明鏡日記㉑:素晴らしい日の備忘録

盛沢山の日を経て疲れて頭がぼんやりしていますが、備忘録の為に今日在った素晴らしい事々への感謝を込めて書き記します。

午前中:音楽仲間と本番前の弾き合いっこ

この前弾き合いっこをしたピアニストがまた来てくれたほか、今度トーマス・マン・ハウスで共演するソプラノ、そしてヴァイオリニストが家に来てくれました。お互いに励まし合ったり、もっと向上するための意見を言い合ったりして、有意義な会となりました。

一番の気づきは目玉の位置で意識が変わる事を演奏に応用する方法です。私自身がヴァイオリニストに忠言し、(他人のふり見て我がふり直せ)的に、(これはそっくりそのまま自分も従おう!)と思ったのですが…

脳神経科学によると、目玉が上を見据えた状態というのは前頭葉(論理などを司る脳の部分)を活性化させます。しかし演奏しながら論理を働かせるとどうしても考えすぎの重たい演奏になりがちです。考えながら弾くのは練習中にしておいて、演奏の際には論理よりも感性と勘を働かせたい。その為には目を閉じたり、目玉を下にした方が良いのです。

ピアニストの場合、楽譜立てに置いた楽譜を見た状態というのは大体目玉が上にあります。逆に鍵盤を見ている状態だと、目玉は下ですよね。私は大体の所を暗譜して、最近は練習中はほとんど楽譜を見ていなかったのですが、今日の弾き合いっこではやはり安定性を優先して楽譜を眼で追っていたのです。ここでいつもの練習との違いが出たのだな、とヴァイオリニストに忠告しながら気が付きました。別に悪い演奏をしたわけではないのですが、音楽に入りきれないというか、自我が覚醒した状態だったのです。なるほど!

この前来たピアニストがまたまた自家製パンを持ってきてくれました!美味しい!

午後:作曲家エルンスト・トッホのお孫さんに美術館で初対面。

星だか何だか知りませんが、何か運命的な物がカチッと並んだ!と今回のトーマス・マン・ハウスのプロジェクトを受けてからずっと感じ続けています。その一つに、エルンスト・トッホと言う作曲家のピアノ曲を弾くことを決めた時にオンラインサーチで発見したお孫さんがいます。この人は色々な賞を取ったジャーナリストで、私は実は彼の仕事をエルンスト・トッホの名前を知る前に知っていました。ただこの著名なジャーナリストのおじい様がピュリツァー賞を取った作曲家だったことは梅雨知らず、まずこの繋がりにびっくり。そして藪から棒に出したメール(「おじい様の音楽に興味があり、歴史的背景も含めてお話しを伺えれば...云々」)に、びっくりする返信を頂き(「私はNY在住ですが、実は数週間後にロサンジェルスに出張する事になっています。是非会って話しをしましょう。」)その初対面が今日だった訳です。

指定された会合場所が、私がずっと前から行きたいと思っていた美術館。空港から直接いらして下さったお孫さんが少し遅れたので、庭を散策。ロダンの彫刻がゴロゴロそこら中にあるーもうそれだけで度肝を抜かれます。

お孫さんに、おじい様の音楽のCDやご著書、そしてタイプライターの手紙のコピーなどを沢山プレゼントしていただきました。滞在中にシェーンベルグやアドルノやトッホの旧家などもご案内してくださるそうです。このお孫さんは自分のジャーナリストとのキャリアとは別に、おじい様の音楽を復活させるために奔走されており、私が今度おじい様の作品68を録音する事がとても嬉しいようです。これから収録日までに数度お会いする事になっています。

2 thoughts on “明鏡日記㉑:素晴らしい日の備忘録”

  1. 小川 久男

    お疲れ様です。

    御縁ですね。
    トッホさんへの強い想念が時空を超えて届いたのです。
    生きていると、ありえない出会いがあることを知りました。

    小川久男

    1. 本当にご縁というのは計り知れなく、そして素敵ですね。
      小川さんとのご縁もたった一回の演奏会です。
      それからもうずっとこうしてブログをお読み頂きコメントを頂いています。
      感謝しています。
      真希子

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