洒脱日記130:友情交歓ーありがとう!

置き物?よく出来てるな~!え?本物?近づき始めたら急に動いて超びっくりしました!

最近ライブ配信の時に思いがけないミスをしてしまう。練習中なら絶対しないミス。そして緊張の症状を自覚する。手や腕が痺れたような感じ。動悸。頭がパニック状態で後先を上手く整理して考えられないアワアワ感。

「もしかして、2015年に完全克服したと思った舞台恐怖症が戻って来た...?」「しかしなぜ今...?」「もしかして私、舞台恐怖症のピーク時と同じように、一回一回の演奏に自分のキャリアの将来がかかっているようなプレッシャーを感じてる...?」「それってコロナで音楽産業が危ういと思っているせい...?」

昨日の夜は腹痛でよく眠れなかったこと。それで今朝は4時半に目が覚めてしまった事。10年弾いているとは言え、ゴルトベルグは色々な意味で難曲だということ。しかも難曲を弾くコツは「考えすぎないようにする」ことなのに、朝練でやっていることは「どのように考えるか」という解析。解析を説明して弾き、また説明して弾きという、実は至難の業をやっていることーーーそういう、もっと直接的・実際的な事に要因を求めずに、自分の演奏をすぐに心理とか社会状況などの反映と思って事を大きくしてしまうのが私の傾向。

しかし、要因が何であれ、演奏では自分のベストを発揮したい!自由に音楽を表現したい。自分の大好きな音楽を、聴いてくれる方々と楽しくシェアしたい!...どうすればそれができるのだ!? 

今朝のライブ配信中は、聴いてくださっている方々に応援してもらう中、緊張の症状を一つずつ説明しながら、深呼吸やストレッチをしたりして、少しずつに分けて5つの変奏曲をリハビリを兼ねて弾かせて頂きました。下です。最初の30分で変奏曲第21番の解説。そこから変奏曲第17番から21番まで通して弾こうとして緊張のため失敗。そして38分目から、自分の緊張がいかに演奏に悪影響を及ぼしているか、どういう症状を経験しているか、お話しをして、そこから今度はまた変奏曲大17番から一曲ずつ弾き進めていきます。

なぜ私がこのヴィデオを消さずにチャンネルに残しているか。それだけではなく、なぜこのブログでわざわざ紹介しているのか。それは、この後友人に助けを求めて一緒に出した答えのためです。

私の20年来の心の友、NYで調律師をしているリック。SOSを出したらいつも応答してくれるリック。コロナ非常事態がまだ新しかった4月にライブ配信をためらっていた私に「ライブ配信というのは、音質が悪くても人々に安心を与えた戦時中のラジオ放送に似ている」と言って一瞬にして私の腹をくくらせたリック。今朝、リックが気付かせてくれた新しい視点の可能性。

  • 私は今の状況を過去のものと比べようとしているのは間違っているのでは?
    • ピアノを弾くという行為は同じだが、媒体がライブ配信という全く違う形。新しい表現法なので慣れるまで大変なのは当たり前だ。必ずしも「恐怖症」ではなく、ごく普通な反応では?自然な試行錯誤なのでは?
    • 私が常に言っているように、完璧さや精巧さを求めるのなら録画・録音が不自然・非現実的・機械的なまでに完璧・精巧にしたものが市場に溢れている。むしろライブ配信では違うものを提示しなければいけないのでは?ライブ配信で求められるのはよりクローズアップした人間味なのでは?それが怖いのは当たり前なのでは?
  • 新しい媒体での音楽体験に戸惑っているのは聴衆も同じ。お互いにぎこちなさが生じるのもしょうがない。
    • コロナ前の演奏会と同じものをライブ配信に求める人は勿論不満に感じるだろう。その不満を個人的にぶつける人がいたとしても(実際にいるのだがーそれもあってアワアワしてしまったりするのだが)それは構う必要はない。ライブ配信は生演奏と違う。それが理解出来ない人はしょうがない。
    • ライブ配信で受ける感動は、生演奏での感動の表現(拍手・「ブラボー」など)のようにまだ画一化されていない。それで戸惑う人も居る。間違えてしまう人も居る。でもそこはみんなで一緒に笑いながら試行錯誤を重ねていくしかない。

お昼に超ふわふわカリカリのオートミールお好み焼きを食べながらリックの言ってくれたことを随一野の君に報告する。野の君は「クローズアップした人間味」を聞いて、「うんうん、文化や美学が大衆にも広がる『ルネッサンス』だね」とにこにこして聴いてくれる。『ルネッサンス』はKさんの予言。14世紀の疫病がルネッサンスに繋がったように、コロナは価値観の転換と芸術・文化・学術の再生を促す、と。

そして、オペラ歌手のMからのメール。「...the people who have heard your performance… their cells were changed by it, and remain changed or changed further from that change on(あなたの演奏は人々の細胞にまで影響を及ぼして、その影響はその人の生態の中でまた他の影響を及ぼし、その人の言動にまで影響して...)」ある意味、未来永劫だ、と。あなたのしていることは、社会が価値を見出すが見出すまいが、本当の価値がある大事な事だ、と。

私は、私を受け止め、励まし、そして見守ってくれる、こんなに素晴らしい人たちに恵まれて、素晴らしい旅路を歩ませてもらっている。お互いより美しいものを創り出して、そして触発しあい、共同制作できるよう、笑顔で、正直に、クローズアップも大手を広げて、ハグし合うつもりで、受け止めよう。

人間みな兄弟。音楽万歳!音楽人生、万歳!

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