明鏡日記8.25:お城の音楽祭

タングルウッド音楽祭から数キロの所で開かれる毎年恒例の夏の音楽祭、ArtsAhimsaで一週間講師を務めました。アマチュアの楽器奏者が講師を務めるプロと合奏できる室内楽音楽祭です。

ここに来るのは5年目ですが、この会場にいつも度肝を抜かれます。1884に建てられたこの豪邸は、JPモルガンの友人で、NYのアメリカ自然史博物館の創立に多大な出資をしたMorris Jesupが長年愛着を持ってデザインをし、完成させました。Belvoir Terraceという名前がついています。

ハリケーンヘンリーの影響でほぼ毎日雨が降りました。いつもはここに来ると長い散歩やジョギングをしたりするのですが、今年は無理。でもその代わりでしょうか?それともコロナ禍でキャンセルになった去年で余計一緒の時間の愛おしさが増したのでしょうか?今年は例年よりも更に濃い熱情を持って、会話や共演やハグが交わされました。まるで感情の嵐!様々な涙も流されました。

参加者の多くは引退されています。年齢的にもコロナ感染のハイリスクの人が多かったのです。この一年で亡くなってしまった音楽祭の常連さん。長年続けてきた親御さんの介護がいよいよ終焉に向かっている参加者。相方の認知症のためにも一生懸命毎日練習して聴かせて来た参加者もいます。

コロナ禍で演奏がキャンセルになって講師たちも色々な進展を経験していました。音楽とは何か。人生の優先順位は?結婚した人も、キャリア・チェンジを考察した人も、起業した人も、このお城での再会で語り合いながら音楽を共演し、そして腹を割って語り合い、この一年半を振り返りました。

音楽祭開催の二日目の夜に「音楽と社会」という題目で、自分の脳神経科学を通じた自分の音楽の再考の過程、そして音楽家の社会的役割、特に温暖化のダメージが社会を脅かす現代にツールとしての音楽の効果などについてのプレゼンをしました。

「私はこれから一生懸命、世界の為に頑張ります。でも私一人では何もできません。私の活動や発言に共鳴してくださる方は、どうか一緒に力を合わせて下さい。ご自分の人脈に質問を投げかけてみて下さい。問題意識を発言してみて下さい。私の発信をシェアして下さい。そして、可能であれば、私に助成金を寄付してください。私はこれから自分の活動を広げていくために資金の必要性を感じています。」

皆そうなのかも知れませんが、寄付を頼む、特に自分自身の為に寄付をお願いするのは、中々勇気がいるものです。でも、この一週間で沢山の方の応援に本当に勇気づけられました。CDを何枚も買ってくださった方。マーケティングのアドヴァイスをして、これから数か月間で私のパワポや広告を一緒にデザインしてくださるとおっしゃって下さった専門家。環境問題の解決に活躍するカッコ良い女性に関する記事を転送してくださった参加者。「お金は無いけれど、ボランティアが必要なら何でもします!」と言ってくれた若い講師。そして小切手をそっと手渡して下さった方。楽譜の中に残してあった現金。お金を渡して下さった後、長い長い(一分位)ハグをして「I believe in you. Thank you for the work you are doing.」と言ってくださった方。

感謝の気持ちと一週間の旅情・友情で、生きている実感に満たされて音楽祭を後にしたのが昨日だなんて、信じられない水曜日の朝です。

Leave a Comment

Your email address will not be published. Required fields are marked *