演奏道中記9.2:音楽⇒共感力⇒世界平和

2021年の春、私はトーマス・マンの旧家でマンに縁ある作曲家の曲を演奏収録する、というプロジェクトの依頼を受けました。演目を決める為オンライン検索していて、ナチス政権に迫害されてロサンジェルスに30年代に移住し、失意のうちにその一生を終えたエルンスト・トッホという作曲家について知りました。トッホのお孫さんは、以前から私が存じ上げていた受賞作家のLawrence Weschler氏。普段はNYにお住まいなのに、私がメールを差し上げた数週間後にLAへの出張を予定されており、そのご縁で初対面。その後、第二次世界大戦中にロサンジェルスに戦争移民として来た文豪や作曲家の事、今でも世界で続く数々の人権侵害問題などなど、色々教えて頂く先輩、そして意見交換をする友人へと関係が発展しました。そんなこんなで丁度一年経った今年の5月、今度はお孫さんの解説と私のピアノ演奏、そして二人の会話で、トッホとその歴史的背景、更に世界平和について考える音楽会をしました。

その時のハイライトをまとめた動画をこちらでご覧ください。

歴史ある有名雑誌「ザ・ニューヨーカー」の記者を20年以上務め、20冊近く出版されている著書の多くが大きな賞を授賞している作家のウェシュラ―氏。書くことがよほど好きなのでしょう。毎月いっぺん、物凄く長~~~~いニュースレターが届きます。今月号は、そのお爺様で作曲家のエルンスト・トッホの特集でした。私も出てきます。

第二次世界大戦中、毎日を必死で生き延びていた我々の祖父母は、ユダヤ人と日本人のそれぞれの孫が、アメリカのロサンジェルスで同じ舞台に立って世界平和を訴えているなんて、想像もできなかったでしょう。今でも、様々な理由で人々は理不尽に人権侵害され、時には殺傷までされます。でも、問題にだけを焦点を充てていたら燃え尽きてしまう。歴史の成果を喜び合う事で希望を見出す事も必要だと思うのです。

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