ピアニストのジレンマ。
今年のリサイタル「南欧の愛と幻想」にはこの曲が入っている。 「ああ!この曲…」と思われる方も多いだろう、有名な曲だ。 アルベニスの「アストリアス」。 ギターの編曲が有名だが、アルベニスのオリジナルはピアノである。 スペインの民族音楽が素になっている。 このYouTubeを見てお分かりだろうが、この曲にははっきりとしたむずかしさがある。 跳躍である。 ここでピアニストのジレンマがあるのである。 ピアニストの楽譜立てと言うのは、 鍵盤の前に背筋を伸ばして座って、まっすぐ前方を見ると見える位置にある。 これが一番「良い」姿勢、体に負担がかからない姿勢、腕や手の動きが楽な姿勢である。 しかし、こうすると鍵盤が見えないのである。 これは、暗譜をする一つの理由になっている。 しかし、暗譜をしても、このような跳躍の場合はどうしたら良いのか。 鍵盤を見ないで、良い姿勢を保ち、触感と筋肉の動きだけで跳躍をする、 と言うのは一つの方法である。 しかしこのように遠くに跳躍をする場合、体の重心を全く動かさずに、と言うのはほぼ不可能。 そして、重心がずれると、指針がずれるので、触感と筋肉の記憶だけで跳躍を正確にするのは 非常に難しくなる。 しかし、鍵盤を見ようと首を下にすると、腕の動きが明らかに少し限られるのである。 特に私のように座高が高い人は不利である。 論理的には、鍵盤と楽譜立てからの距離が遠ければ遠いほど、両方見えることになる。 (楽譜立てに楽譜を置かないが、『楽譜立てを見る』姿勢を一番良い姿勢としての話し)。 だから、椅子をぐっと後ろに引けば、となる。 しかし、現実問題腕の長さは限られているし、 この曲のように高音鍵盤と低音鍵盤に同時に跳躍するとすると、 やはりある程度の近さに居ないと楽に届かない。 全てはバランスの問題なのだ。 が、そのバランスを毎日違った会場で、違った椅子で、違ったピアノで図るのが難しい。 最初のヴィデオはわざと、苦労して弾いている人のヴィデオを乗せましたが、 次に名人を、二人。 アリーシア・デラローチェはやはりすごい。 しかも、彼女の背の低さと手の小ささを考えると、信じられない! まあ、背が低いと自然と重心が低くなり、安定するという利点はあるが。 そして、次にこの人は、タイミングを絶妙に計ることで跳躍を簡単にしている。 う~ん、なるほど。とても参考になったぞ! みなとみらい、お楽しみに!