音楽人生

社会勉強vs。音楽勉強…

ロサンジェルスでの生活を4年経たあと、ヒューストンでの3年目を始めている私が 今まで一度も車を所有したことが無いことを知ると人は大抵驚愕する。 生活範囲の狭さ、そして質素さがそれだけで明らかになってしまうからだ。 私は確かに自宅と練習室、そしてクラスと図書館で主に生活して来た。 遊びに行くことは必然的に主導的になれない。 誘われたら便乗させていただくことになる。 収入が少ない学生・音楽家人生に経費を徹底的に抑えることで対応して来た現われの一つだ。 でも、ついに車を買った。 車が無いゆえに演奏活動さえにも支障が出始めたからだ。 車を買うと、保険、値段高騰中のガソリン、そしてメンテナンスと中々出費と手間がかかる。 さらに引越しに伴うインターネットの手配、家具の購入、などなど。。 練習と勉強が、グンと減る。 「こんなことは巣立って一年目の学部生の時に学ぶことなんだよ!今までこういうことを経験せずに来たってことが信じられない!良い勉強だと思って!音楽バカになりたくないでしょ!」 と、友達に叱咤激励されると、耳が痛い。 私は確かにピーターパンで今まで来てしまった。 しかしそう言うことを始めると中々色々面白いのである。 オートマとマニュアルの違い、とか調べ始めるとルネッサンス音楽よりも興味をそそられてしまう。 ルネッサンス音楽の教科書、明日までに60ページ読まなきゃいけないんだけど、 そんなことをそっちのけに、マニュアル運転法のYoutubeのヴィデオを見ほうけたり、 スペア・キーの購入の仕方をグーグルしたりして時間が過ぎてしまう。 明日から又がんばれば良いかな?

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ヒューストンに帰ってきました。

この夏の日本での7週間は本当に感慨深い物になった。 「ブラヴォー」を沢山出してくれた皆様、ありがとうございます。本当に嬉しかった。 私の演奏会の2回、3回といろいろな会場まで足を運んでくださった皆様も、ありがとうございます。 ステージに上って「あ!また○○さんがいる!」と発見するのはいつも勇気付けられます。 私の日本での演奏活動を最初に進めてくださって以来、ずっと支援してくれている「世界で活躍する演奏家を応援する会」、「平田真希子を応援する会」に加え、今年は千葉で新しく「平田真希子応援団」が発足され、今年は3回千葉で弾きました。新しい聴衆の皆様に沢山めぐり合え、暖かく迎えてくださって、本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 私の演奏、あるいは活動に個人的に意味を見出して、自分の人生での挑戦や、思い出と照らし合わせ、私と一その感慨を分かち合おうと語りかけてくださる、お手紙を下さる皆様、ありがとうございます。 私の広報を手伝ってくださろう、と勢力的に新しいアイディアをどんどん発案してくださるIさん、日本文化、アジア文化、そして新しい世界観をご紹介くださり、私の音楽観をより深くしてくださるKーさん、 そして私に練習場所を提供してくださるだけでなく、練習の休憩や昼食を家族のように気を使って共にしてくださるNーさん、そして私の演奏や音楽人生を理解し、支援するためにものすごくがんばって、そして私の毎年の演奏をとても楽しみにしてくれている私の家族。 帰りの飛行機の中で改めて自分の人生の幸運にちょっと感情的になってしまいました。 いろいろな出会いと感動があった7週間でした。 来年の夏を楽しみにしています。

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日本のサロン

ピアノ楽曲の多くはサロンで演奏されるべく書かれている。サロンとは特権階級の邸宅に主人が芸術家や文化人、学者などを招いて知的対話の舞台として提供した、社交の場である。私は日本で演奏活動をするようになって日本でもこう言う場が多く存在することを知り、とても嬉しい、誇らしい気持ちになっている。 例えば昨日私の演奏会を主催してくださった三鷹市にあるギャラリー「静」。もうそこでの演奏会は5年目になるか。12人でもう座る場所が無いほどいっぱいになってしまう小さな会場だけれど、染物や焼き物などの日本的伝統工芸を沢山扱っているとてもお洒落なお店。そこのアップライトでトークを交えながら演奏するのですが、毎年来てくださる近所の常連さん方が、もうこのごろはお料理やお酒を持ち寄りで、演奏の後のディスカッションを楽しみに、笑顔でいらしてくださる。そして演奏中は私にも伝わるほどの緊張感と集中力を持って聞いてくださり、出る質問も鋭い! 音楽を共にして、熱くなって、汗をかきながら討論して、私は本当に幸せ物だな~と感じる、至福のとき。

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ドビュッシー、音楽と美術

明日ある三鷹にあるギャラリー「静」でのサロン・コンサートを皮切りに6回の独奏会「ドビュッシー対ムソルグスキー ~視覚を刺激するピアノ曲」を行う。 今日はそのインスピレーションを求めてブリヂストン美術館が開催している 「ドビュッシー、音楽と美術~印象派と象徴派のあいだで」を見てきた。 18世紀後半頃、まさにピアノと言う楽器が作曲家の念頭に上り始めた頃から、著しくなった音楽の流れに置けるドイツの多大な影響力。それに反抗しようと欧米各地でいろいろな作曲家が模索を始めたのが19世紀後半。ムソルグスキーとドビュッシーの接点はそこにある。彼らは主にドイツを主流とした伝統・慣習・常識・固定観念といったものから自由になるべく、自国の美術、文学、舞台芸術、民族芸術、歴史、そしてドイツ以外の何でも「エキゾチック」とされたものに目を向ける。 今回の展覧会ではブリヂストン美術館がオルセー美術館とオランジュリー美術館と提供してやっているもので、ドビュッシーが身の回りに置いていた絵画や小さな置物(日本のものが非常に多い)、彼と交友のあった芸術家たちや彼らの作品、彼自身の肖像画など。そして500円でオーディオ・ガイドを借りるとドビュッシー自身が(日本語)で自分の作品を影響した作品の紹介や背景の説明をしてくれ、また彼自身の曲も聞くことが出来る。 とても充実した企画だった。そしてジャポニズムの影響の強さにも改めて感銘を受けた。 明日からの独奏会、目を閉じて、出来るだけイメージ鮮明に、固定観念に囚われず出来るだけ自由に正直に、素直に、弾きます。

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日本食にケチャップ

日本で演奏会を始めて数年後のこと、母とこんな会話をした。 母はチケットの売れ行きを案じて 私に「皆に耳馴染みがある、ポピュラーな曲も少しプログラムに入れて」と頼んだ。 そして私はそれを突っぱねたのだった。 「アメリカで日本食レストランを始める時、アメリカ人に食べやすいようにってケチャップかける? そうじゃないでしょ、少し分かってもらうのに時間がかかるとしても、 ちゃんと昆布や鰹節でお出汁をとって、 美味しいもの、心をこめて作った物はいつかは美味しいと思ってもらえるって信じたいでしょ? 私も同じ。 ちょっと取っ付き難くても自分が一番凄いと思う曲や作曲家を 心をこめて、『良い物は伝わる』と信じて妥協せずに演奏したい」 と言うのが私の反論だった。 以来私はこの12二年間、家族と「世界で活躍する演奏家を応援する会」NPOが見守る中、 自分の好きな曲を一生懸命弾いてきた。 ベートーヴェンの中でも最長で、もっとも難解とされる「ハンマークラヴィア」や 演奏時間が一時間を有に1時間を越える「ゴールドベルグ変奏曲」など、 普通の主催者ならしり込みするようなプログラムも 家族や、「世界で活躍する演奏家を応援する会」の会長の斉藤さん、そして私の聴衆は 暖かく見守って許容して下さった。 しかし今年日本で、私は自分が主体でない演奏会にいくつか共演者として参加することになった。 チェリストとの共演と、「すかピア」(横須賀ゆかりのピアニスト・グループ)である。 これらはずっと聴衆を意識した選曲を行った。 この二つの全く関係ないプログラムが両方 「カルメン・ファンタジー」と日本の童謡である「夏の思い出」の編曲が含まれている、 と言えば大体分かっていただけるだろう。 そして、お客様は確かに楽しんでいらしている。 父も、大喜び。 私と議論を戦わせた母はさすがに簡単にはこの選曲を慶んで見せることはしないが、 今、私はちょっと迷っている。 私だって「夏の思い出」を弾くのが楽しくないわけではないのだ。 でもやっぱり、こだわって、精進して、背伸びして、聴衆に挑戦したい! 7月7日、王子ホールで演奏した「カルメン幻想曲」です。

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