明鏡日記56:我々の戦い

このブログエントリーは日刊サンに隔週で連載中のコラム「ピアノの道」の63回目(8月15日発行)を元にしています。

今年は広島と長崎の原爆記念日がオリンピック閉会式を前後し、そして閉会式の一週間後の今日、76年目の終戦記念日を迎える運びとなりました。

被爆者たちは、口を揃えて被爆直後の地獄図の中での「一時的な無感情」「恐怖心の欠如」「死に対する無感覚」を語ったと言います。その為に必死で家族を探し、病院に向かい、生き延びることができた、と。「Hiroshima in America: A Half Century of Denial (アメリカの中の広島:半世紀の否定)」(1996)で、精神科医のR.J. Liftonはこの状態を「Psychic Numbing (精神的無感覚)」と呼んでいます。

被爆者たちにとっては必要不可欠な生存本能だった「Psychic Numbing」ですが、この本は原爆投下をしたアメリカ自身もこのPsychic Numbingによって罪悪感を封じ込めた、と主張しています。更にその為に意識下に押しやられた良心の呵責が政治への不信などから来るその後のアメリカの問題の下敷きになった、と。現在の我々は、Psychic Numbingによって世界の紛争や人権侵害問題や気候変動から目を背けてはいませんか?

8月9日(月)、IPCC(気候変動政府間パネル)は温暖化のもたらす壊滅的な打撃を明確に断定した報告書を発表しました。これを国連総長は「人類へのコード・レッドだ」と表現。

Code red for humanity': what the papers say about the IPCC report on the  climate crisis | Intergovernmental Panel on Climate Change (IPCC) | The  Guardian

将来の不安に危機感を覚える時、見ないフリをしてやり過ごすという選択肢は誘惑的です。でも数十年後の地球の壊滅を回避できるかどうかはこれからの我々の決意と行動にかかっているのです。

問題は、政府の正式発表や統計や学術用語は我々一般人の日常や感情から余りにもかけ離れていて「Psychic Numbing」を誘発してしまう事。科学者が解明する現状と取るべき行動を世界が結束して同調するためには、音楽が効果的だ!そう考える自然科学者と社会心理学者にお誘い頂き、私は今、音楽を使った環境保全グローバルキャンペーンに向けて行動を始めています。

私たちが作戦を練っている間、次のチャレンジにゲーム感覚で挑んでみて下さい。

  • 水とエネルギーの使用量を必要最小限にする工夫をしてみて下さい。
  • 定期的に菜食にして下さい。(菜食と環境保全の関係性についてはこちら。)
  • ごみを減らして下さい。(生ごみはコンポスト!ベランダでも大丈夫!便利で簡単!!)

この記事の英訳はこちらでお読みいただけます。https://musicalmakiko.com/en/musical-activism/2232 

1 thought on “明鏡日記56:我々の戦い”

  1. お疲れ様です。

    人は、近未来、環境破壊で近未来が消えます。
    人が、誰もいないのならば、元始に戻るだけです。
    やがて海から生命体がやってきて新しいし地球が始まります。
    今、そうならないために、やるべきことをやりべきところで、
    やりべきでしょう。
    たとえ、時間がかかっても。

    小川久男

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