演奏道中記8.26:安定よりも安定感

先週末、夏休みが終わった。

秋学期が始まり、野の君は教えるクラスが午前中。渋滞を避けるために6時半には出発する。私もそれに合わせて5時台に起きる様になり、急に朝のリズムが整った。朝焼けの中、野の君のお弁当作りを手伝って送り出した後、私は免疫力とメンタル力を高めると噂のマッシュルームコーヒーをコップに一杯たっぷり作って練習を始めます。

時差の関係上、日本や欧州からのメールは特に、眠っている時間に届く可能性が高い。昔は起床直後に歯を磨きながらまずスマホでメールをチェックしていたが、最近は意思の力でその習慣を廃止!数時間待てない緊急連絡がある可能性は少ないし、例えあったとしてもアメリカ西海岸から効果的な手助けをできる可能性はほぼ無い。それよりも、朝一番意識と無意識の境界線が薄い時間にしかできない事をやる。

そのせいか。それともはたまたマッシュルームコーヒーのせいか。毎日の朝練で、連続開眼。

今日の開眼。

目指すは安定より安定感。

安定は現在の状態。それに対して、安定感は将来に対する信頼と期待。

日曜日の午後にフランクのピアノとヴァイオリンの為のソナタを収録する。2006年にジュリアードの教授だったチェリストの故アンドレ・エメリアノフと、そして2013年にクラリネット奏者の佐々木麻衣子さんと収録した曲。それでも念の入った練習を要する大曲。細かい音が多く、音域が広く、技術的な完璧さに囚われやすいが、ノーミスを目指すと安定感が無くなる。構築をしっかり視野に入れ、安定感を目指すと音が必要なタイミングにはまっていく。

安定は静止にあらず。安定感は大きな視野で将来を見据えて初めて出てくる。

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