コロナ日記82:抗議者たちのジレンマとトランプの暴走(門限4日目)

  • デモ行進が感染者を増やすとの恐れが医療関係者の間に蔓延する。
  • 手術は再開:でも献血施設は閉鎖のまま。輸血用の血液が不足。

私が属するUS-ジャパンリーダーシップの仲間には、研究者・起業家・政治家・軍人・宗教家・NPO・国際機関・医療関係者・ジャーナリスト・社会運動家・芸術家と色々な人がいます。何か社会問題が勃発する度にこういう人たちがプログラムの仲間に情報を提供してくれます。Covid-19の時はメディアが騒ぎ出す前から、医療関係者や国際機関従事者などが中心になって勉強会を開いたり、情報提供をしてくれました。

今回のジョージ・フロイド氏の死がきっかけとなった人種差別問題に関する抗議デモに関しては、ジャーナリストや政治家が中心になって、色々情報提供をしてくれています。このプログラムで知り合ってその文才と取り組んでいる問題の深刻さに度肝を抜かれた、ニコール・ハナ・ジョーンズはNYタイムズで全米の教育制度に於ける構造的な人種問題を専門にしています。他にも貧困層支援のNPO創立者やCEOも、LGBTQの権利を主張するリーダーも、色々な人権問題に関して色々教えます。

今朝起きると、二つ非常に感銘を受ける情報がそのルートから来ていました。一つはこちらもUS-ジャパンリーダーシッププログラムで知り合ったロサンゼルスタイムズの論説編集者が書いた記事。余りに感銘を受けたので、日本語訳してしまいました。一人でも多くの人にできるだけ早く読んでもらいたい、と突き動かされたのです。この記事は、トランプが陸軍の介入を命令するきっかけを与えてしまえばアメリカ大統領が持つはずではない権力を大統領に与えてしまい、ますますトランプの独裁化が進む。だから暴動は避けるべきだと言っています。私は、芸術家としては政治的な発言をするべきではない、と考えています。でも、トランプに関してはもはや政治ではなく人間の尊厳の問題だと思っているのです。下に一部抜粋します。

どうぞ日中に道を練り歩いて正義の闘争(1960年代に黒人投票権のために危険を顧みずに運動したジョン・ルイス下院議員の言う所の「良い苦労」)に参加してください。でも夜は、お願いですから帰宅してください。門限を守ってください。法律に従ってください。トランプに、彼がしたくてうずうずしていることするきっかけを与えないでください。あなたの声は今ここで沈静化されるには、大切すぎるからです。そしてこの一件が収まったら、自分の人生をかけて投票してください—実際にあなたの人生がかかっていますから。

そしてもう一つはThe Dailyから出版された「The Weekend of Pain and Protest(苦渋とプロテストの週末)」と題されたポッドキャスト。この中でニコール・ハナ=ジョーンズが挙げている「プロテストの正しいやり方について、プロテスト参加者の間ですら意見の相違がある」という話しに胸がつぶれそうになったので、ここでシェアします。

2人の黒人男性が口論しています。一人は45歳、もう一人は31歳です。二人は「どうやって抗議をすれば白人に分かってもらえるのか」ということについて言い争っているのです。群衆が彼らを囲んで見守りながら、スマホでこの光景を録画しています。

45歳は「もう我慢につかれた。希望を裏切られ続けるのにも疲れた。暴力に訴えるしかない。」と言っています。31歳の方は「暴力はいけない。」と言っています。ニコールは、二人とも正しく、二人とも間違っている、と言います。事実、アメリカは暴力に注目します。もし火事も略奪も警察との衝突もなければ、ここまで大きなニュースにはならないでしょう。しかし、31歳も正しい。暴動を起こせば黒人のステレオタイプを助長してしまうことになる。黒人に対する人種差別を正当化する事にも成り得ない。

31歳がそこで群衆の中にいた16歳を引っ張り出してきます。そして16歳に向かって「大統領は略奪者は撃つと言っている。お前がもし略奪したら撃たれるんだ。」と言い聞かせます。その背景で45歳が「俺はもう撃たれても良いんだ。俺はもう疲れたんだ。この為に撃たれても良い」と言っているのが聞こえます。でも、それにはめげず31歳は16歳に向かって「お前は撃たれちゃダメなんだ。10年後、お前が26歳の時にまた同じことが起こる。その時までに今よりも良い方法を見つけていなくちゃいけない。今やっていることは前進じゃない。でも俺には5歳の息子がいる。このままじゃいけない。何とかしなくちゃいけない。お前が生きて、何とかするんだ。」この時点で男性の声は割れ、涙が彼の顔を覆っています。

ニコールは、多くの人がこの画像を希望をみるだろう、でも自分は違う、と言います。この31歳は、本当はより良い抗議の仕方がないことを知っている。今まで黒人は平和に抗議デモを行い、暴力的にデモを行い、何度も何度も色々なやり方で抗議をしてきた。でも警察の黒人差別と暴力は変わらない。しかし子供には「お前に希望を託す」と言わなければ、子供は絶望して都市を崩壊するしか無くなってしまう。自分の嘘を自覚しながら、子供に向かってはそう言うしかないんだ、と。(この動画は日テレも上げています。2分23秒からご覧ください。

本当に共感して、本当に困窮している人の力になろうと思ったら、まず問題の根源から理解しなければいけないと思います。歴史的背景や問題の深刻さを考えると圧倒されますが、でも私には色々教えてくれる素晴らしい先輩たちが沢山いる。私は皆が協力し合って、お互いをより幸せにしていく好循環を作る理想をかなえたい。その為にグローバルシティズンとして頑張ります。

今日はロサンジェルスは18時から6時までの門限です。

今日上げたビデオは、5月14日の生配信の抜粋です。

2 thoughts on “コロナ日記82:抗議者たちのジレンマとトランプの暴走(門限4日目)”

  1. 小川 久男

    お疲れ様です。

    アメリカは白人優位です。
    黒人をはじめカラードは除外対象です。
    とは言っても、中華思想などありえません。

    小川久男

    1. 小川さんはアメリカにご経験と博学に基づいた深い洞察とご意見がおありなのですね。
      現状の観察と、将来をどうより良くするかというのは、確かに並行するべきですね。
      「カラード」ではなく「ピープル・オブ・カラー」です。
      真希子

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