美笑日記8.14:一期一会の現実

この記事は日刊サンに隔週で連載中のコラム「ピアノの道」のエントリーNo. 111(8月20日付)を基にしています。

羽田から飛行機で10時間半。ロサンジェルス空港でスマホの電源を入れた途端、立て続けに騒がしい着信音で今回の惨事について知り、眠気が吹っ飛びました。

「また来るね。」そう言ってマウイを飛び立ったのが去年の5月。でも去年一週間お世話になったラハイナ浄土院は、先週8月8日に始まったマウイ島の大火災で全焼。住職を務めていらした私の友人のお父さまやお母さまは無事に避難されたものの、1912年に創立されたお寺とそこに収められた数々の工芸品、そして日系アメリカ人コミュニティーの歴史の産物は、煙と灰に姿を変え、二度とと戻れない場所となってしまいました。

一緒に叩いた木魚。声を合わせて唱えたお経。お香の匂い。あの時の一体感が今私の心をラハイナに飛ばし、マウイで被災された方々のために何かをしたい、という意欲を掻き立てます。(こちらでラハイナ浄土院への寄付ができます。)

LAでの演奏会の翌日にマウイ空港に飛んだ強行軍の小旅行だったけれど、行っておいて本当に良かった。あのお寺や境内、そしてラハイナやマウイ島の美しさや優しさは、私の思い出の中に生き続ける。これからの私の言動や存在の一部であり続ける。

気候変動の影響でこれから頻度を増すであろう自然災害をマウイの惨事に重ね、身を引き締めるような思いがします。我々はどうやって保身よりも思いやりを、不安感よりも自尊心を、そして利己主義よりも達観を選択して、お互いを支え合い、人間性を持続していけるのか。その過程で音楽家として、私は何をするべきなのか。

この記事の英訳はこちらでお読み頂けます。https://musicalmakiko.com/en/my-musical-mission/2994 

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