演奏道中記11.18:節目に描く将来像

今日は誕生日。

記憶力は自慢できない私が、今まで経過して来た数ダースの誕生日の大方、どこで何をして何を想っていたかを思い出せるのは、魔訶不思議です。(どうしてか)と出ない答えを考えるよりは、この現象を利用しよう!自己暗示とか、自己成就的予言(Self-fulfilling prophecy)というのがあります。「こうなりたい」「こうなるはずだ」と言葉にすると、より現実的にその夢を思い描くようになり、それを信じ込むようになり、そしてそれが実際に現実化するというサイクル。

「五年後、十年後、そして二十年後の自分の理想像を教えてください。」アメリカでは、入試や職務採用などで良くされる質問ですが、日本ではどうなのでしょう。これを私は20年ほど前の誕生日にやったのです。そしてその時決めたのです。

私の人生の目標は、ピアニスト、音楽家、そして人間として毎日少しずつでも死ぬ日まで発展し続ける事。

そして同時に決めたのです。この目標を達成するためには私には次の3つの条件を満たした生活が必要だ。

  • 幸せである事(状況ではなく、態度・観点に於いて)
  • 定期的に演奏の機会がある事
  • 学習や触発を与えてくれ、更に私が貢献できるコミュニティーに属している事。

私は今、20年前には想像がつくはずもなかった形で、上の全てをかなえている自分を発見してびっくり。そして感謝。

私は「フリーのあーちすと」としてそれなりの代価を払ってきたし、今も払っているけれども、その代わりに自由という贅沢に恵まれている事を深く実感し、感謝して、それを有効利用しようと腹を決めているつもりです。今関わっているプロジェクトや、属しているコミュニティーや、培っている人間関係の全てが誇りと意義と愛着を感じているものです。

誕生日前夜の夕焼けが特別美しく感じました。
近い将来で楽しみにしている事:私生活面
  • 今週末は野の君とキャンプ!二人でアウトドアストアを色々探索して、テントや寝袋や簡易コンロなどを買い求めて、これから沢山新しい世界へ冒険していく予定。カリフォルニアは兎に角大自然に恵まれていて、近場に国立公園や州立公園が沢山あって、キャンプ場もそこら中にある。楽しみ!
  • 来週末の感謝祭を皮切りに、ホリデーシーズン全般に色々な友達がLA界隈に訪ねて来てくれる。「LA=マキコとご飯」と思ってくれる人が世界中に居る事がしみじみと嬉しい。
近い将来で楽しみにしている事②:Dr. Pianistとして
  • 今まで小ばかにしていたモーツァルトの精密なシンメトリーやほとんど儀式的な形式が、最近とても愛おしくなってきた。予測可能なものに対する安心感は、不穏な世の中に対する反作用だろうか。美しい。いつまでも弾いていたい。
  • 12月1日、3日、6日と演奏する機会がある。どれも小さな会場だけれども、だからこそ聴衆と直接的な一体感を育める。楽しみ。
  • 12月12日にシカゴのAGU(アメリカ地球物理学連合)で「テンポ:音楽による環境運動」の一員として1800人収容の会場で発表する。
  • まだこれは発表できないけれども、来年から新しい執筆の仕事が増えそう。楽しみ。
  • Stanford大学の国際・異文化教育(SPICE)の講師として受け持っている生徒さんたちや客演講師の方々から沢山の刺激を与えてもらっている。感謝。
5年後、10年後、20年後を思い描くためにしなければいけない一つの決断。

2018年から書き溜めてきて、今第三稿としてコンピューターファイルに眠っている手記。これをどうするのか。出版に推し進めるのか。それとも一度これは忘れてしまうのか。腰と脇腹に鋭い痛みを定期的に感じる様になった時、実は心身症を疑った。そして要因として可能性の一つはこの本に関する分かれ道がある。自分では決められない。決めたくない。何か啓示が欲しい。でもきっとこれは自分で決めなければいけない事なのだ。

日本でどれだけ話題になっているのか。今日、私の誕生日は映画「She said」の公開日でもある。

映画プロデューサー、ハーヴィー・ワインスタインの長年に及ぶ性暴力の被害者たちを遂に記事にしたNYタイムズの記者たちの実話を元にした映画「She said」・日本での公開日は2023年1月13日。

もう、問題提示は十分になされたのではないのか。これから必要なのは、実例を数多く挙げていくことではなく、こういう現象の歴史的な背景と、解決法を提示する事ではないか。私が書くべきなのは、実体験を元にした手記ではなく、リサーチを基にしたルポタージュではないのか。

書いた本の事は、はっきり言って忘れてしまいたい。でも、(忘れたかな~)と思うと、いつも何かに突っつかれる。それは、かつで書き仲間だった人からのメールだったり、私の本の一部を読んでくれた人からの激励だったり、私のケースに非常に似た被害ケースに関して知り合いから聞かされたり、新聞記事で読んだり、映画で観たりすることだ。その度に、頭を抱え込んで(どうしよう)と思う。焦燥感を感じる。心拍が早くなる。

今週末、キャンプに行ってのんびりゆっくり考えてみます。

人生山あり谷ありだけれど、今の幸せな私に向かってきた私の今までの人生の道と出会いの全てに感謝をしています。

1 thought on “演奏道中記11.18:節目に描く将来像”

  1. お疲れ様です。

    来し方行く末は、次の言葉が何よりも大切かと。

    笑顔は一ドルの元手もいらないが、百万ドルの価値を生み出す。<デール・カーネギー>

    小川久男

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