演奏初め、2013年

昨日、2013年演奏初めを行った。
若い芸術家、特にピアニストを支援することを楽しみとしているアメリカ人夫婦のお宅でのホームコンサートだ。15年くらい前私がNYで協奏曲を演奏した時、たまたま聞きに来ていらして、指揮者が紹介してくれた。
居間にあるスタインンウェイの周りを30の椅子がぎっしりと取り囲んでいる。この夫婦が応援しているDance Theatre of Harlemの監督や引退した大物バレリーナ、現役のプリマ、日本に4年住んでいたことのある骨董品のエキスパート、大学教授、芸術関係の人、芸術支援に興味がある人が沢山集まってくれた。昨日のプログラムは自分でもうまいこと選曲したな、とちょっと誇らしいプログラムだったので書き出してみたい。
前半「ドビュッシーの異国趣味とショパンの影響」
Bach (1685-1750)-Petri (1881-1962) “Sheep may safely Graze” (5’)
イゴン・ペトリ編曲のバッハ・バースデーカンタータ「羊は草を食む」
(お正月を祝って、演奏会へのイントロ。静かにシのフラットの長調の和音で終わる)
Chopin Grande Valse Brillante in E-flat Major, Op. 18 (1831) (6’)
ショパン 華麗なる大円舞曲、変ホ長調、作品18
―Holiday spirits w/Waltz!
(華やかにシのフラットの連打で始まる ―さらに、次の曲、「喜びの島」とは両方ともダンス曲と言うつながりがある)
Debussy L’isle Joyeuse (The Isle of Joy) (1904) (5’30”)
ドビュッシー「喜びの島」
Chopin Etude in A-flat Major, Op. 25-1 (1832) “Aeolian harp” (2’30”)
ショパン、エチュード変イ長調、作品25-1「エオリアン・ハープ」
―ドビュッシーが敬愛した作曲家としてのショパン。特に音質に注目したことに言及。
Debussy First Arabesque (1888) (3’30”)
ドビュッシー、アラベスク一番
―音質!さらにそれまでの西洋音楽の慣習から脱してアラブや東洋からの影響を求めたドビュッシーに関して話しをする。
Debussy from Image Book II, “Poissons d’or” (1907) (4’)
ドビュッシー、イメージ2巻より、「黄金の魚」
―日本画の影響。
Debussy from Suite Estampes, “Pagodes” (1904) (4’30”)
ドビュッシー、『版画』より「多重の塔」
―アジアの影響
Debussy from Preludes Book I, “Minstrels” (1909) (2’13”)
前奏曲集一巻より「ミンストレル」
from Children’s Corner, “Golliwogg’s Cakewalk” (1908) (3’)
「子供の領分」より「ゴリウォーグのケークウォーク」
―ジャズの影響。
後半「ショパンのロマンチシズムとピアニズム、そしてその後輩たち」
Debussy from Children’s Corner, “Doctor Gradus ad Parnassum” (1908) 
ドビュッシー       「子供の領分」より「グラデュス・アド・パルナッスム博士」
– いやいや練習する子供が段々音楽の世界へ魅せられていく様子を描く
from 12 Etudes, “For the Five Fingers after Mr. Czerny” (1915) (3’)
          12のエチュードより「5本の指のために」
– 上と全く同じシナリオ、ドビュッシーの晩年
Chopin from 12 Etudes, Etude in C-Minor, “Revolutionary” Op. 10-12 (3’)
             「革命のエチュード」
– ショパンのロマンチシズムと歴史のドラマ (後半最初の三曲は全てハ調)
Chopin Ballade No. 4 in F-Minor, Op. 54 (1842) (11’)
バラード4番
– ハ長調で始まって不吉にヘ短調へ。
Chopin Nocturne in C-sharp Minor, Op. 27-1 (1835) (5’30”)
– 夜想曲
Scriabin (1872-1915) Nocturne for the Left Hand in D-flat Major, Op. 9-2 (1894) (6’)
– ショパンの後輩、ロシア人スクリャービンの夜想曲
Schumann (1810-56)-Liszt (1811-86) “Widmung” (5’)
– 同じくショパンに影響を受けたシューマンの歌曲をリストが編曲。
演奏会が上手く行った時というのは会場に物凄く嬉しい一体感が出来上がります。初めて会った人ともなんの躊躇も無く笑い合い、ハグし合い、見詰め合って語り合いたいような気持ち。「生きていて良かったな~」、「今まで頑張ってきて良かったな~」と、本当におなかの中からホクホクします。昨日はそう言う夜でした。奥さんのヘレンが作ってくれたお料理のおかげで演奏会の後2時間以上もお客様と談笑し合って演奏後の余韻に浸れました。2013年をこんなに幸先良く始められて、とても幸せな気分です。

2 thoughts on “演奏初め、2013年”

  1. >kawashimaさん
    ありがとうございます。私も聞いていただきたかった!いつか北海道にもお邪魔したいです。
    こちらこそ、今年も引き続き、よろしくお願いいたします。
    マキコ

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