日刊サンコラム「ピアノの道」

「ピアノと視覚」

アメリカ西海岸で1984年から慕われている日本語新聞『日刊サン』に今年から掲載中のコラム「ピアノの道」。毎月第一・第三木曜日に発表されています。 “Your eyes can deceive you. Don’t trust them. Stretch out your feelings. (目は欺くことがある。視覚に頼るな。感覚を研ぎ澄ませ。)。” スターウォーズ・ファンなら、オビ=ワン・ケノービが主人公のルークにジェダイの精神を伝授している場面が目に浮かぶセリフです。 これ、ピアノでも当てはまるんです。 ピアノを弾きながら楽譜と鍵盤を両方同時に見ることは出来ません。このジレンマは象徴的でもあります。音楽に集中するのか、ピアノを弾くと言う行為に集中するのか?答えは、「見ない」。見ない事によって、音楽(知的把握)と演奏(肉体的行為)と感情(心)のバランスを取る事が可能になります。理想的には、見るのは準備段階で済ませて、演奏中は視覚は超越したいんです。 この記事の続きはこちらでお読みください。

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戦時中の在日ユダヤ人音楽家の貢献

戦時中の在日ユダヤ人音楽家の貢献

アメリカ西海岸で1984年から慕われている日本語新聞『日刊サン』に今年から掲載中のコラム「ピアノの道」。毎月第一・第三木曜日に発表されています。 “When playing music, it is possible to achieve a unique sense of peace(音楽を奏でる時、他では在り得ない平和を感じることができる)。”パレスチナ人を含むアラブ系とユダヤ人の若い奏者たちで形成されたオーケストラを養育して和平活動を行うイスラエル人指揮者、ダニエル・バレンボイムの言葉です。 ピアニスト田中希代子(1932-1996)が日本人として初めて国際音楽コンクールの一位無しの二位で最高賞を受賞したのは1952年です。大戦終結から7年、黒船到来から99年での計り知れない快挙。もちろん本人の努力と資質、周りの理解と支援もあったのですが、もう一つあまり知られていない歴史的背景があります。戦前から第二次世界大戦を通じて在日した、ユダヤ人避難民の貢献です。 この記事の続きはこちらでお読みいただけます。

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「ピアノを弾く」vs.「音楽を奏でる」

「ピアノを弾く」vs.「音楽を奏でる」

アメリカ西海岸で1984年から読まれている日本語新聞『日刊サン』に今年から掲載中のコラム「ピアノの道」。毎月第一・第三木曜日に発表されています。 5月14日(木)に発行された記事は「『ピアノを弾く』vs.『音楽を奏でる』」と題しました。今回は個人的な視点から書いた記事となっています。 “Social Sculpture(社会彫刻)“って、ご存知ですか?社会は一つの大きな芸術作品、その将来は世界の市民全員参加の共同制作、と考えるのです。我々の日常の営みや人生の選択は全てこの芸術作品を形作る表現です。ドイツ人芸術家、ヨーゼフ・ボイス(1921-1986)の概念です。 私がピアノを弾き始めたのは2歳半でした。でも音楽を奏で始めたのは実に最近の様な気もします。ボイスの概念を持って違いを説明すると、「ピアノを弾く」のは自分のためで、「音楽を奏でる」のは共鳴で世界を美化する理想を求めて、と言うことになるのかも知れません。 残りの記事はこちらから、そしてこの記事の英訳はこちらからお読みください。 残りの記事はこちらからお読みください。

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「音楽は以心伝心」

「音楽は以心伝心」

アメリカ西海岸で1984年から読まれている日本語新聞『日刊サン』に今年から掲載中のコラム「ピアノの道」。毎月第一・第三木曜日に発表されています。 5月2日(木)に発行された記事は「音楽は以心伝心」と題しました。本当は「音楽はどこでもドア」とつけるつもりだったのですが、アメリカ滞在が長い読者の方にはドラえもんがピンと来ない方もいらっしゃるかと思って... “Without music, life would be a mistake(音楽無しの人生は誤りだ)”と言うニーチェの格言で書き始めています。 残りの記事はこちらから、そしてこの記事の英訳はこちらからお読みいただけます。是非、ご感想をお寄せください。

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まずは自己紹介から!日刊サン掲載コラム「ピアノの道」No. 1

「日刊サン」に隔週掲載しているコラム「ピアノの道」No.1.1月10日付11ページ目。 この記事の英訳はこちらでお読みいただけます。 私は物思うピアニストです。何を思っているかと言うと、例えば「日本人ピアニスト」や「プロの女性」が在りえなかった時代ってそう遠いむかしでは無いと言うこと。第二次世界大戦の戦火の中で私の祖父母は孫の私が十代で渡米し、南米・北米・ヨーロッパ・アジアと演奏旅行し、西洋音楽の博士号をアメリカで取得するなんて、想像もできなかっただろうと言うこと。それから「音楽は世界の共通語」と言うこと。更に、私と言う一人の音楽家を育んだ人たちや社会は、私に何を期待して、何を託しているのか、と言うこと。 物思いながら音楽人生を歩んでいると、見るもの聞くもの、会う人読むもの、すべてが色々ヒントを投げかけてくれます。音楽の持つ力は、医療器具や各分野の研究により、どんどん解明されています。考古学者Steven Mithenは著書「歌うネアンデルタール」(熊谷淳子訳)で、声の抑揚で交信すると言う行為(=歌)は、言語よりも先にあったと主張しています。また、脳神経科学によると音楽がもたらす一体感は俗称「愛情ホルモン」や「幸せホルモン」と呼ばれるオキシトシンの分泌を促進するそうです。 本や学者さんの裏付けは確信になるけれど、経験的に人類は音楽の持つ力を知っていたと思います。例えば祈祷師や宗教、軍隊や社会運動が音楽を使うのはなぜでしょう? 人間の呼吸や心拍や脳波は聴いている音楽に同調するそうです。群れる動物である人間は、音楽に同調して心拍や呼吸や脳波を部屋にいる人々と合わせることに快感と安心を感じるようです。お互いを分かり合いたい、共感し合いたいと言う人間性を体現したのが音楽だと私は思っています。 どんなに違う世界観や意見を持っていても、現在と言う時間、そしてこの地球と言う惑星に共存する私たちは運命共同体です。そして音楽はどんな人と人との間でも潤滑油となり得ます。その潤滑油を提供するための修行と考察を重ねてきた世界市民のピアニストが私です。そんな私がご縁在って日刊サンに掲載させていただくことになった新コラム「ピアノの道」。練習・演奏・演奏旅行を通じて生まれる人間観察・音楽観などについて、音楽史や脳神経科学の文献などを参考に綴っていきます。 詳しくはHPにて:Musicalmakiko.com。

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