演奏道中記3.1:桜とひまわり、花と音楽

今日のブログは日刊サンに連載中させて頂いて3年目になる私のコラム「ピアノの道」3月6日発表の記事を基にしています。

去年の厳戒な水際対策の中咲いた桜は、在外日本人にとっては郷愁が痛く感じられる美しさでした。でも水際対策の大幅な緩和と共に日本が近づいた今年は、桜が明るく輝いて見えます。

そんな時、プーチンがウクライナを侵攻。緊迫状態の中、ロシア兵に「あなたが死んだらせめてひまわりが咲くように」と軍服のポケットにひまわりの種を入れることを要求するウクライナ女性の動画が話題になりました。

ウクライナはひまわりを国花とし、その種の最大生産を誇ります。またひまわりは放射能汚染を中和する効果がある事が立証されており、チェルノブイリや2011年の福島原発の後、沢山植えられた花なのです。

花を愛でる感性を持つ人間が、弱者の自由を奪うことで得られると妄想してしまうのは、一体何なのでしょうか?人生や社会の目的には、より仲良くより幸福になるために協力する事以外に、何があるのでしょうか?

日系アメリカ人12万人を強制収容所に送り込んだ大統領令9066にルーズベルト大統領が署名したのは1942年2月19日でした。4年間に及ぶ収容所生活を2歳で始めたノブコ・ミヤモトは、戦後アジア系アメリカ人としての音楽アイデンティティを探求する音楽家として、そして多様性の中にある人間性を謳う社会運動家として、在米アジア人や有色人種の社会地位と自尊心向上に多大な貢献をしました。その彼女が大統領令9066の80周年を記念してゲッティセンターで披露した公演「120,000 Stories」を先月目撃し、私は今、音楽家としての自分の使命を再確認した気持ちです。音楽も、花と同じく、我々にお互いや環境との繋がりと思いやりを体感させてくれます。人間は共感する動物です。痛みも喜びも、哀しみも元気も、伝染します。

言論の自由が保障されている我々一人一人が世界の為に出来ること・するべきことは何なのでしょうか。特権は責任でもあります。音楽教育という特権を与えられた私は、音楽家として出来ることを精一杯していきます。

この記事の英訳はこちらでお読みいただけます。

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