明鏡日記㊷:独立記念日に考える幸福の追求

このブログエントリーは日刊サンに隔週で連載中のコラム「ピアノの道」60回目(7月4日発行)を元にしています。

 「幸福の追求」は人権と独立宣言に記載し建国したアメリカ合衆国の、今日は独立記念日です。この記事をお読みの皆さんは、幸福の追求は出来ていますか?そもそも幸福って何ですか?

 舞台芸術医療の学会に出席していました。「スポーツ医療」って言いますよね。同じようにダンサー・歌手・楽器奏者や役者さん特有の健康問題などを扱うのが舞台芸術医療です。学会での発表によると70~80%の演技者が現役中に怪我や病気を患います。過半数が健康保健や正しい知識や時間の欠如で、治療を受けません。「The show must go on」「本番に穴を開けない」日本語でも英語でも同じ意味の言い回しが在ります。

 要するに幸せなんだと思います。自分の健康や命よりも大事に思える物がある。共演者でも、聴衆でも、あるいは芸その物に対する美学でも、自分のプロ意識でも、何でも良い。徹する事でなりたい自分になれる芸がある。でも、私最近思うんです。健康を害するまで何かに打ち込む短絡的な一所懸命は実は究極的な自分勝手なのではないか、と。

 私たちの幸せは周りの幸福感に大きく左右される事も研究結果で分かっています。家族・友人・同僚・ご近所などの幸福感が、親しさに比例して本人の幸福感に反映されるのです。あなたの幸せは私の幸せ、私の幸せはあなたの幸せです。これは人間が群れて協力・共存する事で繁栄する社会的動物だからです。幸福の追求は権利だけではない、社会的義務なんです。あなたが自分の健康や幸せに責任を持つことで、あなたの周りの健康や幸福度が上がるんです。

 じゃあ、何を一番幸せに感じるのか。私は、周りの健康や幸せに貢献出来ていると実感する事が一番幸せです。これも社会的動物の性なのかもしれません。堂々巡りみたいですけれど、結局周りの喜びに貢献できることが私の一番の幸せで、そして私の最初の社会的義務は自分の健康・幸福管理なのかなあ。あなたは今、幸せですか?

この記事の英訳はこちらでお読みいただけます。

2 thoughts on “明鏡日記㊷:独立記念日に考える幸福の追求”

  1. お疲れ様です。

    舞台に穴をあけない。
    ドタキャンは禁忌です。
    他の同僚にシワ寄せがきます。
    通勤、車中です。
    清掃現場は肉体労働なので。

    小川久男

    1. お疲れ様です。
      道路掃除夫のベッポを思い出しました。
      ミヒャエル・エンデの「モモ」の登場人物です。
      真希子

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