思い出の財産と繰り返しに堪える美学。

誕生日を迎えました。 音楽家として、私は物質的豊かさよりも体験を優先したいと思って生きています。思い出と言うのは重要性が高い。記念日はしたことの無い経験や非日常性で、思い出深いことをしたいと思っています。いくつになってもお誕生日や祝日を手放しでお祝いしたい、と思います。 ...と言うわけで、Descanso GardensでEnchanted Forest of Lightsと言うホリデースペシャル期間限定の光のお祭りに行ってきました。行った事のある人から「映画『Avatar』のシーンの様にハイテクの照明効果が楽しめる。」と聞いていましたが、想像を超える大規模なものでした。普段は植物公園なのですが、11月の感謝祭の前から新年まで、毎年恒例でやっています。ライトショーや、触れたり乗っかったりすると反応する発光器具が、音響や霧など他の特別効果と一緒に広い公園中に工夫とテクノロジーを尽くして、配置してあります。Hot ciderと呼ばれる、これもアメリカホリデーシーズン特有のアップルジュースにシナモンなどを加える熱い飲み物で手と体を温めながら一時間じっくりと楽しみました。 本当に凄かったのですが、帰りに野の君と交わした会話が一番面白かったかな?「もう一度したいと思える体験と、一度で満足する体験の違い」と言う題目です。ライトショーは確かに感心したのですが、数日後に外国から来るお客様をお連れしようかと言う話しが出た時(もう行きたくない)と思ってしまったのです。物珍しいし、サービスとしてはお悦びいただけると思うのですが、私たち自身が二度と観たいとは思わなかったのです。 こだわりや芸術性が無い訳では決してない。例えば様々な模様のランプシェードが3D の影を広げていく趣向は、奇抜な世界観が提示され「良い仕事してますね~」と言う感じでした。 何度でも食べたいお料理や味が在る一方、楽しく美味しく食べても二度と思い出さない食体験もあります。音楽や読書体験でも同じく。この違いは何か?なんでこのライトショーは二度と観たいと思えないのか? ライトの中で楽しくはしゃいだ後、思いがけず深~い美学の会話をしてしまいました。素敵な誕生日でした。

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