私がここで言う、「文武両道」の『武』の方は、練習の事である。 運動もまったく不足しているのだが、非常時なので冬休み(あと一ヶ月ちょっと!)まで目をつむる。 今、勉強が大変! 図書館リサーチ法(Bibliography)のクラスが色々な辞書の出版社、編集者のバックグラウンドを調べ、記事の信憑性を評価する、とか、膨大にある音楽百科事典の類のタイトル、用途、年月日などを覚える、とか兎に角時間がかかる宿題が多い。それに加えて、中世音楽の試験が来週の木曜日にある。さらに、指揮のクラスでは段々責任や担当曲を増やされ始めた。これは大変光栄な事なのだが、指揮法を学ぶ、と言うより半分は指揮する準備のための勉強方を教わっている、と言う感じで、でもこれを実践しようと思ったらそれなりに勉強時間を割かなければいけない。 しかし、ここで練習を割愛してはピアニストがすたる! 今練習中なのは、4月20日に演奏するメシアンの『天の都市の色彩(Couleurs de la Cité Céleste )』、 11月11日に演奏するSteven Stuckyと言うアメリカ人作曲家の「アルバム・リーフス」 11月4日にゴールドベルグCDリリース祝賀会があるので、そこでちょっと弾くためにゴールドベルグ、 11月5日にオーケストラの定期演奏会で弾く、レスピーギの「ローマの松」のピアノパートと、 バルトークの「舞踏組曲」のチェレスタ・パート。 そして特に演奏予定は無いけれど、この冬NYに滞在時にクローデ・フランクに聞いてもらいたい、 ベートーヴェンの協奏曲4番。 毎日最低2時間半は練習、が目標である!! そして指揮は毎日30分。 睡眠は出来るだけ削らず。 気分転換にストレッチやその場でジョギング。 好きこそ物の上手なれ、それぞれその時やっている事を『楽しい!』と思う気持ちを忘れない!
やる事が沢山ある。 練習、指揮、オーケストラ、中世の音楽の勉強、食事、睡眠、演奏活動にまつわる手配、メール、友達付き合い… そのリストの全てがとても楽しい事なのだけれど、 でもその集まりが時に(こなしきれないかも知れない!)と言う焦燥感を醸し出したりする。 さらに(こんなに毎日忙しくて、出会いが無い!私の赤い糸はどこに繋がっているの!?) と、トンでもない(でも無いのかな?)方向に頭が飛んで、集中がはるかかなたに飛んでいったりもする。 でも、この頃ちょっと工夫をすることにした。 それは、メリハリをつける工夫をする、と言うことである。 例えば、練習はタイマーをつけて25分ずつする。 25分のベルが鳴ったら、ストレッチしたり、水を飲んだり、トイレに行ったりして、絶対に休む。 でも、25分間は絶対に他に何もしない。 と、自分に約束すると、25分でかなりはかどるのである。 それから(忙しい)を理由に友達のSOSを断るのを止めた。 例えば、今週の月曜日にパリに引っ越す友達がいた。 彼女に日曜日の夜、引越しの最終でどうしてもできない事がいくつかある、とSOSを出された。 私はペーパーの締め切りがあったけど、「夜に行く」と約束した。 そして耳栓をしっかりして、本当に猛烈にペーパーに集中したのである。 限られた時間だったから、 (この時間には彼女の家に向かって出発しなければ)と言うプレッシャーがあったから 際限無く時間が在った場合よりも短時間で済ませられたと思うし、集中できたと思う。 そして、彼女にはとってもとっても感謝されたのである。 そして実際私が手伝いに行かなかったら、彼女はきっと全部出来なかったと思う。 物凄い満足感があった。運動にもなったし。 人が自分に何かを要請してきたら、何としてでも都合をつけることにする。 私の新しいポリシーである。 もう一度、宣伝させて下さい。私の新発売、5枚目のCD! http://www.cdbaby.com/cd/makikohiratapianist
英語では、頭文字だけ取って略語とする言い回しがいくつかある。 例えば、「ASAP=As Soon As Possible(出来るだけ早く)」、とか「FYI=For Your Information(「ちなみに」、と言う雰囲気かな、文字通りには「あなたの情報のために言わせてもらえば」、と言う感じ)。 こういう略式言い回しの一つに「TGIF」と言うのが在る。 「TGIF=Thank God It’s Friday!(金曜日だ―神に感謝!)」と言うのである。 実は音楽家をやっていると、週日・週末と言うのはあまり関係ない。 演奏会の多くは週末にあるし、リハーサルとかも関係なくバンバン入るし。 でも、金曜日になるたびになぜかホッとして「TGIF」と行き交う友達と廊下で笑い合うのである。 (今週も色々あったけど、元気でこなせたなあ)、と言う一つの時間の区切りに対する安心感だろうか。 まだ私が初々しい学部生も一年生だった年。 マンハッタンと言う世界でも有数の大都市での初めての一人暮らしで色々な事にびくびくしていた。 ある夜、練習を終えて、暗くなってから急いで帰途についていた途中、物乞いのホームレスが立っていた。 私は彼を見て、何を感じたのだろうか。 覚えているのは、彼から声をかけられてびっくりした事である。 「Cheer up! It’s Friday! (元気出して、金曜日だよ)」と彼は私に言ったのである。 感慨深い思い出だ。 彼に声をかけられて、何だか気を取り直して元気になったことは覚えている。 彼の人生はあれから向上したのだろうか? マンハッタンでホームレスと言う厳しい状況の中でも私を気遣ってくれた優しい人だから、 きっとあれから幸運に恵まれたに違いない、と信じてみたい。
昨日のゴールドベルグもとても上手く行った。聴音のクラスから2人も生徒が来てくれたし、ピアニスト仲間、指揮仲間と結構にぎやかな会になった。 その後、Charles Halkaの作曲リサイタルに出演 -そして打ち上げのパーティーはCharlesと彼の妻が新しく購入した家のお披露目パーティーの意味もあって、彼ら夫婦の親戚も沢山集まったとても盛大なパーティーになった。沢山のサラダやフルーツやチーズやパンが振舞われ、デザートには巨大で美味しいチョコレート・ケーキも!久しぶりにゆっくりとした歓談のときをみんなで楽しんだのだが。。。 帰りの車の中で、他の博士課程の女の子たちと話題になった。 「博士課程やってる男子生徒は大抵結婚していて、奥さんにすごいサポートしてもらってるよね~」 「でも女子で博士課程やってる子はみんな独身だねえ~。女子も結婚したらだんなに同じくらいサポートしてもらえるのかね~」 「いや、それは無理だね。。。」 Charlesのパーティーは奥さんの大奮闘が無かったら絶対不可能だった物だ。しかも奥さんはリサイタルのヴィデオ録画から何から、全て一手に引き受けて、そして演奏終了のその瞬間にカメラを片付けてお家にすっ飛んで言ったのだ。さらにCharlesと彼女の奥さんはHouston一帯に親戚が沢山居る。彼らも多いにパーティーにも新居を探すのにも協力している。 私はアメリカは親戚も家族も彼氏さえも無しのまったくの独り身。。。 う~ん、私も奥さんが欲しいなあ。 (欲しいのは男性の奥さんです、注) いやいや、そんな事をいっては罰が当たります。 私は健康にも、素晴らしい友達たちにも、最高の勉強の環境にも恵まれているんですから! 前進あるのみ!!
今日は本当に素晴らしい一日だった。 明日も盛りだくさんだし、早寝を目指しているのだが(現在夜10時50分)、この日の事を記録せずに寝てはもったいないくらい素晴らしい一日だったのだ。 まず、朝の指揮。 たかが4分ほどの曲を10分ほどリハーサルさせて頂いただけなのだが、もう指揮をしている最中から気持ち良くて鳥肌が立って、「至福」と言うのはこういうことを言うのか、と実感するような10分だった。オケが私を一生懸命見てくれている。一緒に音楽をしている。そして私はその真ん中に立って、音に包まれて、音を引っ張ったり伸ばしたり、なんだか宇宙をこね回しているような、物凄い感覚!本当に度肝を抜かれる様な体験だった。 その後の昼食。 「農園から食卓へ」と言ううたい文句の自然志向のレストランで、清潔感たっぷりの、真っ白いテーブルクロスが日光を反射してまぶしいような内装のところ。そこで、アヒルを頂いた。5つのハーブをすり込んで焼き、カレー風味のソースをかけて、焼き温野菜(かぼちゃ、たまねぎ、セロリ、など)の上に乗っけてあるメインと、デザートを頂いたのだが、このアヒルの焼き加減(肉汁が、ナイフを入れるたびにドッと出てくる感じの焼き具合)、温野菜の甘さ、全てが最高!そしてデザートも日本のケーキの様に甘さ控えめで上品で、しかも奇抜!バナナの上に飴をかけてそれを焼いて焦がし、チョコレート・ムースの上に乗っけた物を、カリカリのクッキー地で包んである物や、たっぷりの胡桃を入れて焼いた甘めのパンをフレンチ・トーストにして、その上にしょうがで固めたオレンジの皮をあつらったもの、さらにホワイト・チョコレートをウィップ・クリームの用にほわほわにして、それをラズベリーやブラックベリーと食べる物、の3点。日本語で多いに語りながら、ゆっくり時間をかけて頂きました。お肉も自然な環境で育ったお肉たちで、本当に美味しかった。 そして夜はゴールドベルグの通し。明日の正午にもやりますが、今日は本当に良かった。聴音のクラスの生徒が一人来てくれていたのですが、泣いて喜んで、ハグをしてくれました。自分でも気持ちよく弾く事が出来ました。 こんなに良い日に恵まれるなんて!