美笑日記11.7:睡眠と社交の健康ジレンマ

睡眠の健康促進効用

アメリカ合衆国を含む75か国が、DST(Daylight Saving Time:デイライト・セービング・タイム=日光節約時間)なるものを起用しています。秋に時計を一時間遅らせ、春に一時間早めることで日照時間と人間社会の活動時間を合わせ省エネにつなげよう、という試みです。もう導入から100年以上経つDSTが、実は図らずして睡眠の必要性を立証する大規模な社会実験になっていたんです。

例えば脳神経科学者で睡眠研究科のマシュー・ウォーカー博士によると、春に時計が一時間早められ、結果として睡眠時間が一時間減ると、心臓発作の平均件数が24%増えるそうです。逆に秋に一時間睡眠時間が増えるときは心臓発作の平均件数が21%減るんです。似たような傾向が脳溢血や交通事故や自殺件数にも見られるんです。たかが一時間ですよ!

私は長年の睡眠信望者です。マシュー・ウォーカー著のベストセラー、睡眠と記憶・学習・健康の関係性についての本「Why We Sleep(邦題『睡眠こそ最強の解決策である』(2018))を読破後、その傾向に拍車がかかりました。野の君が出勤する5時半から逆算して8時間睡眠を確保すると9時過ぎの就寝となります。朝方の私にはそれは全く問題ではありません。9時就寝の5時半起床で、毎朝野の君を送り出したのち、朝の身支度やメールの応対を済ませ、6時半には朝練を始めています。8時過ぎから庭仕事やジョギングやウォーキングで日光を浴び、その後軽い有酸素運動とヨガをしてから10時過ぎに朝食。その後は練習と仕事と読書・執筆です。そして16時にはその日最後の食事を済ませます。その後は、オンライン授業で担当させて頂いている生徒さんたちの宿題にコメントを書いたり、読書をしたり…そして野の君が帰宅して就寝です。

睡眠最優先の観点から言えば、この規則正しく禁欲的な生活は理想でしょう!ところが…。

社交の健康促進効用

CDC(Center for Disease Control and Prevention:国際安全衛生センター)によると、安定した家庭環境や交友関係、価値を認められ好感を持たれているという実感、定期的で意味のある社交は、心臓疾患・脳梗塞・認知症・鬱や不安感などの予防に効果がある上、健康的な食生活・運動・睡眠・幸福感を促進し、ストレスや鬱状態からの回復力を強め、平均寿命を長くします。逆に隔離状態に置かれた実験動物の脳はアルツハイマー型認知症に似た脳の異変(脳の細胞間の結合の減少、脳細胞の結成や修正の減少など)と共に縮小化が起こります。人間では認知症のリスクが高まるほか、心臓疾患・ストレス症候群・糖尿病・中毒症などの平均確立が高くなります。(出展はハーヴァード・ヘルス

よし、社交、するぞ!

し、しかし…ここで問題発生。同世代の友人、特に夜型の多い同業者や芸術家タイプと社交しようと思うとどうしても夜遅くなるのです。

友A(女性の社会進出運動家)「ロスに来てるの!マキコ、会えるかしら~!」私「わあ、うれしい!連絡ありがとう!いつ会える?」友「じゃあ、学会の行程が終わった20時半くらいにUCLA(家から車で約45分)の近くでどうかしら‼⁉?」(この日の帰宅は23時50分)
友B(映画業界の人)「今すごく話題でまだ一般公開されていない、マキコと一緒に観たい映画の試写会があるの。今週の日曜日一緒に行きましょうよ!」私「ありがとう!何時から?」「サンタモニカ(家から車で約55分)で19時からよ。」(この日の帰宅は22時半)
友C(音楽家)「久しぶり!今度LAで演奏するんだ!招待券あるから聴きに来てよ!!」私「おお!なんとプログラムを見てみたらこの演奏会のあんたの共演者は、私のかつての学友だよ~。世界狭し・音楽業界はもっと狭しだね~。これはもう行って驚かせてやらないと…!わくわくするね~。」(演奏後のレセプションにも顔を出したのでこの日の帰宅は22時20分)

社交と睡眠の両立ははたまた可能なのか…⁉

(練習と読書と執筆と適度な運動と食生活をしながら、世捨て人のように人知れず過ごしたい)…そんな「一匹狼マキコ」像に憧れつつも、実はルーティン重視の禁欲生活を3日も続けると、脳の鈍行化・硬直化が実感として感じられるのです。でも社交で楽しく脳細胞を活性化した翌朝はつらい…睡眠不足の後遺症は明後日まで残ったりもします。

毎日自己ベストを出したいのに~。毎日練習・自己向上・最高音楽を目指したいのに~~。

う~ん、これは運動と食生活で補うのか?

みんな本当にどうしてるんだろ~。私の周りには(いつ寝てるんだろう)的な人が多いので、こんな贅沢な悩みをぶっちゃけるのも憚られるのですが…

2 thoughts on “美笑日記11.7:睡眠と社交の健康ジレンマ”

  1. お疲れ様です。
    カミさん(78歳)は物忘れ外来で、長谷川式認知症スケールを行いました。
    結果、22.0で、非認知症24.3を下回ったことから認知症と診断されました。
    性格は明るく、規則正しい睡眠をしていますが、加齢とともに物忘れが進みました。
    会話は、言ったことはすぐ忘れますが、これから先の会話は、普通どおりできます。
    診断後ほぼ1年経ても、症状は、あまり変化しません。
    生活は、起床4時頃、睡眠21時頃、調理は、3品目以上の食材使用はできません。
    定時に交通機関を利用して出勤、定時に帰宅します。
    規則正しい生活ですが、それでも認知症になります。

    結婚後、50年以上の日常生活が、どうやら、体内時計として生活リズムを作ったようです。
    また、歳を取れば物忘れをするのが当たり前と考えているようです。
    「睡眠」に対する理知的な思考はありませんが、本能のままに生きています。
    カミさん自身が作り出した生活リズムが、最も自然なのかもしれません。

    小川久男

    1. いつもコメント、ありがとうございます。
      そして今日は特に大切なシェア、ありがとうございます。
      78歳にして明るく、規則正しい生活を続けられ、物忘れも当たり前として受け止められる前向きなパートナーさんのお話し、大切に受け止めさせていただきました。
      そしてそれをこういうトーンで私のブログへのコメントとして公開して下さる小川さんの太っ腹にも感謝いたします。
      一日一歩、三日で三歩…みんなで一緒に歩んでいきましょう。
      感謝。
      マキコ

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