March 2011

DC、国会図書館での演奏大成功!

冬休みの最初の一週間を利用して、まず国会図書館を訪ね、その歴史、そこでのリサーチのイロハ、そして実際にリサーチをして図書館の音楽部門に由来のある室内楽プログラムをデザインし、3月に国会図書館を再訪し、12月のリサーチの結果を国会図書館内にあるクーリッジ演奏会場にての演奏で披露すると言う企画が、昨日無事終了しました。 今日はDCからNYまでバスで向かい、NYで友達と2時間ほどご飯をした後、飛行機でヒューストンに向かい、夜11時ごろ帰宅、と言う正に移動日。今、DCからNYに向かうバスの途中です。インターネットが使えるのが嬉しい。多いに利用すべく、「バスの中ですること」のリストを作って乗り込みました。宿題、メール、することが山ほどありますが、その前にアメーバでこのプロジェクトを振り返って余韻に浸り、学べる事を書きとめ、復習です。 今回の日程はこんなでした。 3.2(水) 1時半 DC入り。図書館に直行し、リサーチ 4時  演奏会場でのリハーサル(音響の素晴らしさに感動) 7時  皆で再会を祝ってタイ料理の夕飯 3.3(木) 朝    少しゆっくり自由行動。私は自主的に図書館でリサーチ 1時   DCの音楽愛好家で「歴史的遺産指定」の素晴らしい豪邸にお住まいの方が、好意で私たちにお家を明け渡してくださり、そこで5時間リハーサル。 夜    プロジェクト・チーム顧問のチェロとヴィオラとヴィオリンの教授の招待で、「フィリップス」と言うDC名門の魚介類専門の食べ放題!お腹いっぱい食べる。 3.4(金) 朝    8時半演奏会場でリハーサル開始 正午  ライスの教授とプロジェクト・チーム五人の合奏で、主に国会図書館の雇用人に感謝の気持ちを表示する為の「アプリシエーション・コンサート」。私はHenry Cowell の Four Combinationsと言う曲と、ブラームスのピアノ四重奏、作品60の3楽章目をチェロの教授、Norman Fisherとヴァイオリンの教授でHenry Cowell の友達だったKenneth Goldsmithと共演。(ブラームスのヴィオラは同じプロジェクト・チームのTracy Wu) 午後   2時から5時までりはーさる 夜    皆でエチオピア料理を食べに、DCを探検! 3.5(土) 朝    10時リハーサル開始 2時   本番 (Barber Souvenirs, Ives, Trio, Charles Halka "Round and Round", Rebecca Clarke Trio) 4時   聴衆とのご挨拶が終わったら超特急で着替えて5時の閉館まで名残惜しみの最後のリサーチ 5時   スミソニアン博物館の一部、Renwick Galleryでのヴィオラの教授の弦楽四重奏の演奏会を聴きに向かう。途中、たまたま偶然見つけたレストランで週末スペシャルの大変お得で美味しいコースの夕飯を, もう一人のピアニスト、Jeewon Leeと食べる。他のプロジェクト・チームは皆家族や親せきが聴きに来ていたので、別行動。 10時半 皆で打ち上げ。私はちょっと飲んだだけで酔っぱらってしまい、からかわれる。 私たちは冬休み明けの1月半ば、この演奏会に向けてのリハーサルを開始しました。週に2回から4回、それぞれ2~3時間のリハーサルを一緒に行い、その他それぞれのパートの個人練習など、大変打ち込んだプロジェクトとなりました。私は同じメンバーで一つのプロジェクトの為に一緒にこんな長期間、一生懸命取り組んだのは、もしかしたら初めてかもしれません。お互いの性格の相違、そしてそれを活かしてどうやって一番効率よく、一番楽しく、本番に向けて最高の物を仕上げていくか、と言う試行錯誤はいつも楽、と言う訳では無かった。でも、本当に色々な事を学び、お互い助け合って飛躍的に一緒に成長出来たような気がします。 それぞれ違った背景を持って育ってきた音楽家たちが一緒に集まってリハーサルする時、練習方法、音楽的な優先順位、そしてその自分の信念、方法をコミュニケートする語彙と言うのが、それぞれ違います。例えば、ピアニストと言うのは他の楽器と違って沢山の音を同時に難なく弾けるため、全体像の把握が比較的楽にできますが、一度音を弾いてしまうと、後は楽器の仕組み上音が段々消えていくのをどうすることもできません。と言う事で、音をどう美しく延ばすか、延ばした音をどうヴィブラートさせ、どう言う風に歌わせるかと言う事に音楽の価値を見出す他の楽器奏者とは視点が全く違うのです。お互いの違った視点からの音楽体験を上手い事活かせれば最高なのですが、ぶつかってしまうこともあります。特に私は指揮者としての経験、それから年長者であると言う自意識から上手く抜け出せず、自分のパートをいかに美しく弾き、他の皆とどうやって上手く合奏するか、と言う事よりもどうやって皆を引っ張って行くかと言う事に一生懸命になっていました。皆も大体の所それに協力してついてきてくれていたのですが、録音を聞いて、自分が以下に音楽の構築や、勢い、方向性と言った物を強調する余り、一瞬一瞬の美しさに対する心配り、間、あるいは余裕と言った物をおろそかにしていたか、感じ入りました。そしてそう言った物がいかに相手の言い分、音楽性、あるいは視点を尊重する、思いやる、といった姿勢から来るか、と言うことも。一緒に演奏した人は、私にリーダーシップを託してくれていたのですが、一人のヴィジョンと言うのは、やはり限りが在る物です。協力、そして話し合い、と言う事によってのみ、生み出される呼吸、と言うのもある物だ、と心底学びました。 本番での演奏は、自分で言うのもなんですが、ベストを尽くせたと思います。皆、満足して、打ち上げは大変盛り上がりました。大変貴重な、素晴らしい体験をさせて頂きました。

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「ピアノの時間」エピソード#5が放映されました。

ロサンジェルスで毎週日曜日の6時半から7時まで放送される、日本語テレビ番組、 「Newfield Television Broadcasting」。 そこで約5分、私が音楽の話をし、なじみ深いピアノ曲の抜粋を弾くミニ・シリーズ「ピアノの時間」。 今週の日曜日にエピソード#5が放映されました。 今回のテーマは「調性について」。 曲はシューベルトの即興曲作品90-3、変ホ長調です。 下のリンクの8分6秒の所から、「ピアノの時間」をご覧頂けます。 http://www.soto-ntb.com/program/2011-02-27/

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タイガー・マム

ライス大学が国立図書館に送り込むために選んだ音楽専攻の修士あるいは博士課程の生徒は5人。 台湾系アメリカ人のヴァイオリニスト(女)、韓国人のチェリスト(女)とピアニスト(女)、日本人の私と、アメリカ人の作曲家(男)である。作曲家以外はすべてアジア人女性なのである。作曲家は演奏はしないから、舞台上は全くアジア人の女性だけになってしまう。 世界的に、クラシック音楽界にはアジア人が目覚ましく進出を続けている。これは、例えば私のお友達でアメリカ文化研究者、ハワイ大学の教授である吉原真里さんの著書、『Musicians from a Different Shore: Asians and Asian Americans in Classical Music』Temple University Press, 2007でも大いに検討されている現象である。 しかし最近、アジア人がクラシック音楽をすることがさらに注目を浴びている。今年の1月に出版された、Battle Hymn of Tiger Mom (タイガー・マムの聖戦歌)がその理由だ。Amy Chuaと言うエリート中国系アメリカ人女性(イエール大学で法律を教えている)が、その子育ての記録を綴っている。アメリカ人男性(この人もイエールの教授)との間に二人の娘をもうけたエイミーは、この二人をビシバシとスパルタ教育している。泣き叫ぶ7歳の娘を夕飯抜きで、トイレにも行かせず何時間もピアノの練習を「曲が弾けるようになるまで」強制したり、A以下の成績を許さなかったり、毎日何時間も計算と綴りのドリルをさせたり。。。 「幼児虐待!」と叫ぶアメリカ人読者もいる。アメリカでは子供は褒めまくって育てる伝統が在る。しかし批判されているだけならばこの本はこんなに話題にならない。この本が今、話題になるには在る特殊な背景が在るのである。それは国際的に行われる小学生の学習能力の結果である。アメリカの小学生の数学能力は世界25位、そして理科も21位と決して好ましい物ではない。ところがそんなアメリカ人小学生が必ず一位になるのが、「自信」。これら学習能力のテストの後、「このテストは上手く言ったと思う―yes or no – 」とチェックする所で、アメリカ人の小学生は突出して自己肯定的なのである。この統計が最近ドキュメンタリー映画などで取り上げられ、話題に上るに従って、アメリカ人たちは静かに焦り始めている。そして学習能力のトップに出てきたのが、上海などの中国の都市。この本が話題になるわけである。自信たっぷりのはずのアメリカ人が、自分たちの今までの教育方針に疑問を持ち始めているのである。 明日とあさって、国会図書館で演奏する私たち4人のアジア人は、もしかしたら受けるかもしれない質問に備えて、昨日の夕飯時は「タイガーマム」の是非、そして自分たちの幼少時代の両親との関係の話題で盛り上がった。

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いよいよDCにやって来ました!

NYからバスで約5時間、いよいよDCに入りました。 着いたのは、昨日(水)の正午過ぎ。 図書館に直行し、軽くこれから弾く曲の作曲の手紙などをリサーチしてから、 4時から7時半まで図書館のクーリッジ演奏会場でリハーサル。 これが素晴らしいホールなのです。 本当に凄い音響のホールで演奏すると、 自分の音や一緒に弾いている仲間の音がも本当に楽に、美しく聴けるようになり お互いの音と自分の音を溶け込ませると言う作業が本当に楽しい、自然な事となるのです。 クーリッジ演奏会場と言うのは、どんなにお金を積んでも借りられるホールでは在りません。 招待されてのみ、演奏出来るホールです。 政府機関ですし、またこのホールを作るための寄付をしたエリザベス・クーリッジの意向もあって ここで行われる演奏会は全て入場料無料。 500席はいつも満員で、入場の為に列ができるそうです。 ここの音響と言うのは名高く、 私のここでの演奏が決まってから色々な人にその素晴らしさに関して聞かされてきました。 そしていかに色々な高名な演奏家たちがこのホールで録音したくて、でも断られたかと言うことも。 でも、こんなに音響に触発されるなんて、昨日実際弾き始めるまで予測できませんでした。 演奏が楽しみです。 旅をしていると、ちょっとしたことがとても心に残ります。 昨日、バスがDCのユニオン・ステーションと言う大きな電車の駅に着いた後 地下鉄に乗って図書館までやって来ました。 NYのグランド・セントラル・ステーションは世界一大きな電車の駅で、 内装も「ここはお城かしら!?」と思うほど美しく (私が映画監督だったら、王様の舞踏会はあそこで撮りたい!) 私の大好きな駅ですが、 DCのユニオン・ステーションも凄い! そしてどちらも地下に大きなフード・コートが在ります。 私は丁度お昼時だったし、食べ物にはいつも興味が在るので、地下をちょっと探検しました。 そしたら、色々なお店が沢山、沢山味見をさせてくれるのです! 「熱いですよ、気をつけて!」 と焼き立てのチキンが一切れ刺さったつまようじなどが押し付けられてきます。 私は本当にほくほくでした。 さて、地下鉄に乗って図書館に向かう道中。 私はスーツケースを抱えているし、きょろきょろして、いかにも旅人だったと思います。 図書館に行くまで何駅か一応覚えてはいたのですが、でも不安。 駅に着くたびにホームに書いてある駅の名前を確認していました。 ところが通過した駅の一つでは、駅の名前が大きな柱や、待機中の向かいのホームの電車の影で 見えない! 私が一生懸命、ろくろっ首になってきょろきょろ見ようとしていたら、隣に座っていた女の子が 「何々駅」 と、駅の名前だけを大きな声で言ってくれたのです。 恥ずかしがり屋の人が、一生懸命声を出した、と言う感じでした。 さらに、私が外国から来ていて英語が喋れない可能性を考慮して、 「余計な事は言わず、駅の名前だけをはっきり発音しよう」と心の中で決心して 覚悟して発音したような感じでした。 「thank you」と笑って見せたら、とても嬉しそうにしてくれました。 こう言う一期一会で、旅先では本当に良い思い出になります。

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