19世紀の音楽批評

19世紀の音楽批評を論文のために多く読んでいる。 面白い。 吹き出してしまうこともしばし。 「筆者はこんなにひどい曲は聞いたことが無い。」とか しかし、この「筆者」は無記名なのである。 19世紀は啓蒙主義や、貴族社会崩壊、宗教の圧力の軽減などから 歴史的にもかなり色濃く個人主義の時代だったようだ。 『自分が大事!』と言う姿勢が奨励され、 結果「自分が感じる事」「自分が思うこと」が少なくとも自分にとっては大変重要で その結果、例えば私生児の数がすごく増えたりとか、そういう副作用もあったらしい。 だから批評も歯にきぬを着せぬ、と言うか。 でも同時に賄賂や、友人・知人びいきとか、そういう事もあったし、 何しろ記事の非常に多くが無記名で、そうすると信憑性が薄くなったりする。 これ等の記事を読んでいくのは本当に面白くて いつまでも読んでいられるのだが、さてこれらをどのように自分の論文に役立てようかと言うと 中々難しい。 でも、書くと言う行為は後世の意見を左右する大変な事である。 そういう認識を持たずに、書きまくっていた、出版しまくっていた19世紀。 その書かれ残った歴史と、実際の当時の現実とのギャップをどのように埋めるか。 歴史と言うのは本当に水物である。

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