パリからの手紙2

今日は、美術館に二つ行きました。 知らなかったのだけれど、音楽学校の学生証を持っていると、パリの美術館は全部無料なんです!しかも、別料金の特別展示場とかも全てふくめて!嬉しくて、体がゾクゾクしてしまう! はじめはオランジュリー美術館(Musee de l’Orcangerie)でした。 入った途端、文字通り息を飲んだ。 モネが展示室まで設計した、「睡蓮」がいきなりあるんだけど、もう小宇宙と言う感じ。すごく長い楕円形の部屋に4つの睡蓮の絵がそれぞれ楕円を4分(2長2短)にして壁を覆っています。 天井は真ん中がガラス張りの吹き抜けになっていて、日が差し込んできます。こういう部屋が2つつなぎになっていて、計8作の「睡蓮」とこの二つの楕円の部屋で、一つの創作なのだけれど、モネはある世界を創造したかったのだな、と言う感じでした。 そして、その世界に身を置くことはすごい善意を全身に受ける感じで、 何だか言葉で言うと陳腐になってしまうのだけれど、とても嬉しかった。 他にもレノワールや、ピカソやセザンヌや、モディリアニなど、など。 「あ、この絵はここにあったのか!」と言うのが沢山ありました。 次にオルセー美術館に行きました。 1939年まで駅として使われていた旧オルセー駅舎を利用した美術館。 5階までの吹き抜けで、天井ガラス張りの非常に広いスペースに、彫刻が点在している一階からもう何だか別世界。 その中の最上階にある印象派コレクションを集中して見ました。 一つ一つの部屋それぞれに一人の画家の作品が約30~40掛かっています。 こういう風に展示してくれると、それぞれの部屋がそれぞれの匂いと音と世界を持っていて、その画家の視点が肌で感じられる感じがします。 一番印象に残ったのはデガとセザンヌの違いです。 部屋を入った途端に本当に世界が変わりました。 そのほか、ゴッホ、ゴーギャン、ピカソ、モネ、レノワール、等など。 今日も又思いました、パリに住んでみたいなあ!

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パリからの手紙 1.

今パリに夢中になっています。 パリは素晴らしい! パリ市行政も素晴らしい! パリ市はバカンスにいけないパリ市民のために、セーヌ川沿いに大量の砂を運んできて、人工砂浜を作り、ただで公開している。 パリは緯度が高く、夜10時くらいまで明るくて、昨日も10時くらいにセーヌ沿いを散歩していたら家族連れや、学生のグループ、カップルがゴザを広げて思い思い、ワインやデザーとを広げて歓談していた。 それから、いたるところに自転車置き場を設置し、大量に購入した自転車を置き、一日ユーロで使いたい放題。 どの政府運営の自転車置き場から借りても、乗り捨ててもよくて、パリ市民は申請すれば一年29ユーロで乗りたい放題。 そしていたるところに公園があり、本当に美しく管理されている。 キウィが家の枇杷くらいたわわになっている木があったり、バラ園が咲き乱れていたり、小川や滝もあって、そしていたるところで人がくつろいでいる。 みんな幸せそうに見える。 これは「隣の芝は。。。」現象だろうか? 日本でお母さんに作ってもらったお弁当を食べれるところを探して、何十分もうろうろしたことを思い出す。 たま~に見つけた小さな公園のベンチでは、サラリーマンが疲れきったように寝ているか、緊張しまくって「ハイ! ハイ!」と携帯電話口でかしこまっていて、とてもお弁当を食べられる雰囲気じゃなかった。 パリに住んでみたいなあ。

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練習する時

私はかなり勤勉に練習する方だと思う。 今私が行っているコルバーンと言う学校は天才型の演奏家が多く、むしろいかに練習不足で本番にぶっつけたかという武勇談を嬉々として交わしている。それから皆非常な夜更かし、朝寝坊である。ま、音楽会は夜、そして大抵その後打ち上げがあるので、音楽家と言うものは夜に強くなければいけないのだが、それにしても皆自分のリサイタルの前日にパーティーに行って酔っ払い、本番ぎりぎりまで寝ていた事が羨望の的となるのだから凄い。そして本当にそれで弾けるのだから、もっと凄い! しかし私は天才などでは決して無い事を深く、ふかーく自認しているために、恥ずかしげも無くほぼ毎朝、学校に一番乗りで練習を始める。 まず初めに座る。 座るときは頭の重みが背骨を通って、直角に一番楽な形で尾?骨に安定するように、座る。 バランスが取れて、もうこの姿勢で10時間いても、楽チンだーと思える場所を御尻を右、左とモショモショ動かしながら探す。 バランスの取れた姿勢が見つかったら、今度は両腕を鍵盤に伸ばして、こぶしで黒鍵を「ジャーン」と鳴らす。 そしてピアノの中の弦が共鳴して振動するのを体で感じ、その音がだんだん遠のいていくのをずーっと聞く。そうしてゆっくり音楽に入っていく。 最初に「勤勉」と書いたが、私はやっぱりピアノが好きで、必要なのだ。 ピアノの前に座って始めて自分が分かる。 そんな私だが、それでもやはり、だれる時がある。 特に日本滞在中は何だか時間がぼんやり過ぎる事が多い。 やはり甘えてしまうのだろうか? それとも子供時代、いかにして親の目を盗んで練習をサボるか試行錯誤していた時代の記憶がよみがえるのだろうか? 何だか家族と和んでしまう。 いつものようにビシっと行かない。日本を去ったらまたてんてこまいなのに、予習がどんどん後回しになっていく。 そして、お茶が美味しい… しかし、潜在意識と言うのは本当に恐ろしい、と言うかありがたい、と言うか、やはり計り知れない。 こういう時期がしばらく続くと、私は必ず夢を見る。 設定と細かい筋は毎回違うのだが、パターンはいつも同じだ。 ① 本番がある(エ!…知らなかった…エ!こんなプログラム提出したっけ…?) ② 弾きながら、又は弾く直前、準備不足に大慌てする。(どきどき) ③ 弾けない!(オーマイゴッド) ④ 目が覚める。(練習しなきゃ!!) そして、おととい私はこの種の夢を又見てしまったのです。 さて、そろそろ練習するか…

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水がぶ飲みの訳

私は曲と曲の間、舞台袖で何をしているかというとがぶがぶ水を飲んでいる。2時間のリサイタルプログラムで大体2リットルのペットボトルを飲みきる。 練習している時きでも、指を止めて頭の中で復習・予習をやりながらせわしなく歩き回ったり、ボーっと窓の外を見ながら水かお茶を飲む。4時間の練習で1リットルでは足りなかったりする。 これは友達と確認しあったことだが、演奏中、多分私たち奏者はつばを飲み込んでいない。この事実に気がついてからは時々意識して演奏中つばを飲み込んでいるが、それもフレーズとフレーズの間、音の一瞬の途切れ目でのことだ。 実際はのどの奥で一曲弾きながら歌っているようなものなのだ。だから一曲弾き終わった時ののどの状態と言うのは、曲の間中「あーーーーー!」と叫び続けていたようにカラカラ、コンコン、ヒリヒリなのだ。 さらに曲によって、それから舞台照明の熱さ加減によってかなり汗をかく。一般的に指揮者と管楽器奏者、その中でも特に男性、が私の観察する所では一番大量の汗をかく。 タキシードまで汗でグッショリになる。 指揮者とは共演し終わった後、舞台上でハグしたりするので、私までビショビショになってしまったりする。 あと、緊張の為に汗をかくピアニスト、と言うのもいる。私の友達は本番のたびに手に汗をかいてしまい、鍵盤がツルツル滑るそうで、手の汗腺を手術でとれ(本当にそういう手術があるらしい)と先生に言われた、どうしようと相談してきた。 (そんなこと分かりません。) それから一度私が譜めくりをした事のある現代曲専門の美男子ピアニストは、出場直前私にむかって「自分は本番中緊張すると非常な汗をかくが心配しないように」と忠告してくれた。 忠告してくれて良かった。何しろ彼の汗はただごとではないのである!玉のような汗がぽたり、ぽたりと演奏の間中、ずーっと滴り落ち続けるのだ!! 私はよほど手術中医者の横にたってハンカチで汗を拭く看護婦のようにふいてあげようかと思ったが、とりあえず譜めくりに集中して汗は見て見ぬふりをした。随分話がずれてしまったが兎に角、演奏の合間の水分補給は不可欠!と言うことが言いたかっただけである。 そんな訳で私は「六甲の美味しい水」が特に好きですが、舞台袖では水が本当に美味しく飲める。

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プログラム、「初心にかえる、古典にもどる」のこころ

ピアノは比較的新しい楽器です。もともと在ったのは管楽器のように空圧を利用するオルガン、ハープのように弦をはじくハープシコードなどもっと歴史の深い鍵盤楽器。これに続いて、叩いて弦を響かせるピアノの原型が普及し始めたのはハイドン(晩年)やベートーヴェン、シューベルトの時代です。 ですからピアニストがピアノのレパートリーを理解する上で基本にするべきなのが、この古典派の曲たち…ということで今回はベートーヴェンとシューベルトの代表的な名曲をそろえてみました。 (チラシにあるモーツァルトのソナタKV322は時間の都合上やむを得ず今回は割愛することになりました、ご了承ください。) さらにピアノ奏法に大きな発展を見せたロマン派、印象派のリストとドビュッシー。その中でも特にピアノ技巧、並びにピアノのための作曲技法の限界に挑戦している練習曲集を取り上げて、もう一度自分の中のピアノと音楽というものを再認識、再定義してみようというのが今回のリサイタルのプログラムの趣旨です。 バロックから20世紀までの作曲家がそれぞれの時代の鍵盤楽器のための練習曲という媒体を通して何をどう表現するかという興味から造った「Etude, Seriously」も同じ趣旨で2006年末から録音を始め、この5月に仕上がりました。 今まで固定観念にとらわれることを嫌って、歴史や一般的な連想の多い有名な曲を避けてきた私ですが、修士を2001年に卒業してから6年ぶりに学校にもどり、もう一度系統だった勉強を再開しました。 今回のプログラムと新発売のCDはそんな私の「祝・初心、探究心、チャレンジ精神」宣言だと思ってくださると嬉しいです。

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