• ドナルド・トランプ就任翌日は、 世界各地でWomen’s Marchと呼ばれるデモ集会が行われました。 私の友達の多くはワシントンで開かれたWomen’s Marchに参加しました。 The New York Timesによると、ワシントンD.C.のマーチ参加人数は トランプの就任式の3倍の人数がデモに参加した、と推測されるようです。 https://www.nytimes.com/interactive/2017/01/22/us/politics/womens-march-trump-crowd-estimates.html?_r=0   私は今まで芸術家が政治的発言をすることをあまり良く思っていなかったので敢えて控えていました。でもトランプ氏の場合は政治と言うより倫理の問題だと思い、多いに発言をしようと決意しました。同じような理由で、今まではデモ集会に出たりするよりは練習を優先させてきましたが、土曜日は生まれて初めて、デモに参加しました。ヒューストンで行われた集会の過去最高の参加数だったそうです。22,000人の参加者と言う推測が出ています。 http://www.chron.com/houston/article/Sister-women-s-march-to-protest-election-of-10872857.php   デモ集会と言うのは、エネルギーに満ちています。 「Love Trumps Hate(愛は憎しみを打倒(動詞:trump)する!)」 「People United will never be Devided(結束した人は相違しない!)」 「This is what Democracy Looks Like!(民主主義を見せつける!)」 などと言ったチャントが人々の間を行き交い、 全くの他人でも、声を合わせてチャントを唱えればなんとなく親近感が湧き、 さらに『同志!』と言ったような連帯感で、みんな笑みを交わし、 結構楽しい物です。   Facebookでは私の友達が世界中で同じような集会に参加している写真を挙げました。 フランクフルト、ロンドン、NY、ワシントン、LA、サンフランシスコ、ホノルル…   私と野の君は、デモの周辺は混雑が予想されたため、歩いて現地まで行き、 デモの後は歩いて帰ったので、15,000歩も歩いてしまいました! 距離にして10キロちょっと。 その後菜食ビュッフェに行って、モリモリ食べました。   夜は、特にこの日を記念して「Hidden Figures」と言う映画を映画館で観ました。 1960年代、アメリカ初の宇宙計画の縁の下の力持ちとなった黒人女性の数学者、エンジニア、エアロスペース・エンジニアの3人組のお話しです。涙が出るような人種差別の中、Martin Luther King Jr.の非暴力の社会抵抗と同時期に、3人とも子供を育てながら黙々とNASAが3人が無くてはならない存在と認めるまで、頑張っていくお話し。 http://originalmobs.jp/sands/2017/01/03/hidden-figures/   トランプの大きな問題の一つは白人男性優勢主義的な発言を多くしていることです。 さらに、白人男性の中でもお金持ち優勢。 このNASAの黒人女性たちは、黒人で、さらに女性である、と言う事で、 白人男性よりもずっと必要なお仕事をしながら、…

  • トランプの就任式である今日、 ライス大学は大学を挙げて移民法や人種差別の歴史などを見直したり、 新しい政権に現実的にどのように対処して自分たちの知性や教育や選択の権利を守るか、 パネル協議や講義、そしてディスカッショングループを大々的に開催しました。   私は「ビジネス界に於ける人種の多様性」の一日学会を聴講しました。 アジア商工会、黒人商工会、南米出身者商工会 LGBTQ(多様な性指向や性別アイデンティティーの権利を主張するグループ)商工会、 人種の多様性の必要性を大企業に説き、 どのように多様性を作り出すか人員派遣やアドヴァイスをする会社を創立して 大成功をおさめた黒人女性の社長、 その他沢山の人々の講義やパネル協議を聞き、多いに勇気づけられました。   「人種の多様性を『企画プロジェクト』としている間はダメだ。 人種の多様性が会社や社会の文化の一部とならなければ。 『企画プロジェクト』なんて言う物は付け焼刃でしかない。 そんな物は文化には絶対太刀打ちできない」   「自分がその木陰を楽しむことがないであろう苗木を植える、と言う事を 私たち一人ひとりが少しずつでもやることで、社会は良くなる」   「多様な視点を統合しなければ、世界に対する正しい視点は得られない」   「有色人種の権利を主張することで、 白人が自分の権利を剥奪されるような危機感を覚えるのはおかしい。 全体的に、みんなで幸せレヴェルをアップして相乗効果を醸し出そうと提案しているのだ」   今日の学会では講義をする人やパネルの人々、参加者の40パーセントが黒人でした。 そして次に多い人種がアジア人、そしてラテン系、白人と言う順で、 女性もとても多かった。 そしてライスの卒業生や教授など本当に多様な参加者で でも年齢や人種や立場に関わらず本当に平等感が在り、 質問者も講義をする教授と同じくらいしっかりと意見があり、 それがしっかりと聞かれ、本当に素晴らしい会でした。 私はアメリカ在住の自分が有色人種の移民女性である、と言う事に希望を見出しました。   トランプはイスラム系のアメリカ移民の全てを登録させる、と言っています。 テロ対策と言う大義名分の基ですが、 これは日系人を第二次世界大戦中に収容所に入れた時の状況と似ているそうです。 日系人(Japanese-American Citizen’s League)は戦後、 アメリカ政府を裁判で訴え勝利をおさめた過去があるので、 今、イスラム系の人々を支援しようと頑張っています。 それからラテン系の移民の強制送還もほのめかしています。 さらに、移民法の取り締まりも厳しくなるそうで、私の友人の多くは戦々恐々としています。   さらにトランプは就任前日の昨日 全米芸術基金と全米人文科学基金をカットする、と発表しました。 それを受けて就任式の今日、NYでは美術館や博物館が入場料を無料にし 「アメリカの多様性と開放性を体験してもらう」と決断しました。 全米芸術基金はアメリカの政府の予算の0.02パーセントしかありません。 これは年収が500万円の人が一年に千円芸術に寄付するのと同じです。 この0.02パーセントの予算削減はだから、象徴的なモノです。 そして、これは非常に悲しい、けちな、象徴です。…

  • 2011年にCD「Goldberg Variations」をリリースしてもう5年以上が経ちました。 今またGoldbergの演奏を明日に控えて、この5年の重大さを感じています。   Goldbergは壮大で、美しい。 私が想像する「天球の音楽」とは、Goldberg Variationsです。 明日の会場は大学病院。 特に癌研究と、アメリカで唯一芸術と医療の協力を研究している事で有名な Houston Methodist Hospitalのコンサートシリーズです。 精一杯の生と死が入り混じる会場の概念には意義を感じて奮い立ちますが、 同時に病院のロビーと言う事で人の行き来も激しく、ノイズも多い。 ピアノも最高とは言い難い。   その中で、一生懸命演奏をします。 その為の、明日の演奏に向けての覚書とイメトレ。   組み合わせになっている変奏曲はバッハの直筆が入っている初版のファクシミリで見つけた このサインが変奏曲の終止の所にある時は、 「テンポに関連性を持たせて次につなげよ」 と言う意味だと解釈しました。     最初のアリア。 第一音で、イメージ的に宇宙を開かなければいけない。 ベースを響かせて、メロディーをその上に乗っけるイメージで。 倍音の共鳴をイメージ化する。   変奏曲1. 鍛冶屋。 ピサゴラスが鍛冶屋が金属を叩く音を聞いて 協和音が数字の比例を体現することを発見したと言う伝説をバッハは多分知っていた。 力仕事にまつわる重さと勢いのリズム。   変奏曲2  2.左手のLower neighbor(下隣接トーン)の繰り返しはおばあちゃんのゆっくりとした相槌。 「おや、そうかい」を優しく。   変奏曲3 -> 変奏曲4 -> 変奏曲5 3は水。たゆみなく流れる(”涙も泉も私の兄弟~♪”) 4は土。しっかりと、そして石がバウンスする。 5は火。踊る。ラップとかビートボックスのクールさと緊張感。   変奏曲6 宮沢賢治の「雁の童子」 – 不思議なお話し。 長調でも下降するメロディーの悲しさを醸し出す。   変奏曲7 -> 変奏曲8 7.スナフキン「風の吹くまま、気の向くまま」 8.子供が笑いながらスキップ…

  • 今週末はヒューストン美術館(Museum of Fine Arts Houston)のドガー展で演奏しました。 ドガー展は物凄い人気で、今日が展示最終日のはずでしたが来週末まで延期になったほど。 昨日は美術館付きの駐車場が全て満杯で、かなり離れたところに駐車してヒールで走って ちょっと泣く思いでした。   でも会場についてびっくり! 演奏開始までまだ30分以上あると言うのに、もうすでに半数以上の席が埋まっているのです。 ドガーの絵に囲まれて、ドビュッシーやラヴェルを弾くと言うのはまた乙な物です。 そして、聴いている人々が本当にかぶりつくように聴いてくれるのです。 やはり絵を見てインスピレーションを得てから音楽を聴いているので 聴衆もより集中力があるのでしょうか? かなり小さなお子さんも沢山沢山いたのですが、 皆本当にじーっと一生懸命聞いてくれ、質問も沢山出ました。 演奏後には聴衆が私やオーボエ奏者を囲んで楽器についての質問をしたり 色々感想を聞かせたりしてくれて、普通の演奏会とは一味違った まさしく交流、と言った感じでした。 私はこういうカジュアルな短い演奏会で子供連れの家族が沢山来てくれた事が 本当に、本当に嬉しくて、子供たちにピアノの構造の説明などをして 大サービスをしてしまいました。 子供は本当に素直に喜んでくれるからスっごく好きです。   私も演奏の前後にインスピレーションを沢山もらいました。 美を愛でると言う行為はそのまま、自分を愛でる、周りの人間を愛でる そして世界を愛でると言う事に直接つながる。 だから、大事なんだと実感できた週末でした。 幸せでした。 音楽人生万歳!

  • 久しぶりにゆったりとした気持ちです。 一人でゆっくりとお昼をした後、大好きなカフェに来てラッテを飲みながら書いています。 最近はお砂糖を極力控えているのだけれど、今日は色々頑張ったご褒美。 ラッテの上にサラサラとザラメをかけたので、表面が光っているのがご覧いただけますか? こうやって飲むと、上のホワホワのスチームミルクに甘いじゃりじゃり感が加わって 私はとっても幸せです。   今朝は早起きして練習した後、今週末土日のリハーサルに行きました。 土曜日と日曜日は3時からと4時半からそれぞれ30分ずつ、 ヒューストン美術館(Museum of Fine Arts Houston)のドガー展で ドガーと同時代の作曲家の作品をオーボエ奏者のAlecia Lawyerと演奏します。 素敵な企画でしょ? 詳細はこちらでどうぞ。 https://www.mfah.org/calendar/not-your-typical-impressionist-music/   私が今来ているのはInversionと言うカフェです。 http://www.inversioncoffeehouse.com/location.html Art League Houstonと言う視覚芸術を教えたり展示したりする所と 絵画・工芸用品を扱うお店の隣にあって、 お店の壁にかかる展示物も定期的に変わる、ギャラリーの様なカフェです。 来る人はArt League Houstonの関係の方が多いのか、 彼らのファッションを観察するのも楽しいです。 ここに来て一人ひとりを盗み見て、その人生や今日なんでこのカフェに居るのか、 想像を繰り広げて、優しい気持ちになります。 皆一生懸命、出来るだけ良い人生、良い一日を送ろうと思って工夫して頑張っている。 最近は朝から晩まで一歩も外に出ないで論文に没頭する日々が数日続いたり、 ちょっと論文から距離を置くときは練習室にこもってピアノとひたすら向き合ったり、 そういう時間が多かった。 クリスマス・年末年始の会合と言うのはそれなりにあって 全て楽しく参加させていただいていたのですが、 でもこうやって一人で外でゆったりする時間と言うのは全く違います。 私はあんまりこう言う事をしないのですが、でもたまにすると命の洗濯になります。 私の座っている机の真横の壁はこんな感じ。   幸せな気持ちの理由は沢山、沢山ありますが、一番直接的なのはこれかな? 昨日の夜、ドアに貼ってあるのに気が付きました。 「Piano sounds awesome!(ピアノすっごく良い!)」と書いてあります。 あんまり嬉しかったので「ありがとう!ご自由にお取りください」とCDを3枚出して置いたら お昼までにはみんな無くなっていました。   もう一つ幸せな理由は1月19日に大好きなゴールドベルグ変奏曲を演奏できること。 練習していても毎日この曲の偉大さに一瞬一瞬が「開眼!」と言う感じ。 この曲は本当に底知れない深さと広がりがあるのですが、 同時に信じられないミクロの世界もあります。…