最近話題になっている映画、「リンカーン」を観た。
天正遣欧少年のリサーチをして以来、歴史が面白くなってしまい、話題に上っていたこともあって是非見たいとここ数週間思っていた映画、週末の息抜きに行ってきた。リンカーン大統領の第二期目、南北戦争も悲惨を極め、政治も切迫して、奴隷自由化の問題で議会沸騰中の中でのリンカーンを追い、その暗殺までが150分の映画にまとめられている。リンカーンが信念を持った使命を追った、物凄い権力を託された一人の人間として描かれている。その時代の、特に奴隷問題に関する様々な論争と言うのも、非常に面白かった。
演劇や映像に関わる仕事をしている我が誇りの妹情報なのだが、最近の映画と言うのは多様な言語圏に輸出することを念頭に字幕や吹き替えの手間・費用を最小限に抑えるために、せりふがどんどん少なくなっている傾向があるそうだ。このリンカーンはその正反対!アクションも、音楽さえも凄くストイックに最小限に抑えられ、全てが役者の神経の研ぎ澄まされた演技と、せりふのやり取りで成り立っている映画だった。でも、手に汗を握り、150分がぜんぜん長く感じられなかった。
俳優のケブン・スペーシーが、国家が芸術を支援するための費用がカットされそうになった時「芸術は必要か」と言う題でスピーチしたのが、Youtubeで観られる。
http://www.youtube.com/watch?v=aMrNvtT0dBM (英語です)
この中で彼は「リンカーンが劇場で暗殺された史実は有名だが、リンカーンがその大統領任期中に、南北戦争の一番大変な時でもいかに観劇を大事にしていたか、と言うことについて言及する人は少ない。彼は劇を見ることによって生き、使命のために闘い続ける勇気を得ていた」と言う事を行っている。この映画のリンカーンは、皆がストレスでカリカリしている時にたとえ話をして、みんなを勇気付けたり、笑わせて和ませたり、感動させたりしている。そう言うのも、観劇から得た技術なのかな~、そう言う対人関係の技術と言うか、人柄と言うのは、その人の成し遂げうることのサイズを大きく左右するよな~、と思いながら、そう言う点でもこの映画は面白かった。
芸術の必要性に関するもう一つの逸話。チャーチルは第二次世界大戦がいよいよ切羽詰っていた時、財政難で芸術支援の費用を削減する、と言う話が出た時「それでは何のために戦っているのか分からなくなってしまう」と猛反対したそうです。