知覧特攻平和祈念館を訪れました。沖縄戦に出撃した陸軍飛行場の中でも、最も多く402名の特攻隊員が飛び立った跡地です。
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記念館のロビーに一台のピアノ。訓練中の特攻隊員が上空から見つけた学校に「ピアノがあるかも」と立ち寄り、月光の一楽章を弾いたピアノです。1993年に映画化もされた小説「月光の夏」のインスピレーションとなった逸話です。
生きて帰ることがない特別攻撃のための訓練を続ける中、若者は何をピアノに求めたのでしょうか。特攻隊員たちは平均年齢21.6歳。最年少は17歳でした。展示された多くの遺書が母親宛てだったことも胸を打ちます。
お盆休み中、そして終戦記念日が近かったためでしょうか。鹿児島中央駅から車で一時間弱の距離にも関わらず、記念館には沢山の人が訪れていました。小さな子供を連れた家族も、お年を召された高齢者も、外国語を喋っている方々もいらっしゃいました。今も世界各地で多くの人が愛する人や音楽から引き裂かれ、紛争に人生を翻弄され命を奪われて行っています。79年目の終戦記念日を迎えるこの夏、平和への決意を来館者の多さにみる気がしました。そういえば去年のメモリアルデーに訪れたマンザナー国定史跡も様々な人種や年齢の来館者で混雑していました。第二次世界大戦中に合計12万人以上の日系アメリカ人を収容する為に米国に点在した10の施設の一つ。11,070人が収容されていました。同じく去年の3月に訪れた広島平和記念館は世界中から集まった人々で身動きも取れないほどでした。
機敏な動きで相手の攻撃や追跡をかわし、備え付けの機関銃で攻撃もする戦闘機ですが、重さ軽減のために機関銃は外され、代わりに左の翼の下には250キロの爆弾、そして右の翼の下に燃料を積みこんで飛びました。そのため相手の攻撃を避けるような細かい動きは不可能になり、ただ単に飛ぶことしかできなかったそうです。そしてそれさえも戦争末期には燃料や機体の不足、機体を整備するためのパーツの不足などでいろいろな不具合が生じたようです。
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平和会館の外にある平和の鐘を鳴らしました。
知覧から沖縄まで2時間半の飛行中、みんな何を想って飛んでいたのか…ロサンジェルスに帰る飛行機の窓から日本列島とアメリカ大陸を見比べながら、平和に向けて自分ができることを問いました。
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平和の象徴の大切さを再確認する中、シアトル郊外の平和公園で先月7月12日(金)に悲しい事件が起こりました。2歳の時広島で被爆し、その後遺症の白血病で入院中、千羽鶴を折り続けながら12歳で亡くなった佐々木貞子さん。その貞子像が足首から切断され、盗まれてしまったのです。
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この像を再建するべく、米日財団が寄付金を募っています。よろしければご協力ください。https://www.gofundme.com/f/restore-stolen-hiroshima-victim-statue-to-seattle-peace-park
このブログは日刊サンに連載中の隔週コラム「ピアノの道」♯135 (8月18日付)を基にしています。
お疲れさまです。
平和の大切さに満ちた一文に心が洗われました。
特攻隊員が、「月光」に託した思いが切なく伝わりました。
日日是好日は、多くの人々の屍の上にあることを強く感じました。
小川久男