音楽人生

実はパリに居りました。

試験が終わったのにずっとブログを怠っていた理由(言い訳!?)。 …実はパリに居たのです。 この夏もHouston – NY – 日本 - パリ - 日本 - パリと 飛行機の旅の多い日々でしたが、機内では必死に勉強していて、 映画のメニューさえ見ない、まあ充実はしているけどちょっと忙しい旅でした。 それに夏だったからいつも満席。 でも、今回の飛行機は違います! 秋半ば。 半分も満たない飛行機の中で、行きも帰りも一列丸々独り占め。 そして約10時間の飛行機の旅で行きは3本も立て続けに映画を見てしまいました。 最近映画を観ていなかった私はそう言うものに対する免疫力が落ちており、 もう、つぼにはまりまくり! 機内にも関わらず顔中べたべたにして大泣きしてしまったり、 エンジンの轟音にかき消されるのを良いことに腸がねじれるのではと思うほど大笑いしたり。 3本見た中の2本が日本映画だったことも我ながら興味深い選択です。 「奇跡のりんご」ではもう本当に泣きました。 「図書館戦争」も面白かった。この映画は自衛隊を揶揄って居るのかな? さて、パリ。 試験が終わって、人生一段落して、ゆっくりとカフェでコーヒーでも飲みながら これからの人生について思いをめぐらせれば… など、と夢想していたこの旅ですが、着いてみたらばトンでもない! たまたま現地合流できた相棒と こちらのフォアグラ、あちらの鴨、向こうのTart Titinと食べ歩き。 中でも人生観が変わるほど美味しかったのは かの有名な焼き菓子屋, Pierre Herme! そしてやはり忘れられないのは、朝一番に隣で買う、香り高いバゲット。 本当に焼き立てで、抱えている腕がジンワリと暖かくなり、 魅力的なパンの芳香で頭がくらくらする中、 階段をとことこ上がっていく時の、楽しみな気持ち。 そしてドアを開けて、キッチンに直行して、まな板の上で 「パリパリ!パリパリ!」とそのバゲットを切って、 チーズとジャムで食べるバゲットの美味しさ! トロトロのチーズ(数種)も本当に美味しくて、 でもその臭さは形容不可。 冷蔵庫を開けるたびに(何事!?)と思う臭さです。 さらに意外なことにアジア食もパリで進出しており、 本格的で美味なベトナム、タイ、そして中華も美味しく頂きました。 さらに音楽人生で培った友情は世界中に広がっており、 残念ながら全員に会え切れないほど! そして次のパリでの演奏に向けての会合、打診、お願い… と、言うことで予想に反して非常に充実はしてしまった私のパリ滞在。 しかし、試験が終わって飽和状態に陥る危険をはらんでいた私の試験後の人生は、 これでしっかりとまたフォーカスして来ました。 帰りの飛行機では映画はドキュメンタリーを一本観ただけで、 読書に没頭。 そして一昨日ヒューストンに帰ってきてからはひたすらやることリストをこなし、 練習、練習、練習! いつものリズムが戻ってきました。

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ショパン、バッハ、ブラームス、人生…素晴らしい!!

受験勉強している間は本当に練習しなかった。 こんなに練習しなかったのは実に二十歳の時、1ヶ月位入院していた時以来です。 それでも試験の3週間くらいまでは一日1時間くらいは弾くようにしていた。 それが一日置きになって、二日置きになって… この頃です。本当に弾くと言う行為が恋しくて、恋しくて。 久しぶりにピアノにたどり着くときは、本当に一音一音、一和音、一和音が愛おしい! そうやって、うっとり弾いていると、なんか新しい音楽の境地に達したようで (エ!?私って勉強している間になんか上手くなった!?)とまで思ってしまいます。 試験が終わって、演奏会に行く度に大感激です。 ブラームスって素晴らしい! 4番を聞きました。 本当に、なんて美しいのでしょう! それに、学校のオケだったのですが、演奏している皆が本当にいい顔! 私が聴音のクラスで受け持った、学部三年生のチェリスト。 苦学生なのか、いつ見てもステマネのアルバイトを物言わず黙々とこなしている子が もう、ピカピカの笑顔で目をきらきらさせています。 弦楽器が、あわせるためにお互い目線を交わせるとき、皆嬉しそうに微笑みあっています。 そして、金曜日の演奏は特別良かったのです。 私が演奏を聞くことに飢えていた、ということを差し引いても良かったのです。 それが証拠に、演奏後、観客からの拍手を受けている間、オケのメンバーがハグし合い始めました。 もう、私は感涙ものです。 そして、ショパンと言うのは、何と美しい音楽を書くことでしょう! 音楽理論の試験の時、分析するために試験の24時間前に渡された楽譜は 作品62-1のショパンのノクターンでした。 ピアノ禁断症状の私は、本当にこの楽譜を読みながら、分析を忘れてうっとりしてしまい、 筆記試験が終了した直後にピアノに向かってこの楽譜を弾き始めました。 子供の時は、その単刀直入な感情表現に、 バッハやベートーヴェンに比べて少し馬鹿にしていた自分がおろかに思えます。 ショパンは、凄い! 試験が終わったと思ったら、突然秋めいて、毎日風が気持ち良い! そして、雨が降っても、雨の音が心地よい! 私は試験から開放されて、人生をただ今、満喫しています。

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「ピアノで奏でる東洋」最終回ー大成功!

演奏会の出来で、文字通り一喜一憂する。 そして今夜は一喜、一輝! 千葉県の美浜文化ホールは小さいホールで収容150席くらいなのですが、 ピアノとホールの愛称が良く、音がきらきら面白いように転がって、 それにパリ訪問をきっかけに次々と重ねた発見が良かったのでしょう、 自分で言うのもなんですが、みなとみらいからは何枚か皮の剥けた演奏となりました。 勿論、パリでの見聞の一つ一つがインスピレーションになったであろうことも忘れてはいけません。 色々な方との出会い、そしてご支援に恵まれて、今日の一輝、一喜。 ありがとうございます。

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背水の陣の練習中の発見!

パリから戻ってきました。 マレーシアのKuala Lumpur 経由で長旅でしたが、そのほとんどを爆睡して過ごしました。 今日は明日の美浜でのリサイタルに向けての練習日です! パジャマも着替えずに練習しています。 それで、そう言うときに起こる発見が又一つ。 私は間違えていた。 日本人、そして東洋人として西洋音楽を専門としていく上で、 「東洋人」と言うのが何なのか、自分のアイデンティティーについて考えたいと思い 組んでみた今年のプログラム、西洋音楽の描く東洋、「ピアノで奏でる東洋」。 でも、人が自分をどう見ているか気にしてみたところで、 「自分」がどういう人間なのか絶対分かりえないのと同じで、 西洋人が歴史上、東洋のイメージをどう発展させてきたか勉強しても、 自分が西洋音楽を専門する上での自分のアイデンティティーはちっとも明確にはなりません。 その代わり分かったのは、 自分のその質疑の元々が結構東洋人としての自分のコンプレックスを反映するものであったこと、 さらに、「東洋」のイメージは結構西洋音楽上、モテモテだった、と言うことです。 もう一つ分かったことがあります。 それは、東洋を描いたフランス印象派の音楽に物語りや感情移入を求めてはいけない、と言うこと。 これ等のレパートリーは『におい』や『味』と似たようなもので、 五感に訴え、曲の中での変化も在りえますが、発展性は無い、禅問答のようなものです。 でも、美しい。 浮世絵に、 その浮世絵が描かれた同じ時代に生きた日本人は色々な物語を見出し、 感情移入したかもしれませんが、 そう言う浮世絵を購入し、それを通じて漠然と東洋を夢見た西洋人には 浮世絵やそう言う東洋のイメージと言うのはむしろ自然現象のような 憧憬の対象でも、感情移入の対象では無かったのではないでしょうか? もともとドビュッシーを始めとする象徴派、印象派の作品は 発展性、物語性、叙情性を目的としていないところが在ります。 まあ、そんなところです。 つらつら。 時差があるから、時間の感覚が狂っています。 もっとずっと練習できると思っていたらもう5時20分! 音だしは9時まで。後ちょっとがんばります!

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学会での発表ーパリ最終日

今日の午後は学会での発表がありました。 私のテーマは「プロコフィエフの3つのオレンジへの恋に置けるオリエンタリズム」です。 20分と言う時間制限、パワーポイントが上手くできるか、など色々心配で、 朝はホテルで2回、タイマーをかけて練習し、 自分のペーパーを読んで事実確認をしたりして過ごしました。 でも、自分のヴェランダからの景色が余り嬉しくて、 スカイプで何度も家族や友達に見せていたり、 お風呂に浸かって居たりブログを書いたりしていたら、 二回通し稽古をしたところで、もう会場に向かう時間が来てしまいました。 私のパネルは13時半から15時までに4人が話しをします。 始めの発表はオランダ人のとても素晴らしそうな年配の女性で、 トピックは「人間の起源―キリスト教、ユダヤ教、イスラム教におけるアダムとイブの比較検討」です。 とても面白かった。自分がもうすぐ発表することを忘れるくらい面白かったです。 そして、この人の発表からいろいろ学びました。 勿論、その発表のトピックについても感心することは沢山あったのですが、 発表の仕方についても。 まず、この人は物語を語るテンポで話しをしました。 物語を語るテンポは、会話のテンポよりも、スピーチのテンポよりもずっと遅く、 抑揚を豊かにする余裕、相手の想像力を掻き立てる『間』を持ったテンポです。 私はホテルの部屋で練習しているときに 「20分でいかに多くの情報を盛り込むか」 と競争のように喋っていましたが、これは撤回! それから、この人は丁寧に皆が絶対知っている常識的な情報を説明し、 それを発展して言ってその人の提示する見解に到達する、と言う方法を取りました。 私は「皆がすでに知っていることを『教授』するように言ってしまうと、 皆、馬鹿にされたような感じで、気分が悪いのでは」と心配していましたが、 そうではない、と分かりました。 すでに知っていることをまず言ってもらうと安心します。 そして新しく提示される見解をすでに知っている事実に結びつけていってもらうと良く分かります。 逆に、新しい情報が次から次へと来ると、疲れてすぐ聞きたくなくなっちゃう、と良く分かりました。 次に、南アフリカから来た若めの女性が 北アフリカに口伝えで伝承されているハイエナと狼の昔話の進化について喋りました。 この人は、皆で早めに来てパワーポイントの確認を一人づつした時に、 私にとても親切にしてくれた人で、ひそかに応援していたのですが、 南アフリカのアクセントが強く、 しかもあがってしまっていたのか、声がひっくり返ってしまって、 ちょっとかわいそうでした。 それからパワーポイントにびっしり一杯書いてあって、 その人の講義を聞きながら読むのは絶対に不可能な情報量で、 これも良くなかった。 その次がいよいよ私の番です! 私は取りあえず、大きな声できちんと発音して喋ろうと思ってそれに集中しました。 私のトピックは音楽が関わっていてすでに変り種だし、 それだけでも皆ちょっと喰らい付いてくれたようです。 そしてオペラの中から例を幾つかヴィデオ・クリップにして持って行ったのも良かったようです。 ただし、会場に私のコンピューターを接続するスピーカーが無く、 パリの、冷房が無く、窓が開け放ってある部屋で道路の騒音が飛び込んでくる教室で、 私のコンピューター内蔵のスピーカーは余りにもか弱く、 皆耳の後ろに手を当てて、一生懸命聞いてくれました。 それだけで、もう嬉しかったです。 午後はお土産のお買い物。 そして、その後の夕食は最初の晩のProcope! 私のリサイタルを特別喜んでくれた、一番前に座っていた理事会の秘書の方や、 発起人のK氏や、 K氏のご紹介でこの学会で初めてお会いした日本の教授で

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