ベートーヴェンの「告別」
練習の仕方が随分変わった。 音楽の聴き方、接し方が変わったことによる当然の結果だと思う。 今、11月の日本でのリサイタル・プログラムを練習しているが、 ベートーヴェンのソナタ26番、作品81aの「告別(Les Adieux)」で今日発見が在った。 11月のプログラムは「歴史を反映する不協和音」と言う題名にして 主に第一ウィーン学派(ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト)から いかにして必然的に第二ウィーン学派(ショーンベルぐ、ベルグ、ヴェーバーン)に至るか、 と言うテーマのリサイタルにするつもりだ。 シューベルトのソナタ19番(ハ短調)や、モーツァルトの半音階を多く使う実験的小品を数々、 そしてベルグのソナタ、作品1番を入れるつもりだが、 先生の要請で「告別」も練習している。 しかし、この曲は少なくとも和声的にはかなり単純で、このテーマにはそぐわないような気がしていた。 ところが、タングルウッドの後初めて、遅ればせながらさらってみて、 この曲の劇的な部分、さらに言えばオペラチックな部分、が急に見えてきた。 タングルウッドで「ドン・ジョバンニ」をリハーサルの段階から何度も見学してやっとわかったと思う。 凄く嬉しかった。 今日は、やっと荷物を全部ほどき、部屋をすべて整理した。 初心を忘れずに、一年丁寧に頑張ろうと思う。