした。 曲目はこんな。 バーバーの「マデアの瞑想と仇」作品23a. デ・ファリャのスペインの庭の夜(ソロはライスのピアノの教授の一人、ブライアン・コンリー) そして休憩をはさんで ブラームス交響曲一番。 バーバーのタイトルに在るマデアはギリシャ神話の女性で、良妻賢母だったのだけれど、夫の浮気に怒り狂い、彼との間にできた子供を次々に殺してしまう、と言う恐ろしいキャラクターです。この曲はもともとマルサ・グラハムが踊るために作った作品をオケ曲として演奏できるように短くした物ですが、物凄く鬼気迫る感じの迫力が在る曲です。リズムが凄く難しいのだけれど、今日のオケは心身ともに一となってと言う感じで、背筋がぞっとしました。 デ・ファリャも素晴らしかった。私はこの曲は生で二回ほど過去にも聞いた事が在るのですが、その時は「なんじゃこりゃ」と言う印象しかなかったのですが、メリハリの利いた演奏で、ブライアン・コンリーも素晴らしく上手で、本当にスペインの雰囲気や、乗りや、けだるさがはっきりと感じられる素晴らしい演奏でした。 そしてブラームスの一番は最高だった。本当に文字通り最高でした。最後に全身がゾクゾクして涙が出てきました。このオケはそんじょそこらのプロのオーケストラなんか比べ物にならない程、上手いです。私は振り欲(指揮をしたい、と思う気持ちの事)がモリモリと湧いてきました。 明日からシカゴですが、道中しっかり勉強しようと思います。