執筆

洒脱日記129:我を忘れる時間

美味しい物を食べたり、美しいものに見たり触れたり、的を得た表現に共感したり、突拍子もないことに度肝を抜かれたり...何かに反応して我を忘れるのも良いのだが、でもそういうのは一瞬で終わる事が多い。逆に目標に向かって邁進している時は何時間も没頭する。そういう時間が私にとっては人生の醍醐味。

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厳選の術:『こんまり』書評

近藤麻理恵著の「人生がときめく片付けの魔法」を読んで片付けをするのは2回目。来年以降の自分の将来の希望と目標に正直に向き合うため、年末の大掃除も兼ねて今の私に必要な通過儀礼だと思ってやっています。 まず著書を読み直して驚愕。私も本を執筆中ですし、内容は一度踏まえているので、余計書き方や本当の構成に注目しています。この本はとても良く書かれている。これはこの本自体が素晴らしく整理整頓されているからだと思う。 二年前に読んだ内容がすぐ思い出せる。 言葉と内容の徹底的な整理 目次や太字で内容が一目瞭然。 価値観の改革 物よりスペース 論理より感覚 実用性より『ときめき』(客観より主観) 豪語力: 例えば以下のようなくだり。 「『一度でいいから『完璧』に片づけてしまうことをおすすめします。『完璧』と聞くと、『それは無理です』と身構えてしまう人も多いかもしれませんが、心配はいりません。なぜなら、片づけはしょせん物理的な作業だからです。』自分の言いたいことは100%断言したうえで、アンチに対するフォローをさっと差し入れているのだ。こうして反論を「片づけ」ながら読者を説得させていく腕っぷしの強い文章力」 メッセージが明確 「片付け」=「過去に方を付ける」(P. 4) 人生に必要なもの、更に自分が人生でやるべきことが分かる方法(P. 4) 捨てられない原因:「過去に対する執着」と「未来に対する不安」(P. 238)何を持つかは、まさにどう生きるのかと同じ(P. 238) あくまでも読者のための本。問いかけ。 「片付けをすることで、いったい何を手に入れたいのだと思いますか。」(P. 55) 「『具体的に理想の暮らし』を妄想してみることが重要。」(P. 55) 「なぜそんな暮らしをしたいのか」(P. 58) それでは、私はなぜ今「こんまり」しているのか。片付けをすることで何を手に入れたいのか。 私が手に入れたいのは、明確なヴィジョン。自信を持って発信し続けられる、心からの信念。シェアすることに喜びを感じ続けられる共感ヴァイタリティ―。さらに1+1が2以上の仲間・同志のコミュニティーを育てるサロンを気軽に定期的に催せる家庭。 具体的に理想の暮らし。探しているもの(物・客観性・アイディア・信念・思い出・幸せ・共感・自信・目標)がすぐに見つかる簡潔性。集中しやすいすっきりとした環境と心情と人生状況。優先順位が一目瞭然の生活環境と時間割り。 なぜそんな暮らしがしたいのか。自分の本領を思う存分発揮して、世のため人のために効果的に(独りよがりではなく)奮闘したいから。そして前進を喜び合い、挑戦に共に奮い立ち合う、腹心の友のコミュニティーを培いたいから。 よし、居間に広げた服の数々とこれから向き合ってきます。

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人生の優先順位。

春先から公共図書館との契約でレクチャーシリーズを提供している。支部によっては電子ピアノだったり、グランドがあったり...臨機応変に電子ピアノの場合は説明の補助に音を出し、簡単な短い曲や曲の抜粋を弾く程度。グランドの時は講義内容に沿った曲を披露したりもする。お客様も一番少ない時は10名に満たない時もあったし、多い時には立ち見が壁に引っ付く状態で60名とか入る。非常に貧しい地域も、非常に豊かな地域もある。CDがバンバン売れる時もあるし、帰ってみるとインスタグラムのフォロワーがバッと増えている時もある。「自分は90歳を超しています」と自己紹介してくれる方もあられるし、昨日は2年生(8歳)の男の子がお父さんに連れられて来てくれた。 昨日の支部は運転して一時間弱。「天上の音楽:聞こえない音楽」と言う題目で電子ピアノとパワポでのプレゼン。 途中で音楽が人間の生態に及ぼす影響などの言及でセラピー効果なども説明中に、眼鏡を取って泣き出した年輩の女性が居た。本人がうずくまって顔を隠したので取り合えず見て見ぬふりをしたが、終了後彼女が最近弟さんを亡くされたこと、音楽の治癒効果に感極まってしまった事などをお話ししてくださった。「そうだったんですか…涙されているのは気が付きましたが…」と返したら、隣にいた彼女の友達が「私だって泣きましたよ!」と唇をとんがらかす感じで訴えてきた。なんだか幼女の様で愛らしくて、ちょっと笑ってしまった。嬉しかった。 昨日、目覚めがけに夢見心地に突然「余命が後一年だったら...」と思い始めた。そしたら思いがけないことに、ものすごい解放感を感じる自分が居たのである。今実は執筆中の本で「自分の事を書いたら名誉棄損で訴える」と言ってきている重要人物がいる。余命一年ならそんなことを心配せずに何でも書ける。しかも絶筆のPR効果でもっとたくさんの人に読んでもらえるのでは...と思ったのである。そして余命一年なら人生の優先順位が否応なしにはっきりしてくる。素晴らしい!色々な悩みが一挙に解決! 今朝は起き掛けの夢でスーツケース一杯の現金をもらった。ここでもまたお金の心配が無かったら執筆と好きな曲の練習に集中できる...と人生の優先順位の明確化に頭が行った。 明日は誕生日。人生の節目。色々考えています。

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「音楽は以心伝心」

「音楽は以心伝心」

アメリカ西海岸で1984年から読まれている日本語新聞『日刊サン』に今年から掲載中のコラム「ピアノの道」。毎月第一・第三木曜日に発表されています。 5月2日(木)に発行された記事は「音楽は以心伝心」と題しました。本当は「音楽はどこでもドア」とつけるつもりだったのですが、アメリカ滞在が長い読者の方にはドラえもんがピンと来ない方もいらっしゃるかと思って... “Without music, life would be a mistake(音楽無しの人生は誤りだ)”と言うニーチェの格言で書き始めています。 残りの記事はこちらから、そしてこの記事の英訳はこちらからお読みいただけます。是非、ご感想をお寄せください。

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本が形になってきました。祝:独立記念日

月曜日・火曜日と缶詰になって6000文字ほど書きました。寝入りばな、起き掛け、トイレ、シャワー、料理中、練習中...ありとあらゆる時間に新しいアイディアが沸いてきて、その度にコンピューターに呼び戻され、結局なんだかんだで一日中書いています。構造が出来上がって、最初と中途と最後がもう書けているので、あとはどんどん骨組みに肉付けをしていくだけ。今までは暗中模索で書き進めていましたが、ここからは一気に書き上げます。 こうして日本語でブログを書いていると、英語でずっと書いていた脳みそが何となくバランスが取れてくる感じ。 ちょっと日本語で、骨組みを書いてみます。仮に題して「ベートーヴェンは裸だ!」 イントロ:大きな概念の紹介(音楽は喜びでなくてはならない。19世紀ロマン派の「音楽=苦しんで到達するもの」は多大な影響を持つが、これは裸の王様。私は「王様は裸だ!」と叫ぶ子供になりたい) 第一章:「きっかけ:ハンガリーでの暗譜忘れ」 2001年協奏曲の演奏途中で頓挫。それをきっかけにそれまで直視を避けてきた自分の舞台恐怖症と向かい合うことになる。15年と言う歳月を要したが、私はどうやって舞台恐怖症を克服したのか。 (曲:ショパンの協奏曲2番) 第二章:「数日後の成功、ノースカロライナ州:(方法論1.Power Pose。はったり)」 ハンガリーでのトラウマの後5日目。同じハンガリーのオーケストラとの再共演で、舞台恐怖症を制覇して成功を収める。なぜそういう事が可能だったのか。 (曲:ショパン「24の前奏曲」、ベートーヴェンの協奏曲五番「皇帝」) 第三章:「有名と無名のはざまで:(原因1.セクハラと孤独)」 舞台恐怖症になってしまった理由は複雑。一つには、世界に於ける自分の場所についてどう考えたら良いか分からず、不安定になったことがある。独奏者としてスポットライトと満場の拍手喝采を受ける。翌日伴奏者として、自分と目も合わさない生徒たちを伴奏して生活の糧を稼ぐ。そのギャップ。更に、演奏の機会をくれ、評価してくれているかの様に見えた教師やマネージャーに、口説かれてしまう。評価されていたのは自分の音楽ではなかったのか?自分の音楽に価値はあるのか?20代にして自信が無くなる。 第四章:「ツアー:(方法論2.Exposure Theory:場数を踏む、方法論3.過度な練習を辞める。方法論4.イメージトレーニング)」 セクハラ交渉の土壇場で、ツアーする羽目に。恐怖で肉体的症状を発するが、共演者の励ましを得て場数をこなすうちに、毎晩同じ曲で本番を迎えるツアーが実は最高のセラピーだと気が付き始める。 第五章:「マネージャー:(原因2.セクハラとパワハラ)(方法論5:自分に正直になる)」 マネージャーから演奏会のキャンセル、ビザ剥奪、契約破棄などを脅迫され悩む。その過程で、本当に大事なのは自分が自分をどう見ているかと言うことだけだ、と気が付く。自分と自分が提供している音楽が完全に正直であれば、周りにどう評価されようと堂々としていられる。 第六章:「音楽を理解する:(方法論6.音楽を分析する)」 ツアーで共演した指揮者に舞台恐怖症を告白する。すると次の日から毎日バス移動中に音楽の分析法を教えてくれる。それまで我武者羅に繰り返す練習を重ね、考えなくても反射神経で弾けるようになることばかりを目指して恐怖に打ち勝とうとしていたが、音楽を理解することによって色々明白になると言う事実に目覚める。 (曲:ショパンの協奏曲2番) 七章目:「反知性主義(原因3.何故私は反知性主義になったのか」 時間をさかのぼって、なぜ自分が反知性主義にここまで染まったかを再考。13歳でジュリアードに受かり、急に技術性の高い曲で他の生徒と競争する立場に。理解する余裕も無く音を正確に弾きこなすことだけに必死になる。周りも似たように「質より量」の練習に追われている。音楽学校では実技が重要視。授業は最小限。誰も勉強しない。次第に演奏家はサル芸になってくる。英語のハンディもあり、私はまさにこの歯車に巻き込まれていた。 (曲:ラフマニノフの協奏曲2番) 八章目:「反知性主義(原因4:音楽史に於ける反知性主義ー白人男性優勢主義)」 反知性主義に打ち勝ち、自分の音楽に自信を持つために学校に戻る。博士論文のリサーチを進める中、反知性主義には歴史的背景があることを知る。カント・へ―ゲル・ショーペンハウアーなどのドイツ理想主義者たちが音楽に課した理想は抽象的。禅の『悟り』な様な、到達が非常に難しいとされる域へのゲートウェイとしての交響曲・弦楽四重・そしてピアノ・ソナタと言った抽象的な器楽曲。これらは歌詞も無く、舞踏曲でもない。観念的な「美」を追求するための社会的目的を持たない美術である。「分かればエリート、分からなければ...」まさに裸の王様の様な試金石。そしてその延長線上で、劣勢人種ー例えば女性や有色人種ーには音楽は理解できない、できるのは霊媒者の様に自分には理解しえない音楽に仕えるだけ、と言うメッセージが、意識下でクラシックの業界に今日に至って蔓延していた。急に自分の葛藤や、受けてきたセクハラが、理解できる。 (曲:ベートーヴェン「ハンマークラヴィア」、メシアン「Colors of the Celestial City」) 九章目:「白人男性優勢主義に片を付ける。(方法論4:命の危険にさらされる。方法論5:コミュニティーを実感する。)」 オンラインで出会ったハンサムで体格の良い白人男性。彼は実は連続結婚詐欺師だった。精神的虐待とストーカー行為を受けて離別した後、コミュニティーの多大な支援を受けながら刑事責任追及。逮捕に成功して自信と勇気を取り戻す。同時に自分がいかに「白人男性に救われたい」と言う偏見とステレオタイプに惑わされていたか、気が付く。私を親身になって助けてくれた人はほとんどが有色人種か女性か両方だった。人と言うのは助け・助けられることが一番幸せだと思う。白人男性優勢主義者たちの「美」や「崇高」のために音楽を追求するではなく、人のために音楽を役立てたいと思う。 (曲:シューベルト作曲リスト編曲『糸紡ぎのグレットヒェン』、ショパン『幻想即興曲』) 十章目:「ヒーラーとしての音楽活動(方法論7:はっきりとした目的意識)」 音楽の脳神経学的効果と言うのをデータ化する研究に携わる。音楽には治癒効果がある。生態学的にはもちろん、社会的効果も高い。音楽を通じて一体感を味わうのは、時空を共有すると言う実感、共感すると言う快感を社会にもたらしてくれる。私は音楽を使った社会運動家となるべく、これからも正直にわが道を信念を持って歩み続ける。 (曲:リスト『愛の夢』) 月・火と缶詰で書き続けた後、水曜日はアメリカは祝日でした。独立記念日、Independence Dayです。 ハイキングに行きました。アメリカは広い!海も山も近所にあります。             そして3年前の独立記念日は野の君と出会った日。もう一つの記念日でもあります。   夜は2人で山の上から花火を見ました。 それぞれの繁華街がポンポンポンポン景気よく花火を上げているのを高台から見まわしながら、アメリカと言う国と理想、その「独立記念日」の意味、そしてその理想の影で抑圧にあえいで来た人たち、理想と現実のギャップを縮めるために日々努力を続ける人達などに、思いを馳せました。夕焼けの中で始まった花火はいたるところで何時間も上がり続け、これは誇示か虚勢か、何なのか…(花火って一発いくらだったっけ?毎秒いくら、今花火に消えているんだろう?)とちょっとへそ曲がりな事も考えました。 気が付いたら一日で16キロほど歩き回っていました。  

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