珍しくおしゃれに時間をかけて、女友達とのランチにハリウッドに出かけた。友人のおさがりのジョロ~ンとした不思議なトップ(首のところが非常に大きくて、どうしても肩が一つずり落ちてしまう)と、アメリカのお父さんの形見のループタイをして演奏会でもめったに付けない口紅もつけて出かけた。

店の前のパーキングメーターと格闘していたら、通り向かいの車が道路の真ん中で停まり、運転手側の窓がスーッと開いた。

「Excuse me. すみません。」

やっと自分に話しかけられていると気が付いて顔を上げたら「You look so nice.」と言われた。非常に戸惑った。相手は多分私より年配の白人男性。「Oh…」とだけ言ったら「Really, I mean it. You look so cute」と続けてきた。

どう反応するかよりもどう感じるかに物凄く迷った。

(お、おじさん…セクハラおやじに間違われるよ~!!??)

(そ、それとももしかして…本物セクハラおやじ~??…というか私はもう…お~い、セクハラおやじはおばさんにも興味あるのか~い??)

…危険は感じない。相手は道路の反対側で後ろから車が来ているからもう発車しないといけない。誘拐の危険もナンパの可能性もない。このご時世に、なぜわざわざ彼は車を停めてまで私に声をかけたのか。この人はもしやファッション大好きゲイ男性なのか?私はたまたま彼のファッションセンスに叶ったコンビを着ているのか?発車しながら最後に「 Beautiful!」と畳みかけてきたので、一応何となく「Thank you」と曖昧に手を振った。

本当にこのご時世の今日と言う日に…

(ファッショナブル(?)マキコは花より団子。フィリピン料理)

(警告:ここから性虐待・性暴力の話しが沢山出てきます。)

このご時世の今日と言う日の背景をご説明します。

先週このドキュメンタリー映画の試写会に行って来ました。音楽業界の有名教授による未成年者の性虐待がいかに多いか、そして糾弾に糾弾を重ねてもいかに業界側が加害者を庇い、何十年と性虐待を黙認するかと言う被害者の声をまとめたドキュメンタリーです。私の知っている人たちや関係のある学校も出てきます。

8歳から先生にわいせつ行為を強要されたチェリストの話しが特に悲惨でした。この女性は両親とも交響楽団の奏者で、先生は楽団のコンサートマスターだったため幼い彼女は「告げ口したらお父さんとお母さんはお仕事が無くなってしまって食べるものも住むところも無くなってしまうよ」と脅されたのです。何十年も経ってからこの教授は告訴されたのですが、その際大人になっていた彼女は証言者としての信憑性を揺るがすため反対尋問で治療中の精神不安について追及され、そのせいでとてもかわいがっていた十代の息子たちを残して自殺をしてしまいました。

この映画の主人公・プロデューサーであるヴァイオリニストのLara St. Johnは自分のマンハッタンのアパートを売ってこの映画製作資金に充てました。今年の2月にサンタバーバラ映画祭で初上映をして以来、アメリカやカナダの大学などで試写会に回っています。

でも2017年の#MeToo運動があったにも関わらず、そしてこういうドキュメンタリー映画や本が沢山発表されているにも関わらず、過去の性暴力の糾弾や罪状判決を受けた男性たちが政治や裁判や多様な業界のトップで世界を操っています。私たちには、そして私には、何ができるのか。何をすべきなのか。

4月14日(火)二人の下院議員(ゴンザレスとスウォルウェル)が辞任。二人とも性的暴行の結果。ゴンザレスは規制に違反してスタッフに関係を強要した。そのスタッフはその結果離婚・焼身自殺している。ゴンザレスは過去にも似たような関係強要の糾弾を受けている。スワルウェルは5人の女性から強姦の告発を受けている。そしてもう一人の下院議員(ミルズ)も性的暴行・暴力・サイバーストーキングなどで倫理委員会の審議待ち。

一方、4月16日(木)元バージニア州副知事でかつて期待の星だった政治家が妻を射殺した後自分も自殺。2019年に二人の女性の性的暴力の糾弾により政治生命を絶たれ、鬱と酒と経済困難に至っていた。これも悲惨。この無理心中が行われた家には十代の二人の娘と息子が居て、警察に通報したのは彼らだった。

そして同日4月16日オンラインで炎上したのがCNNのこの記事。(警告:英語ですが非常な性暴力的暗黒サイバー世界に関する内容です。)

お互いを痛めつけあわなくても人生も世界も十分に困難に満ちている。どうして人間同士でそんなにお互いを痛めつけあうんだ?

私は通りすがりの人に褒められたら素直に嬉しくなれる世の中に住みたいです。私は運転中のドライバーさんが車を停めて声を掛けて来たら自分の安全を心配するよりも(道に迷ったのかな)とすぐに助けに行ける世の中に住みたいです。私は人間性善説を信じたいです。弱い者いじめをしてしまう人たちは例外的な少数派で、優しい世界でみんなからの愛情のぬくもりを感じられたら更生できると信じたいです。

それがナイーブだとは思いたくない。みんなの協力と努力次第で実現可能だと思いたい。可能か否かではなく、どうしたら可能かを考えたい。

【告知:拡散希望❣】5月に日本で色々やります!


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