音楽をやる事になったきっかけ。

今日は「Mind/Body」のクラス、2回目が在りました。
前回よりも詳しく、このクラスでこれからやる事の説明が在りました。
神経学者、心理学者、脳外科、アレクサンダー・テクニックの先生、などがゲストとしていっぱい来る他、
クラスの前で簡単なスピーチと演奏をして、その様子をヴィデオに撮り、
身体の使い方の反省会を一人ずつやる、とか、
本当に実用的な事、そして興味深い事が沢山あるようです。
オリンピックの選手のトレーニングが良く引き合いに出されて、私たちの練習法と比べられました。
音楽家は"small muscle athlete(小筋肉スポーツ選手)で、その自覚を持って練習するべきだそうです。
今日は子供の頃の思い出で、音楽家になるきっかけになった物を一つ書いてください、と言われました。
これは"Motivational Memory"と言われ、自分の気運を高めるのに有効だそうです。
私が書きだしたのは、3歳くらいでレッスンを始めたばかりの頃の思い出です。
初めて両手を使う曲をもらって私は大得意でした。
丁度その頃、母がお友達を招いてお茶会を開きました。
私はドアのベルが「ピンポーン」と鳴るたびにピアノに走って行って、
ドアが開くたびにその曲を弾き始めます。
3人目、4人目とお客さんが到着するごとにそれをやるので、
母は「もう良いよ」とうんざりしていましたが、
私は本当に嬉しくて、興奮してドキドキしていたのを覚えています。
それから初めてペダルを使う曲をもらった時の事も良く覚えています。
男の子が宇宙船に乗って星の間を飛んでいる絵のついた表紙の楽譜で、
私はペダルで鳴り響くピアノの音が本当に奇麗に思えてうっとりしたのを覚えています。
それから初めてのグリッサンド(手で素早く鍵盤の上を滑ってジャラ~んと鳴らす事)。
グリッサンドは今でもやるたびに得意になってニコニコしてしまいます。
全く難しく無い技なのですが、珍しいし、派手なので大好きなのです。
私の両親は毎晩、私と妹がかなり大きく成るまで交代で寝る前に本を読んでくれました。
デパートの本屋でいつも沢山本を買ってもらったのを覚えています。
「赤い鳥」と言う子供用短編集は、父が「買う」と言い張って家の本箱にやって来ました。
その中の一編に、中国の笛吹きのお話が在りました。
その笛吹きはいつも遠い故郷の山や川を懐かしく思い出しながら道端で何気なく吹いていた所、
ある日、一人の通りすがりの役人に凄く褒められ、王様の前で吹ける事になります。
迎えに来るから、と言い残して立ち去った役人。
笛吹きは一念発起します。
名人と言われる笛吹きに教えを受けて、毎日練習し、
技術を磨いて役人が迎えに来るのを待つ毎日。
やがて役人が迎えにきました。
「王様の前に連れて行く前にもう一度聞かせてくれ」
と言う役人の為に、笛吹きは教わった事を思い出しながら一生懸命吹きました。
しかし、役人はがっかりした顔をして、そのまま立ち去ってしまいました。
と、言うお話。
読んでくれた後、父が思わせぶりな顔で私を見て
「どうしてでしょうね」
とわざとらしく言ったのを今、微笑ましくく思い出します。

2 thoughts on “音楽をやる事になったきっかけ。”

  1. 「赤い鳥」は鈴木三重吉が創刊した有名な雑誌でした。
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%A4%E3%81%84%E9%B3%A5
    お父さんはちょっとした思い入れがあったのかもしれませんね。この中国の笛吹きの話は誰の作品でしょうね、芥川あたりだったりして。芸術の作り手と受けての関係がなるほどね、と表現されていて関心しました。すこしばかり作り手に厳しい感じもしますけど。わたしもどうして絵を?ときかれたら話せるお話がありますが、それはまたの機会に。

  2. >abbros.kawashimaさん
    是非、お聞きしたいです。それに思い出を思い出として胸に留めておく事と、書き出してみる事はやはり違いますね。今回クラスの為と、このブログに書き出してみて、確かに新たな気持ちを再確認しました。
    真希子

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