メシアンの「時の終わりのための四重奏」について
11月22日(日)もいよいよ一週間後に迫りました。 ヒューストンにこの秋新しくオープニングした MATCH(Midtown Arts and Theater Center of Houston)にて演奏する 20世紀を代表するフランス人作曲家、Olivier Messiaenによる 『時の終わりのための四重奏』を午後5時開演でお届けします。 この曲は本当に重要な曲なんです。 1.まず内容が劇的: ―新約聖書に出てくるヨハネの黙示録の中で 特にこの世の終末を描いた部分が題材となっています。 10章の1~2、5~7は特に直接のインスピレーションとして作曲の前書きに引用されています。 10:1わたしは、もうひとりの強い御使が、雲に包まれて、天から降りて来るのを見た。その頭に、にじをいただき、その顔は太陽のようで、その足は火の柱のようであった。 10:2彼は、開かれた小さな巻物を手に持っていた。そして、右足を海の上に、左足を地の上に踏みおろして、 10:5それから、海と地の上に立っているのをわたしが見たあの御使は、天にむけて右手を上げ、 10:6天とその中にあるもの、地とその中にあるもの、海とその中にあるものを造り、世々限りなく生きておられるかたをさして誓った、「もう時がない。 10:7第七の御使が吹き鳴らすラッパの音がする時には、神がその僕、預言者たちにお告げになったとおり、神の奥義は成就される」。 2.次に歴史的背景が非常。 第二次世界大戦中、ドイツ軍に捕虜に捕られたメシアンが 捕虜収容所、Stalag VIII-Aでたまたま居合わせた ヴァイオリン奏者(Jean le Boulaire)、 クラリネット奏者 (Henri Akoka)、 チェロ奏者(Etienne Pasquier) そしてオルガン・ピアノ奏者であったメシアンのために この楽器編成で書かれ、 捕虜収容所の中で他の捕虜たちを聴衆に初演が行われたのが1941年1月15日の極寒の夜。 3.最後にこの曲はOlivier Messiaen(1908-92)と言う 現代音楽に多様な影響を及ぼした作曲家の 一番有名な代表作と言うだけでなく 彼の音楽理論発展の過程に於いて決定的な役割を果たす曲となった。 ―鳥類学者として鳥の鳴き声を譜面に書き取り、自分の作曲に題材として利用したメシアンが 最初に特定した鳥(ブラックバードとナイティンゲール)の鳴き声を利用した作品。 ―「わが音楽語法」(1944)と言う自分の作曲法を説明した著書で一番引用されている曲 世の終焉の後に来るとされる無限の時を音楽で表すためにこれ等の書法が使われた。 「移調の限られた旋法(移調しても音が同じになることが多いモード)」 「逆行不可能なリズム(前から読んでも後ろから読んでも同じリズム)」 「リズム・メロディー・ハーモニーのペダル(リズムとメロディーとハーモニー、それぞれに何度も繰り返すパターンがあるのだけれど、中世のイソリズムのように、それぞれのパターンが違う長さ―例えばリズムは5拍分、メロディーは13拍分、ハーモニーは21拍分と言ったように―なのでいつも違う音が違うハーモニーやリズムに当たる)」 「時の終わりのための四重奏」は8楽章から成っています。 1.水晶の典礼(4楽器) 作曲家の描写: 「朝3時と4時の間の鳥たちの眼覚め:高い木の中で出所が分からない震える音、トリルの後光の中でブラックバードとナイティンゲールが即興で鳴く。これを宗教のレヴェルに移調させると、天国で共鳴する静寂が垣間見られる」 音楽的に: クラリネットがブラックバード、ヴァイオリンがナイティンゲールとしてこの楽章中、鳴いています。その中でチェロが5つの音(ドーミ―レーファ#-シb)を15のリズムのパターン(2つの「逆行不可なリズム」の組み合わせで繰り返して、メロディック・ペダルを奏で、ピアノはハーモニックペダルとして29の和音を17のリズミック・パターンで繰り返し「永劫」を醸し出します。 […]
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