October 2004

ニューヨークのインフレ

 ニューヨークでとても有名な ”Gray’s Papaya” というホットドッグ屋さんがあります。ウィンナーは少し小さめだけれど、玉ねぎのケチャップ煮とキャベツの酢漬け(ザワークラウト)をどっさりのっけてパンにはさんでくれます。ある映画ではホームシックな恋人の為に誕生日にそのホットドッグを中西部まで宅急便で送らせる、と言うシーンが出てくるほどのニューヨーク名物です。その理由はやはり美味しくてしかも安いからです。2000年にこのホットドッグは50セント(約60円)でした。しかし2002年に75セントになり、今年日本から戻って昨日はじめてこのホットドッグを買い求めたら、何と95セント(114円)になっていたのです!!これは4年にして倍の値上がり!  これは極端な例としても、ニューヨークの地下鉄1回の乗車料金も、私がニューヨークに住み始めた1993年に1ドル25セント(145円)だったのが2004年現在2ドル(240円)になっています。それに比べジュリアード音楽院から伴奏者に払われる時給は2000年の14ドル25セント(1710円)から値上がりはしたけれど、2004年現在16ドル(1920円)です。何か割に合わない、インフレを肌で実感する今日この頃です。  でも、私は今ジュリアードでとても楽しく毎日過ごしています。ここで正式に伴奏者として雇われた2000年、私は兎に角練習室が使いたかっただけで仕事は欲しくなかったので隠れてこそこそ一日中練習室にいました。でも段々と自信と気持ちの余裕が出てきて、ジュリアードにいることを大いに楽しもうと思い始めて、今本当に楽しいです。お友達も沢山できたし、上手い子と一緒に弾くと本当に刺激を得られるし、レッスンでも教授が生徒もピアニストも同じようにしごいてくれます。ヴィオラの先生に「もっとブラームスっぽい音を出して!」とヴィオラで手本を示されたりします。図書館も宝庫と言う感じで、練習中ちょっと疑問が湧いたら階段を一階駆け上れば何でもすぐ調べられるし、録音も一杯あるし、、、、、とっても幸せだなあ!

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私のコンサート

 皆さん、お元気でいらっしゃいますか。  私は日本での計7回のコンサートをおかげさまで好評の内に終える事が出来ました。今年4年目、だんだん恒例となってきて、毎年楽しみにしてくださるお客様も増えてきました。  今年は、新しい試みとして、2回ほど親子コンサートを開きました。身近な友人が子供を置いて外出できない為、コンサートにいかれないと嘆いている実態を見て、小さなお子さんのいらっしゃる親御さんへの単なる試みとしてやってみたのですが、需要の大きさもさることながら、泣き出されてしまうお母さんの多かった事に非常に考えさせられました。  これは、私の演奏がどうこうと言うよりも、泣く場所を必要とされている若いお母様が多いのだと思います。こういう場の必要性を感じ、今後の参考にしようと思いました。  又新たなエネルギーと課題を持ってニューヨークでの新しいシーズンを始めています。18日にジュピターでの室内楽コンサートは既にリハーサルを開始しました。いい感じです。  サン・サ―ンスの動物の謝肉祭は、二台のピアノを弦楽四重と木管のアンサンブルが支えます。ナレーターがそれぞれの曲の動物の音楽的描写を面白おかしく解説しながら進行します。白鳥、象、水族館、などに混じって、なぜか「ピアニスト」と言う曲も入っています…!ん?  ドビュッシーの「白と黒」という曲は、1915年に書かれた、ドビュッシーの個人的な戦争に対する反応です。 フランス国歌に似たファンファーレや、ドイツ軍のテーマ、そしてそれらがぶつかり合う戦闘の場面など、かなり直接的に描写が進みます。  ドビュッシーは、第一次大戦開始後、しばらく作曲をする事が不可能なほど鬱状態に陥りました。この曲は、鬱脱出直後に書かれ、二楽章は、戦死した友人に捧げられています。素晴らしい曲です。 18日月曜日の2pm、7;30pmと二回のコンサート 場所は 152 West 66th St. 詳しくは、www.jupitersymphony.com まで。 ご都合がよろしければ、是非いらしてください。  18日の直後の21日から、ポーランドから来米するポーランドのオーケストラとショパンの協奏曲1番で全米ツアーを一ヶ月ほど行います。 去年は、ショパンの2番でツアーに参加させていただきました。ポーランドのオーケストラや指揮者とショパンを弾ける仕合せを満喫しながら、貪欲にポーランドっぽさを吸収して、触発されて、演奏したいと思っています。  これから、紅葉の素晴らしい季節になりますね。皆様、気候の変化の最中お体にお気をつけられて、秋を満喫してください。

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