2016

2016年の抱負:美を探求する姿勢

遅ればせながら、今年の抱負を書いてみようと思う。 前にもちょっとブログで触れたが、最近考えている「美を探求する」と言う姿勢。 自分の言動や態度も勿論、より美しくなることを基準に向上心を持って挑んでいくのだが 同時に回りに美を見出す、と言うこと。 最近こういうヴィデオがFacebookで多くシェアされている。 ある高校生が手掛けたプロジェクトなのだが 自分の学校の生徒や先生の多くの動画を撮らせてもらいながら 「自分が美しいと思うものを撮るプロジェクトを手掛けている」 と伝え、撮っている相手の表情が変わるところを観察するプロジェクトだ。 このヴィデオに撮られた人の多くを自分は直接は知らなかった、と言っている。 「美しい」と言われる前と後での表情の変化の大きさにびっくりする。 まるで、花が開くのを見ているようだ。 「To bring out the best in (対象)」と言う言い方が英語にある。 対象となる状況や人間の最善・最高を引き出す能力の事を言う。 優しく、楽観的に、信念を持って人に接すると、 多くの人は信頼に応えてくれる。 勿論対象は選ばなければいけないし、信念は誠実さに基づいていなければいけない。 でも、一般的に「信念を持って美を見出す」と言う姿勢に徹することで、 世界と自分は、より美しくなる、と思うのだ。 凄く直接的な例がある。 。 この人の前ではいつも最高の演奏ができる、と言うタイプの人がいる。 その人の私の演奏に対する聞き方、そして私の音楽性に対する信頼と素直な期待、 そう言ったものが奏者としての私と、私の音楽を触発してくれるのだ。 逆にこの人の前ではいつもどうも思うように弾けない、と言う人も居る。 自分の演奏の不出来を責任転嫁しているように聞こえてしまうけれども、 でも結果が驚くほど一貫しているのでまあそういう要素もある、と思ってください。 そういうタイプの人は私自身にはとても褒めて下さったりしても 他の演奏家などをすごく辛口で批評したり、 あるいは世の中の観方があまり優しくない人だったりする。 私がその人の事をある程度知っていて、関係に歴史がある時には 勿論因果関係が分かる形で現れるけれど、 あまりよく知らない人でも、(なぜか今日は上手く弾けたな~)とか そういう演奏の理由が聞き手の発する「気」のせいだ、と言うことを、 私は結構信じている。 私は、周りの人のベストを引き出せるような存在になりたい。 そう言う希望とそれに伴う心がけもまた、美しい在り方だ、と思う。

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ヒューストンに帰ってきました。時間差・気温差・意識の差。

クリスマス前に着いたNYは記録的な温暖で20度くらいあった。 でも、昨日の朝飛行場に向かう途中の温度計は零下11度。 それがヒューストンに帰って来たら、13度で皆が「寒い!」と文句を言っている。 それでも空港からお家までのドライブは羊雲が流れる小春日和で、 本当に気持ちよかった。 NJも「お家」だけれど、ヒューストンもすでに私の「お家」になったんだな~、 と思い、そして同時に2週間過ごしたNY・NJが 非常に長旅だったような、はたまたアッと言う間だったような あるいはもしや、夢だっただけど本当はずっとヒューストンに居たかの様な、 不思議な、不思議~な気持ち。 旅から帰るといつもそうです。 何しろアメリカは広い! 西海岸から東海岸まで飛行機で6時間。4つのタイムゾーンがあります。 ヒューストンからNYまでは乗り込みを入れて飛行場から飛行場まで7時間の旅。 溜まっていたメールと用事を済ませ、 ブログでご挨拶をしてから さあ、初仕事! 行ってまいりま~す。

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新年が始まりました!

アメリカでは大晦日にカウントダウンをしてどんちゃん騒ぎをし、 1月1日を休養日に充てて、1月2日が仕事始め、と言うのが普通です。 今年はたまたま2日と3日が週末に当たったため、4日が仕事始めとなりました。 私はまだNJのホームステー先ですが、現実は雪崩のように押し寄せてきます。 レッスンのスケジュール。 今年の演目の選択と、それに合わせた楽譜の準備(主に印刷、整理)。 今日から仕事始めの取引先へのメールを山のように書く。 そうするとすぐに返事が返ってきたりして、またそれに返事を書いたら、返事がまた… そうやって水分補給もおろそかになるほど根詰めて色々やっていると、 結構そう言うのを快感に感じている自分を発見して、それもまた楽し。 そうこうしている内に、12月22日に到着した時はニュースになるくらい暖かった気温が いつの間にかマイナス8度まで落ちていることを発見! 外に出ると息が止まるくらい空気が冷たい! アメリカン・ペアレンツをお礼の夕食にご招待して、 二人の馴れ初めの話や、子供時代などの昔話を伺って、 今回2週間の東海岸滞在も終わり! 明日は朝5時の出発でヒューストンに戻ります。 6日にはまたまたアルバイトで空港での演奏! 7日は朝から夜まで教え! 2016年も充実しています。

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音楽ずくしのお年越し

2016年、あけましておめでとうございます。 今年もよろしくお願いいたします。 日本のおせちや家族も恋しいですが、NYで迎える新年もまた中々の物です。 今日は今年の私の年越しのご報告を。 大晦日に大抵毎年参加している演奏・パーティーがあります。 NYの付近でも特に歴史ある大きな邸宅が立ち並ぶ物静かな一角にたたずむお宅で 家庭の伝統として31年間続いているパーティーに毎回呼んでいただいているのです。 一昨年亡くなられたご主人は1940年代来のRadio Cityのオケのヴァイオリン奏者で、 トスカニーニやフルトヴェングラーなど、歴代の指揮者の元で演奏された方でした。 娘さんはチェロ、息子さんはヴィオラをそれぞれジュリアードでお勉強なさったのですが、 今では獣医さんと金融関係で活躍なさっていて、楽器演奏は趣味です。 奥様は腎臓を専門とされるこれも素晴らしい現役のお医者さまであられます。 私が最初に参加させていただいたのは多分2001年とかそれくらいだったと思います。 始めはジュリアードのアルバイト広告の公募に応募しただけでした。 その頃はご主人のお知り合いの、NYの音楽史をのまま生きられたような ツワモノの音楽家が沢山参加して、若造の私には信じられないようなお話しを沢山聞ける 凄い機会でした。 改築する前のカーネギーホールの音響がいかに素晴らしかったか、とか この指揮者の逸話、あのソプラノ歌手のリハーサル風景とか、 凄い話をポンポンしてくれるのです。 でも、これらの方々がどんどんお年を召されて、亡くなられ、 奏者が段々若手に乗り替わる、その移行の時期の最初から参加させていただいている私は いつか、家族の伝統の名誉会員に昇格されていました。 ありがたい事です。 毎年絶対弾くのは、ブランデンブルグ協奏曲の5番。 ハープシコードのソロが延々と続く、あれです。 私が弾くのはベッヒシュタインですが。 そして3番もやります。 バッハのヴァイオリン・ダブルコンチェルトもあります。 それからモーツァルトのクラリネット五重奏とか、 私もソロを披露させていただきます。 エロイカ・トリオのヴァイオリン奏者や、 クアトロ・タンゴと言う四重奏とか、 面白い活動をしている奏者が沢山呼ばれていて、 順番に演奏を披露していきます。 今年は麻衣子さんとブラームスのソナタを弾きました。 11時ごろ、演奏をいったん中断して、奥様の手料理とデザートをごちそうになり、 シャンペンで年越しを祝います。 音楽家とは思えないほどの騒音とキスの嵐になります。 年が明けたらまた、皆演奏続行です。 今年は2時半まで弾きました。 15年間やらせていただいて、 中には(毎年ほぼ同じメンバーで同じ曲目で、進展がない) と、ありがたみを感じなかった年もあります。 でも今年は、その毎年同じことをやると言う、その意義を特に実感した年でした。 最初の参加者の多くは亡く成られました。 学生として参加を始めた奏者の中には結婚・出産・離婚を経たメンバーも居ます。 その子たちが赤ちゃんからどんどん成長するのも一年ごとに見られます。 健康を損ねたり、回復したり、 お付き合いしている人が毎年代わる人も居ます。 そんな中で毎年、一緒に同じ曲を演奏して、 行く年を思い、来る年を想う。 お腹の時に居るときから知っている、今年4歳の男の子が 「I

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