まずは自己紹介から!日刊サン掲載コラム「ピアノの道」No. 1

「日刊サン」に隔週掲載しているコラム「ピアノの道」No.1.1月10日付11ページ目。 この記事の英訳はこちらでお読みいただけます。 私は物思うピアニストです。何を思っているかと言うと、例えば「日本人ピアニスト」や「プロの女性」が在りえなかった時代ってそう遠いむかしでは無いと言うこと。第二次世界大戦の戦火の中で私の祖父母は孫の私が十代で渡米し、南米・北米・ヨーロッパ・アジアと演奏旅行し、西洋音楽の博士号をアメリカで取得するなんて、想像もできなかっただろうと言うこと。それから「音楽は世界の共通語」と言うこと。更に、私と言う一人の音楽家を育んだ人たちや社会は、私に何を期待して、何を託しているのか、と言うこと。 物思いながら音楽人生を歩んでいると、見るもの聞くもの、会う人読むもの、すべてが色々ヒントを投げかけてくれます。音楽の持つ力は、医療器具や各分野の研究により、どんどん解明されています。考古学者Steven Mithenは著書「歌うネアンデルタール」(熊谷淳子訳)で、声の抑揚で交信すると言う行為(=歌)は、言語よりも先にあったと主張しています。また、脳神経科学によると音楽がもたらす一体感は俗称「愛情ホルモン」や「幸せホルモン」と呼ばれるオキシトシンの分泌を促進するそうです。 本や学者さんの裏付けは確信になるけれど、経験的に人類は音楽の持つ力を知っていたと思います。例えば祈祷師や宗教、軍隊や社会運動が音楽を使うのはなぜでしょう? 人間の呼吸や心拍や脳波は聴いている音楽に同調するそうです。群れる動物である人間は、音楽に同調して心拍や呼吸や脳波を部屋にいる人々と合わせることに快感と安心を感じるようです。お互いを分かり合いたい、共感し合いたいと言う人間性を体現したのが音楽だと私は思っています。 どんなに違う世界観や意見を持っていても、現在と言う時間、そしてこの地球と言う惑星に共存する私たちは運命共同体です。そして音楽はどんな人と人との間でも潤滑油となり得ます。その潤滑油を提供するための修行と考察を重ねてきた世界市民のピアニストが私です。そんな私がご縁在って日刊サンに掲載させていただくことになった新コラム「ピアノの道」。練習・演奏・演奏旅行を通じて生まれる人間観察・音楽観などについて、音楽史や脳神経科学の文献などを参考に綴っていきます。 詳しくはHPにて:Musicalmakiko.com。

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