おばあちゃんが亡くなった日に病院でした演奏


今朝起きたら、日本からおばあちゃんが亡くなったと言うメールが届いていました。

下の写真は今年の2月、卒寿のお祝いの時の写真です。

おばあちゃんはいつもおしゃれっ気がありました。

ベレー帽が懐かしい。

おばあちゃんはお出かけの前には必ず鏡台の前に座ってお化粧をしました。

 

 

正午にヒューストンのメディカルセンター主催の演奏会シリーズに出演が決まっていました。

ヒューストン・メディカルセンターでも一番大きなMethodist Hospitalは

Medical Center for Performing Artsと言う

演奏家の治療や、音楽セラピー、音楽と脳神経の研究などを主に行う部もあります。

音楽の治癒能力を宣伝し、その一環として

病院のロビーでは毎日月曜日から金曜日の1時から5時まで生のピアノ演奏があったり、

またそう言うBGMとは別に今日私が出演したようなちゃんとした演奏会形式の演奏を

月に10回ほど主催したりしています。

今日は私はブラームスのヴァイオリン・ソナタとクラリネットソナタと言うプログラムで

ご存知私の心の友のクラリネット奏者の佐々木麻衣子さんと

ヒューストン交響楽団でヴァイオリン奏者を務めている私の昔のルームメートのTinaと一緒。

 

演奏をしていると神経が研ぎ澄まされ、普段分からないことが分かるようになります。

例えばお客さんの息遣いが聞こえるようになったり、集中度や目線が肌で感じられたり。

吹き抜けの会場の二階から目線を感じて見上げたら、

お医者さまが沢山鈴なりになって聞いていらっしゃいました。

会場の横の廊下を通りすがりの患者さんや看護婦さんも立ち止まって聞いてくださいました。

音楽が受け入れられている、必要性を実感されている、と感じられる日でした。

 

最後にアンコールでスクリャービンの左手のためのノクターンを弾きました。

「第一次世界大戦からは右手を戦場で失ったピアニストが沢山帰ってきて、

その中の数人が左手のための曲を委嘱始めた。

人間は生きていると色々な物を失っていく。でも人間は強い。

この曲はいつも、私にその事を思い出させてくれます」

とスピーチをしてから弾き始めたら、聴衆が本当にかぶりつくように聞いてくれました。

今日のお客様の多くは医療関係のスタッフ、お医者様、看護婦さん、

そして患者さんや看病のご家族。

毎日生死に向き合っている方々と音楽を通じて一体感を味わう事が出来た事が嬉しかった。

 

病気がちだった私は母や家族、そしておばあちゃんやおじいちゃんや親戚のみんな

そしてお医者様や看護婦さんやインターンの先生や色々な方々に見守られて

成長して来ました。

成人式の時に「生存率は50パーセントと思ってください」と言われて入院していた私。

「式に出席だけないだけじゃなくてもう2週間もお風呂に入っていない汚い身体で…」と

看護婦さんにこぼしたら

「体は拭けばきれいになります。着物はいつでも着られます」と強く励ましてくださった。

その時に、付きっ切りで私の治療法を工夫してくださったお医者様は

実はその時ご自分の奥様が分娩室に入られても私に付き添ってくださっていた、と

後からお聞きしました。

 

私、そして私が奏でる音楽はそう言う方々みんなの想いの結晶です。