インプットとアウトプットは同時にはできませんが、世界はアウトプットで我々を評価します。SNSでもシリコンバレーでもより多く・早く・目新しいアウトプットが注目と投資の対象となります。この数十年でシリコンバレーに集まった資本金はゴールドラッシュで集まった金塊の総合価値の200倍なんだそうです—インフレを差し引いて計算しても!でも良心や信念や実体験を犠牲にしても評価を求めてしまう強欲は美しくありません。起業・政治・テクノロジー・イノベーション…全てが目まぐるしく加速する中、呼吸も考えも浅くなるのは必然…焦燥感と息苦しさを感じているのは私だけではないはずです。

そんな現代に於いて音楽は解毒効果があります。まず、スピード重視の代価として学習をおざなりにした無根拠な未来形成に対し、聴くという行為は我々を「今」という時間、そして「ここ」という空間に呼び戻してくれます。さらに音楽を共体験すると心拍が拍子に、呼吸がフレーズにシンクして、一体感からくる安心で血圧もストレスホルモンを下降します。そして戒めてくれるんです。周りの苦痛も幸福も自分のものと感じる共感力で生き延びてきた人類は、他人の不幸や不利益を踏み台にして成功しても幸せにはなれない。自己中心的な行動は結局自分の首を絞める、と。

スタンフォードの起業家育成で有名なスティーブ・ブランク教授は「起業は芸術活動に似ている」と言います。他の人には聴こえない音・分からない感覚を現実化してシェアしたいという欲求に突き動かされ、利益や名声の為ではなく、失敗や貧乏や苦労を重ねても挑戦し続ける―これが本来の起業家精神なのだ、と。そう言われてみると私は確かに突き動かされてこうして文章を書き、スタンフォード大学の国際・異文化教育プログラム(SPICE)の講師として起業家精神を考察するコースを担当しています。そして毎日ピアノ道で私の信念と良心と体感に照らし合わせた真・善・美を探求しています。

この記事は「世界を制覇したいスタンフォード一年生たち(The Stanford Freshmen Who Want to Rule the World)」(The Atlantic, 4/24/2026, Theo Baker)に触発され、日刊サンに連載中の隔週コラム「ピアノの道」♯176として書いたものを基にしています。

【拡散希望❣】来月日本で色々やります!広がれ、音楽の輪❣❣


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