今年はドビュッシーの生誕150周年に当たります。
ドビュッシーと言うのは西洋音楽の歴史の中で大きな進展に貢献した作曲家の一人です。
19世紀の終わりから20世紀の始めにかけて、とても不思議なことに世界のいろいろな場所で
全く交流の無い作曲家がほぼ同時に調性(いわば音楽に置ける文法)からの離脱、
と言う事を検討し始めました。
アメリカ人音楽評論家であるアレックス・ロスの
「20世紀を語る音楽(原題The Rest is Noise)」の受け売りになりますが、
ドイツではワーグナーがそれまでの調性の極端、そして限界への挑戦を始め、
それを引き継いだストラウス、そしてショーンベルグがついに調性を全く超越した
「無調性音楽」を提唱します。
ロシアを始めとする北欧、東欧ではドイツを中心に発展してきた調整を無視し、
自分の国民性アイデンティティーと言うものに注目して、それまでの調整、そしてリズムと言うものから
離れ始め、民族音楽やその土地固有の美的感覚に基づいて新しい音楽の模索を始めます。
その頃のフランスでは、象徴派、印象派などの模索により、
人工的なルールに反発して、理屈を超え、感性によって受け止めた自然に基づいた美術と言うものが
考えられ始めます。
今回のプログラムは「視覚を刺激する音楽」と言う模索をしたドビュッシーの
特にその特徴が強い作品-例えば有名なところでは「月の光」「亜麻色の髪の少女」「沈める寺」ー
を前半に並べ、
後半にはそのドビュッシーがインスピレーションの一人として挙げたロシア人作曲家ムソルグスキーの
曲集の中の曲一つ一つが実在する絵に基づいている「展覧会の絵」。
練習しながら、文献を読みながら、私自身も毎日発見の多い、我ながら中々面白い企画です。
8月5日(日)13時半開演。すみだトリフォニー小ホールにて。(最寄り駅、錦糸町駅)
8月10日(金)18時半開演。美浜文化ホール (最寄り駅、京葉線、検見川浜駅)
ぜひ、お友達をお誘いになってご出席くださいませ。