Virginia Center for the Creative Arts(ヴァージニア創造芸術センター:以下VCCA)に2週間滞在しています。作曲家・視覚芸術・物書きの為が雑用や社会から隔離されて創作活動に専念する時空と、世界各地から参加する他の芸術家や地域社会との交流を活動発展の糧として提供する、というプログラムです。
日本語では「作家滞在型制作」と呼ばれるアーティスト・イン・レジデンス・プログラムの起源は、将来有望な創作家が情報や人的ネットワークを広げるために他国や多文化での研鑽を積むため奨学金制度だそうです。日本でも地域活性化の起爆剤として多くのプログラムがあるようです。
DCから車で南に3時間ほど運転した距離にあるVCCAは自然豊かな400エーカー。ここではリスやウサギが逃げない!手を伸ばせば届く距離でいつまでも草や木の実をもぐもぐと食べています。鳥や蛙がのんびりと鳴く中で私専用のスタジオで執筆していると没頭して我を忘れます。午後は誘われるままに近くの湖で泳いだりヨガのクラスに参加する事もあります。夕食は参加者みんなで食卓を囲みます。「同じ釜の飯」という言葉が思い出される親密さで盛り上がり、議論や笑い声が毎晩賑やかです。夕食後は有志による作品発表会。朗読やプレゼンを聴講したり、創作者の説明付きで絵画や彫刻を鑑賞したりします。
ある日「沈黙と忍耐から研ぎ澄まされる真実」という内容で写真家と会話をしていたら二重の虹が空にかかりました。そしてその後我々が語る中、夕焼けは黄金・紅・紫・漆黒と息を呑む七変化を遂げ続けたのです。でも多分その感動を可能にしたのは、空を愛でる時間と気持ちの余裕と、真実を見出すことに研鑽を重ねてきた仲間だったと思うのです。美はいつもどこにでもある。問題はそれをどうやって見出すか、慈しむか―そのお手伝いをするのが芸術であり、芸術家だと思ったのです。

日刊サンコラム「ピアノの道」No. 179「アーティスト・イン・レジデンス」6月21日掲載「ピアノの道」より。
