音楽人生

引越し

実は日本に帰国する前、それまで住んでいた場所を引き払ってきていた。 今、新しいアパートに入居しつつある。 自分の持ち物を全て整理するのだ。 一つ一つの物を検証してそれぞれ属する場所に区分けしていくのは、 結構満足感の得られる作業である。 長年探していた書類がひょっこり出てきたり、 思いがけない昔の品にしばし思い出に耽ったりする。 荷造りをしている時は何しろ日本での演奏も迫っていたし、 時間も心も余裕が無かった。 心の友のMさんに手伝ってもらって、 機械的にあるもの全てを箱詰めしただけだったけれど、 今回は時間も心の余裕もある。 それにこれから一年は私の博士課程の勉強にとっても 演奏家としての活動に於いても、 さらには教授となるための就職活動に於いても とっても大切な時である。 自分ができるだけ自信を持って気持ちよく生活できるように 家具の配置からこまごまとした物の整理まで 習字の前に墨をするように、 心をおちつけながら きちんとやって置きたい。 そうやってアパートの整理をしていたら 引越し魔ベートーヴェンの事を思い出した。 彼は半年に一度の割合で頻繁にせわしなく引越しをしたそうだ。 家賃を払い忘れた、 近所と騒音のことで喧嘩になった、 治安が心配だった、 などなどの諸説の中には 「掃除するのが面倒だったから引越しした」 なんて説まで… そんなに引越ししてもちゃんと作曲したんだから、偉いよな~。 私も明日はまたきちんと練習します。 そして、論文にもかかります!

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羽田にてーありがとうございました。

昨日の美浜文化ホールでの「ショパンToジャパン」のリサイタルを無事終え、 今、家族に見送ってもらって羽田の警備を通り抜け ゲートでこれを書いています。 感謝の気持ちで一杯です。 音楽をやっていて本当に良かった。 演奏会と言うのは、それぞれが私にとっては本当に一大事です。 うまく行けば(ああ、なんて素晴らしい人生だ!)と思いますし、 不本意な出来の時は(ああ、私は一体何をやっているんだ)と本当に落ち込みます。 でも、私が今にこにこと羽田で搭乗を待っているのは、 昨日の演奏会が沢山の方にご来場いただき、 しかもその一人一人のお顔が演奏後、壇上から本当に嬉しそうに見えたから、だけでは在りません。 私の周りの人々に志を理解してもらえて、価値を見出してもらって、 そして多大なご助力を頂き、 うまく行かない時には励ましてもらい、 うまく行った時には一緒に喜んでもらっている。 私が音楽を通じてやろうとしていることは、 今の資本主義、効率主義の世の中からは少し外れていることだと思います。 だから、心細く成ることもあるのですが、 でも、こんな私を力いっぱい支援してくれる家族や親戚や友達や聴衆が私を囲んでくれて、 そして本当に大変な演奏会の企画・実行を進んで手がけてくれ、 一緒の道を歩んでくれる中仲間にも本当に恵まれて、 私は、本当に幸せ物です。 リンカーンが暗殺された、と言う史実は有名ですが、 彼が観劇中に暗殺された、と言うことは結構無視されます。 リンカーンは南北戦争や、奴隷解放論争の大変な時にも 週一の観劇を欠かさなかったそうです。 そう言う文化に触れる時間が自分の中の人間性を確認させてくれるから、だそうです。 チャーチルは第二次世界大戦中、経済困難に陥ったイギリスの窮地を救うため 文化活動の予算を削る、と打診された時、 「そんな事をしたら、何のために戦っているのか、皆忘れてしまう」 と断固反対したそうです。 工夫も上達もいつも必要です。 これからもずっと試行錯誤して、 どうしたらより多くの人に心から楽しんで音楽創りりに賛同してもらえるか模索しながら進行しますが、 でも、私は間違っていなかった、と思わせてくれる一ヶ月の日本での活動でした。 少なくとも、私の人生は音楽の道を歩んできたお陰で 本当に大好きな人たちに「大好き」と言える機会を多く持ち得ています。 これからまたヒューストンで活動と、模索を続けていきます!

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色々な形の音楽活動

昨日は福島の大学でピアノを教え、コンクールの審査員などで忙しく活躍する傍ら ジャズ・ピアニストとしても忙しく演奏に飛び回るポーランド人のピアニストに会いました。 もう十年も日本で暮らしていて、日本語もかなり上手です。 彼の友達で、やはりポーランド出身の日本滞在10年のゲーム・デザイナーや ポーランド人ピアニストの生徒さんの日本人を交えて 『日本とは』、『日本人とは』と言うトピックで面白いアイディアが飛び交いました。 私の日本観、日本人観は、 私が日本を去った13歳、そしてアメリカにとどまる決意をした16歳の時から 現在に至るまで随分大きく変わりました。 特に14年前、日本での演奏活動が始まってから、 活動を通じて会う日本人には、こだわりや博識が物凄い日本人に多く出会い、 日本人の優秀さ、そして探究心の強さなどに驚かせることが、今でも多いです。 最近出会った、マンドリン・オーケストラの皆さまも、 また新しいタイプの「音楽仲間」です。 マンドリンと言う楽器は勿論知っていましたが、 この楽器でアンサンブルやオーケストラをする、と言うコンセプトは全く初めてで DVDを拝見して驚愕いたしました。 新しい音世界。 指揮者・リーダーの平井さんを真ん中に そして皆、本当に楽しそうに音楽談をするのです。 『仲間』と言う言葉がぴったり。 音楽人生、満喫しています。 さあ、8月に入りました! 3日のリサイタルも間近! 今日と明日はコンディション調整と練習と、イメトレ! そして、スマイル、スマイル!楽しみです。

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日本人ピアニストとして観る日本文化

実家で暮らしていると、毎日朝の連ドラを観ることになる。 私は飛び入り参加なので、最初は付き合いで「ながら鑑賞」しているが、 その内一緒にはまりまくって、用事で観れない日はちゃんとDVDで鑑賞して、 次の日遅れを取らないように、努力をするまでになる。 「花子とアン」は今までの私とは違った、特殊な楽しみ方もしている。 着物が面白いのである。 私の新発売アルバム「ショパンToジャパン」に起用する写真を撮影するために、 私はヒューストン在住の日本人のA-さんとM-さんにお世話になって 着物を着付けていただきました。 A-さんは素晴らしい着物のコレクションをお持ちで、 色々な生地に触れ、色使いやデザインを鑑賞して、 そして実際に着物を着て歩き回り、色々な場所でポーズを取っている内に 日本文化、日本の女性美などに思いを馳せるに至りました。 決して実用的ではない、そして特殊な歩き方や姿勢をジンワリと強要する、 しかし、女性のうなじなど、西洋では見過ごしがちな、 性的と言うよりは、母性的な美しさを強調する(と私には思われる)着物。 その着物と中着や帯のコンビネーションが非常に面白い。 普通の感覚ならかなりのミスマッチな物が 特に登場人物の気持ちが揺れているシーンや、意思のぶつかり合いのシーンでは起用されていて、 誰が決めているか知らないけれど、衣装の方とお話ししたい!と思います。 着物、もっと体験してみたいけれど、 そのお値段、そして非実用性から言うと、 やっぱり高嶺の花かな~。 あの袖、あの重さでは、絶対ピアノは弾けないし。 たすきがけしたら、弾けるかな?

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船橋、銀座、後楽園

昨日は色々な会合のため、船橋、銀座、後楽園と回る一日となりました。 それぞれ本当に刺激の多く、楽しく、色々な意味で勇気付けられる会合だったのですが、 今日は東京の違う地域について書きます。 面白い! 電車で1時間以内の東京都内であるにも関わらず、全く違った雰囲気と文化。 私は普段そう言う観察をする心の余裕無くポイントAからポイントBまでまっしぐらなのですが、 昨日は観察を楽しむ心の余裕を持って歩き回り、本当に楽しみました。 後楽園があんなに行楽地だったとは! ジェットコースターで人がキャーキャー声を立てていて、いかにも夏休み! そして「いかにもアベック」カップルが楽しそう! 銀座は「お金がある人が行くところ」と言う感じです。 お洒落ですが、ちょっと冷たい感じ? でも、そこで足を投げ出して座り込む小学生低学年の子供を注意することもしなく 大声で中国語で楽しそうに会話する観光客が、 なんとなくそのよそよそしい美しさをコミカルに中和している感じで面白かった。 船橋はいつも電話で通過するだけでしたが、これも都会ですね。 帰り道、銀座の駅で忙しい雑踏の中に静かにたたずむ活け花のディスプレー発見! 一人、その前で20秒ほど立ち止まって、日本を噛み締めました。

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